ドアノブを握り扉を開くともの凄い勢いで何かが飛び出してきた
「うわっ!」
「にゃっ」
「オトモ⁈」
小柳君目掛けて一直線に飛び掛かる
それを抱き止めた小柳君の顔が緩んだ
「オトモ‥‥お前どうしたんだよ」
「なーぅ‥‥ゴロゴロ‥‥」
小柳君からしたらほんの少ししか離れていない感覚でも俺達は約1か月近く会えていなかったんだ
「オトモの事はわかるんですね」
「‥‥はい、ずっと一緒にいたから」
「良かった。オトモも小柳君の事ずっと待ってましたよ」
「そうですか‥‥悪かったな」
「にゃ‥‥ゴロゴロ‥‥」
「オトモと会わせたくて呼び止めたんです。疲れてるでしょうから明日また話でもしましょうか」
「すいません‥‥オトモまで世話かけてしまって」
「気にしないで。俺達は結構仲良かったんですから」
「‥‥はい」
ぎこちない返事が胸を苦しくさせる
でもそれは悟られない様俺はオトモの頭を撫でた
「お前もまた明日な」
「にゃう!」
頭を撫でた俺の腕の袖口をオトモが齧った
「おい!なんて事するんだ。離せ」
「にゃぅ!んん〜っ!」
「俺気に触る事でもしたかな?」
今度は小柳君の腕の中からピョンと床に降り、小柳君の着物の裾に齧り付く
「お前何してんだ?やめろって‥‥帰るぞ」
「ぅ〜‥‥にゃうっ!」
「この部屋から出たくないのかな?ずっとこの部屋にいたから」
「いえ、そんな事‥‥お前そんな繊細な体じゃないだろ?ほら、帰ろう」
小柳君が抱き抱えようとしても、その手から逃げて回っている
「俺新しい部屋に行きますよ。鍵ください」
「いや、でも荷物もあるのに」
「荷物は着替えと洗面室にあるだけなのですぐ動かせますから」
そう言った俺の足元に今度はオトモが爪を立てた
「なんですか?ちょっと待ってよ、今荷物まとめますから」
「コラ、オトモ!良い加減にしろよ」
懐かしい話し方
オトモにはそんな風に話しかけるのに‥‥
その時オトモの爪が俺の足に引っかかる
「痛っ‥‥」
「何してんだよオトモ!」
「‥‥にゃぅ‥‥」
オトモが慌てて手を引っ込める
そして大人しく小柳君に捕まった
でもすぐにその腕からスルリと抜ける
そのまま俺の足の周りに体を擦り付けながら鳴き続けていた
「大丈夫です。大きな声出してごめんね」
「すいません‥‥どうしたんだろ」
「もしかしてオトモ‥‥俺達にここに居ろって言ってる?」
「にゃぁ!」
「‥‥え」
当たりと言わんばかりに俺達の足元をピョンピョンと軽やかに飛び回る
俺達のオトモは賢いから俺の気持ちを分かってくれたのかもしれない
でも今の小柳君には俺と過ごす方がストレスかもしれない
俺はオトモの頭をもう一度撫でる
「ありがとう。でも今はご主人を休ませてあげよう」
「‥‥にゃ」
「明日俺のオトモも連れてくるから遊び相手にまたなってよ」
「にゃぁ!」
「え、星導さんもオトモいるんですか?」
「うん、明日見せてあげます」
「良かったな。お前の仲間が出来て」
「にゃう!」
納得できたのかようやくオトモが小柳君の腕の中に収まった
「すいませんでした。お騒がせして」
「いいんだって。俺の事は気にしないで」
「それじゃまた‥‥」
「また明日」
「‥‥また明日」
また明日
こんなに長く生きてきて、すぐに明けては暮れる1日を嬉しいと感じた事はない
たとえ俺を思い出さなくても‥‥
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