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休日、ふと目に付いた絵画・芸術展を見に来た貴方。興味があったのか、それとも知人と来る事になったのか。それは分からないが、受付の前に立っている。
手続きを済ませ、パンフレットを受け取った上で様々な絵画を見やる。綺麗な物から理解ができないもの、綺麗に描かれた動物や植物など、種類が豊富にあるようだ。
そうして回っている中、この芸術展とは不釣合いな扉をひとつ見つける。どうやら半開きになっているようで近づいてみれば覗くことが出来る。
少し後ろめたさはあったかもしれない。が、少し周りを見た後、好奇心には勝てず中に入る事に。
よく分からない扉の先には、よく分からない額縁に飾られたよく分からない絵が飾られていた。
絵の名札を見れば、何故か人の名前らしき物が書いてあり、理解が追いつかない。
脳内で整理ができないまま先に進んで行くと、色も何も無い取っ手だけの扉が目に入る。
ここまで来て開けない、なんてことはないだろう。
扉を開ける。
その先にあったのはひとつの額縁を持った人間であった。額縁はあるのに、絵はないようで。
近づいて見るのなら、額縁は薄ら爬虫類の生物が掘られ、形作られているだけで、他に目立つ所は無い。
肝心の絵は、と見ると、少し驚くかもしれない。
所々カンバスに、貼り付けられたはずの布が破かれているようで、後ろの壁が透けて見える。
……壁?なぜ壁が透けて見える?
そこには人が居て、額縁を持って座っている。なのに、なぜ後ろの壁が見える。
疑問に思っていれば、音が聞こえる。
音は少しづつ繋がりを持ち、声になる。
貴方は、私に話をしてくれるの?
貴方は驚く。眠っていたのだと思ってたのだろう。
私は貴方に話をしたい。聞いてくれるだろうか。
頷くか頷かないかは知らないが、話を始める。
もしも、人間一人一人に心の額縁があるのなら、心の絵があるのなら、そこには様々な柄や色があるのだろう。
私には無いんだ。
色も、柄も。
色を付けようとするなら他の人に絵の具を渡してしまうし、柄をつけようとするなら手が動かずに諦めてしまう。
こんな事を言っていれば貴方は怒るかもしれない、悲しむかもしれない。笑うかもしれない、哀れむ可能性もあるかもしれない。
それでも許して欲しい。私は、現実の私に勇気を出させることが出来ないから。
疑問に残るところがあるだろう、それでは何故額縁の中にある布は破れているのか。
それは、私の一部分、真っ白な所を使って私が好きなキャラクターを作るから。
だから少しずつ破れて、少しずつ話が完成する。
そうしていたら、いつの間にかこうなってしまってた。
滑稽な話かもしれないね。
どうしようもない気がするんだ。
息を飲む音が聞こえる。きっと真剣にこの話を見てくれているのだろう。
そうじゃなかったら途中で退室している、そうだろう?
それじゃあ、このカンバスについて話そう。
このカンバスは、子供の頃から真っ白だったんだ。
人と仲良くするのが苦手で、話すことも苦手で、輪に入る事も出来なくて、ずっと独りで。
成長するにつれて、唯一仲が良かった人達も離れていってしまう。辛かった。
怒鳴り声が苦手で、子供の泣き声も苦手で、喧騒も嫌いで、喧嘩も苦手で。それがずぅっと聞こえてくるのなら、私は泣きたくなる。
なんだったら、今でも泣いている。
そろそろ切り取った布が無くなる。言葉が積むげなくなってしまう。
大丈夫、話の貴方はちゃんと美術館に返そう。
そう告げられ、ると。
ふとした時には元の場所に戻っていた。
あの場所はなんだったのだろうか。
扉を探すのなら、見つからないだろう。
一抹の謎を見つけ、日常に戻っていく事になるだろう。
「結局は、忘れられるんだろうに。」