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あれからまた時は過ぎ――



気付けば正孝も成人し、祐誠さんが社長を務める榊グループの百貨店で、営業マンとして毎日奮闘してる。



今や榊グループは海外にも大きく展開し、様々な事業に取り組み、世界でも高い評価を得ている。



祐誠さんは、正孝をいずれは社長にと考えているみたい。



お父さんと同じ大学に進み、英語もマスターした正孝の夢は、祐誠さんの跡を引き継いで会社を守り抜き、さらに大きくすること……



簡単なことではないと思う。



早くに社長になった祐誠さんが死ぬ気で守ってきた榊グループ。



私もずっと隣で見てきたから、少しはその大変さがわかるつもりだ。



それでも正孝は、祐誠さんの思いを引き継ぎたいと、自分から申し出た……1から修行させて下さいと。



とても立派な決断だと思う。



だけど、この先どんな困難が待ち受けてるかを考えたら、やっぱり少し不安もあった。



世界の大舞台で戦う2人を、何があっても見守り続けたい、支え続けたいって……



私の頭の中は、その思いでいっぱいだった。



「はい、タオル」



「ありがとう、お母さん。お腹空いた~」



家のトレーニングルームで筋トレをしながら正孝が言った。



「仕事で疲れてるのに、もうそろそろ切り上げて食事にしてね」



「少しの時間でも体を動かしたいんだ。今日は何?」



正孝の体は祐誠さんそっくり。



細身で高身長。



筋肉の付き方まで似て、まるでお父さんを意識して作り上げてるみたい。



上半身裸でのトレーニング姿は、一瞬祐誠さんかと見間違うことも多い。



「今日はお義父さんが送って下さった新鮮な真鯛よ。お刺身と塩焼きにしたから。早く食べましょ」



「いいね。おじいちゃんは鯛が好きだよね」



「ええ。この時期は桜鯛って呼ばれておめでたいんだから。きっと、正孝に食べてもらいたいんだよ。おじいちゃん、会社で頑張ってる正孝のこと誇らしいって……いつも言ってくれてるしね」



ちょっと照れたような仕草をする正孝。



「まだまだ半人前だからね」



そう言いながら、正孝はサッとTシャツを着て、手を洗いに洗面台に向かった。



祐誠さんは、仕事で遅くなるって連絡があった。



先に正孝と2人で食事する。



こういうことは、正直少なくない。



祐誠さんの気遣いで、自分のことは待たずに必ず正孝と食事してやってほしいと、子どもの頃からそう言われてる。



その代わり祐誠さんが帰ったらできるだけ隣にいるようにして、正孝のことやずっと続けてるパンの販売のこととかを話してる。



疲れてるのに申し訳ない気もするけど、ちゃんと私の話に耳を傾けてくれるから、ついつい話が弾んじゃうんだ。



落ち込んだら励ましてくれたり、嬉しいことがあると一緒に喜んだり……



本当にこの人は、どうしてこんなに優しいんだろう。



確かに正孝には仕事のことを少し厳しめに教えたりはしてるけど、それ以外の時はずっと寄り添って支えてあげてた。



自分磨きも怠らない、超イケメンぶりはずっと健在だし、祐誠さんはとにかく「最高の夫」であり「最高の父親」なんだ。



こんなに魅力に溢れた完璧な人が近くにいてくれる現実に、改めて、私は世界一幸せ者だと思った。

あなたと恋に落ちるまで~御曹司は、一途に私に恋をする~

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