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#佐野勇斗
luv
1,397
(やばい…)
それしか出てこなかった。
キスは突然だったけど、嫌じゃなかった。
でも、キスの意味が重すぎる。
教師と生徒。
超えてはいけない線。
(終わりだろ、普通)
だから逃げた。
でも——
「逃げんなよ」
「……離してください」
「無理」
即答。
「お前、このままなかったことにする気?」
「するしかないでしょ!」
初めて、ちゃんとぶつかる。
「俺、生徒ですよ」
「知ってる」
「問題になりますよ!」
「それでもいい」
「よくない!!」
声が響く。
「俺、遊びじゃないんですよ…」
震える。
目頭が熱くなる。
やめろ。
この人の前でだけは泣きたくない。
「中途半端な気持ちならやめてください……」
「中途半端に見えたか?」
低い声。
一歩近づく。
「俺はお前が欲しい」
逃げ場がない。
「教師とか関係ねぇ」
「関係あります」
「ねぇよ」
強く引き寄せられる。
「お前がいなくなる方が無理だ」
その言葉に、心が揺れる。
「……ずるい」
「何が」
「そんなの……逃げられないじゃないですか」
涙が落ちる。
「……俺、愛とか分かんないです」
「いい」
「すぐ嫉妬するし…重いですよ」
「望むところ」
「……じゃあ」
小さく息を吐く。
「ちゃんと最後まで付き合ってください」
その瞬間、強く抱きしめられる。
「当たり前だろ」
今度のキスは、ゆっくりだった。
優しいのに、逃げれない。
「もう離さねぇ」
耳元の声。
目を閉じる。
我慢してた涙がこぼれる。
空っぽだったはずの世界に、
確かに“何か”が満ちていた。
~番外編(おまけ)~
卒業式の日。
体育館はざわついていた。
名前を呼ばれて、証書を受け取る。
それだけの、よくある光景。
——でも。
(終わった)
その事実だけが、やけに重かった。
生徒としての立場も、
“先生”との関係も、
今日で全部終わる。
式が終わって、人がばらけていく。
笑い声、写真、別れの言葉。
その中で、俺はひとり、校舎の方へ歩いていた。
向かう場所は決まっている。
屋上。
ドアを開けると、
「遅ぇよ」
聞き慣れた声。
「……別に」
「卒業、おめでとう」
「……どうも」
少しの沈黙。
前みたいに簡単には話せない。
立場が変わったから。
「で?」
先生が一歩近づく。
「これからどうするつもり」
「何がですか」
「俺たち」
その言葉で、心臓が跳ねる。
「……終わりじゃないんですか」
わざと、軽く言う。
試すみたいに。
その瞬間、
「は?」
一気に距離が詰まる。
「そんなわけねぇだろ」
低い声。独占欲丸見えの声。
前と同じ。
いや、前よりもっともっとストレートだ。
「もう教師と生徒じゃないんだぞ」
「……はい」
「遠慮する理由なんかねぇだろ?」
逃げ場がない。
視線を逸らそうとした瞬間、
顎を掴まれる。
「まだ逃げる気?」
「……逃げてないです」
「嘘つけ」
少しだけ間を置いて、
「お前さ」
静かに言う。
「俺がどんだけ我慢してたと思ってんの」
その言葉に、息が止まる。
「学校じゃ触れるのも気使って、キスだってその先のことだってずぅっと我慢して」
(キスは何回かされたような)
ぐっと引き寄せられる。
「でももう関係ねぇ」
距離がゼロになる。
「全部、解禁な」
そのまま、キスされる。
前より深くて、長くて、俺のことを必死に求めてるってわかって幸福感と優越感が広がる。
「ん……っ」
息が乱れる。
離れたあとも、逃がされない。
「……これからは遠慮しねぇから」
低く囁かれる。
「覚悟しとけ」
「……今さらですよ」
小さく言う。
「もう逃げませんし」
その言葉に、先生が少しだけ驚いた顔をする。
「……へぇ」
「なんですか」
「いや」
少し笑って、
「言うようになったなって」
次の瞬間、
また抱き寄せられる。
「でも遅ぇ」
「は?」
「もっと早く言え」
強く抱きしめられる。
苦しいのに、
やっぱり——
「あったかい」
思わず漏れる。
「……だろ」
満足そうな声。
空を見上げる。
あの日と同じ屋上。
でも、違う。
「……飛ばなくてよかった」
ぽつりと呟く。
「当たり前だろ」
「……あのとき先生いなかったら」
言いかけて、
「やめろ」
少し強い声。
「そういうの」
「……すみません」
「今があるんだからいいだろ」
その言葉に、静かに頷く。
「なあ」
「ん?」
「これから、どうする」
少し考えて、
「……普通でいいです」
「普通?」
「一緒にいて、たまにケンカして」
少しだけ笑う。
「ちゃんと好きでいる」
「……は」
先生が吹き出す。
「何ですか」
「いや」
頭をくしゃっと撫でられる。
「それが一番難しいんだよ」
「……知ってます」
「でもやるんだろ」
「やりますよ」
目を見て言う。
今度は逃げない。
「先生とじゃなくて」
一拍置いて、
「勇斗と」
その言葉に、一瞬だけ言葉を失う勇斗を見て、にやりと笑う。
「……反則だろそれ」
「何がですか~」
「名前で呼ぶの」
顔を背ける。
「今さら照れるんですか?」
「うるせぇ」
でも、少しだけ嬉しそうだった。
もう、“空っぽ”じゃない。
隣にいるのは、ちゃんと掴んだもの。
「帰るぞ」
手を取られる。
今度は、生徒としてじゃない。
恋人として。
その手を、しっかり握り返した。
End
前話♡500もありがとうございます🥰
今回はちゃんとハピエンでしたね‼️
リクエストも是非是非💖
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