テラーノベル
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部屋に戻ったイソトマはベッドにダイブした。
何のかんのと、色々疲れた。
ベッドに倒れてすぐに、扉がノックされた。
「はい、どうぞ」
扉が開いて顔を覗かせたのは、夜の警備兵たちだった。
「それでは、イソトマ様、我々は部屋の入口で待機いたします」
「うん。ありがとう。よろしくね」
夜間警備は、屋敷の護衛団に交代になる。
持ち回りで朝まで警備に付いてくれる。
誘拐事件があってから父親が敏感になって、夜間警備だけ二人に増えた。
(昼間の護衛も増えたら、嫌だな。護衛は、ディルクだけでいい)
そんなことを思いながら、誘拐された時のことを思い返した。
リリーの魔法でディルクが殴られ続けた時は、本当に死んでしまうのではないかと怖くなった。
イソトマを信じて短剣を枷に降ろせと言った時は、驚いたけど心強かった。
ディルクはいつだって、当然のようにイソトマを守ってくれる。
(格好良かったな。あの時の、キスも……ん? キス?)
確かに、キスをした。
あの時の記憶が怒涛のように頭に蘇った。
『イソトマがルシアンを選ばないなら、奪いに行く。俺はイソトマが欲しい』
五歳の時の約束を覚えていたディルクは、そう言った。
(あれって……告白、だよね……?)
てっきり、嫌われているのだと思っていた。
だから、あんな風に告白なんて、されると思っていなかった。
「そうだよ、しかもキスまで……あれ? 僕、初めてキスしたかも」
昼間のルシアンの言葉を思い出した。
『ファーストは、どれも大事』
あの時のルシアンの言葉を、やっと理解した。
気付いた途端、顔が熱くなった。
「そういう意味だったんだ……!」
恥ずかしくて、枕に顔を突っ伏す。
足が勝手にバタバタと布団を蹴る。
「僕のファーストキス、ディルクだ」
そっと、自分の唇に触れる。自分の指先さえ、震える。
胸が甘く締まって、切ない。
(どうしよう、僕、変だ。ドキドキして、苦しい)
ディルクに欲しがられて、嬉しい。
他の皆に何を言われても、何とも思わなかったのに。
ディルクだけが、違う。
「僕も、欲し……」
恥ずかしくて、言葉にできない。
また、枕に顔を沈めた。
(明日から、どんな顔して会えばいいの)
ドキドキする胸も、熱を増す頬も、全部が変なのに。
今まで通りにできるだろうか。
(気付かなければよかった。でも、それじゃずっと、すれ違ったままだ)
これまでのディルクとのやり取りが、いくつも浮かんでくる。
意識していなかったやり取りさえ、特別な意味を含んで感じる。
「返事、するべき? でも、なんて言えばいいか、わかんない……」
ルシアンとの婚約が解消される見込みもない中で、イソトマにできる返事なんかない。
そもそも、恋愛的にディルクを好きなのかも、わからない。
イソトマはベッドに突っ伏した。
どれだけ考えても出ない答えを一晩中、考えていた。
かんな
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寿命㌫(主) 🔮🖤ᩚ
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コメント
1件
ああ、すごく良かったです……! イソトマがベッドにダイブして枕に顔を埋めながら、足をバタバタさせるところ、もう完全に恋する乙女の顔で、こっちまで照れました。ディルクの告白を反芻しながら「ファーストキス、ディルクだ」って自分に言い聞かせるように呟くシーン、胸がぎゅっとなりました。五歳の約束を覚えていたディルクの言葉の重みが、今になってじわっと効いてくる編集です。明日からどんな顔で会えばいいのか――その初々しい悩みが、続きを待たせてくれます。素敵な夜のひとときをありがとうございました🌙