?「私は貴方に用があるんじゃない。其処の白髪の子に用があって来た」
夜「…」
誰も動けない
誰の殺気かは判らない
あの少女かもしれない
院長先生と呼ばれる人物かもしれない
敦「先生…先生!」
でも_敦くんは動いた
”それ程_愛おしい存在なんだ”
先輩の言葉を思い出す
あれは_
院「此方に来るのだ」
”引き寄せられるような_”
中也の言葉も思い出す
敦くんが先生の方へ行こうとした瞬間_
ヒュンッ
目の前に刀が来る
敦「夜月さん…?」
夜「…君は此方へ来てはいけないのだよ」
トスッ…
手刀を入れる
ガクッと力無く項垂れる
?「…やっぱりか。」
夜「結果が判っていたのに」
其れでも少女は笑う
?「確かに…此れは無理だった。でも_
”アンタの信頼は?”
その言葉に雰囲気が暗くなる
?「アンタは津島家十代目当主がバレて信頼が落ちる_そうなると誰も探偵社員を救えなくなるよ?」
夜「…そんなのに怖がってたら何時まで経っても入れやしない」
?「…?」
チャキン…
刀を仕舞う
夜「探偵社に入る時にもう判りきっていたよ。そんな事。」
淡々と話す
夜「其れでも、人を救う仕事がしてみたかった。其れだけ。其れに_
突然空間が現れる_
夜「まだ戦いは終わってないよ」
先輩はニヤッと笑う
ユ「やっと私の出番‥!」
彼女の異能力_救済の天使は人を蘇らすように見せて試練の道へと連れて行く_つまり。
端的に云えば空間に閉じ込める。
其れを利用した。彼女達が油断しきっている時に。
?「は_
シュンッ…
全てが終わった。
”全てが”
・
手をひらひらとさせる
夜「殺したいんだったら…別に?」
探偵社にも実は数年前に依頼が来ていた
”何年経っても良いんです…津島家十代目当主を殺してくれませんか?”
最初は国木田が断ろうとしたら、夜月が
『面白そうだからやらないかい?』
と云ってきたのだ。
国木田はあの津島家当主なんて見つかる筈が無いと思っていたので、渋々承諾した訳だが_
国「お前は…自分が当主だと判っていてあれを承諾したのか?」
夜「そうだけど?」
ドンッ、と机を叩く音が鳴り響く
国「何故受けた!?お前を殺すのと同義なんだぞ!?」
夜「くにきぃーだくんになら殺されても良いかなーって」
夜月は淡々と笑う
こいつは一体何を考えている?
確かにこいつも自殺マニアだが、
仲間に殺されたいのか?
夜「…そういう訳でも無いのだよ」
俺の心を読んだかのように話す
夜「確かに自殺は好きだが、殺されるのは嫌い。」
瞳が揺らぐ
夜「でもねぇ…殺されるなら探偵社の皆の方がマシだ」
そう云い、また軽く笑う
まるで笑みの仮面を貼り付けているように。
乱「夜月は」
乱歩さんが云う
”其れで良いの?”
その言葉に少し反応する
夜「…私は何方でも。」
乱「何方でもって事は死にたくないとも思っているんだろ?」
夜「……」
答えない。
……
夜「昔ねぇ…森さんに云われたんだ」
・
『君は死にたいのかい?』
『死にたいですん』
『どっちだい???』
大きく溜息を付く
『死にたいに決まっているじゃないですか』
『そうかい。でも_君からは生きてみたいとも感じれたけどねぇ』
少し目を見開く
『…そうなのか』
・
夜「て、云う事があったからかもしれないねぇ」
其れでも依然として空気は凍りついた侭だ
太「…殺さない。」
国「俺も同じだ」
与「私もだねぇ」
賢「僕も賛成です!」
敦「僕もです‥!今さっき、救ってくれましたし」
鏡「‥敦が云うなら。私も」
瞳がまた揺らぐ
夜「…良いのかい?」
乱「探偵社員は誰一人として見捨てない」
乱歩さんがそう断言する
乱「お前が津島家当主だったとしても見捨てはしない」
夜「…ははっ」
皆「!?」
本心で笑ったような声_
夜「それなら_喜んで」
笑った。
国「でも結局死にたいのか、死にたくないのか…」
太「そんなのもう、答えは出てるじゃないか」
国「…?何処にだ?」
くにきぃーだくんは鈍感だなぁ…
太「秘密〜」
その時_
シュンッ
私の前に人が現れる
その人は_有り得ない人物だった
小説家になりたいと云い、
私の友人であった_
太「…織田作‥?」
織田作之助_。