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「勘ちゃん!見て!美味しそう!」
見つけたのは目当ての菓子だった。
「ラガだ!」
嬉しそうに跳ねるはなを見て勘助はにっこりと微笑んだ。
ひとつの屋台に向かって走る。
「あのー!」
ラガ売りがゆっくりとこちらを向いた。
勘助はラガ売りから、目当ての菓子を買おうと思い、顔を上げた。
ラガ売りはとても、恐ろしい顔をしていた。
「ひっ…」
何かの頭蓋骨を被っていて、所々破れた黒い羽織を着ていた。
その頭蓋骨にはながおののきながら、「二つ…」と言った。
銅貨四枚で、ラガ売りが無言で薄紅と空色のラガをくれた。
「あ、ありがとうございます。」
勘助もお礼を言った。はなも分かりやすく震えている。
大人も泣き出しそうなその顔はもちろん怖いが、雰囲気が重苦しく息ができないような感じだ。
体の芯から震え、心の臓が止まった気もするし、駆けている時のような感覚もする。
賑やかな音も聞こえなくなっている。
「は、はな、もう行こう?」
怯えた声を出したとき、ラガ売りはもう居なかった。
いつの間にか大通りに戻っていたのだ。
「えっ…?」
驚いた顔を見合わせている幼いふたりを不思議そうに見ながら人々は通りすぎていく。
勘ちゃん…と震えた声ではなが言った。
勘助も怖かったが、大丈夫だ、としっかり答えてから二人はたくさんの屋台に目を向けた。
楽しもうじゃないか!とはなに言った。