テラーノベル
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数日間、キィニチは毎日私の所へ来てくれた。そして今日はムアラニちゃんも一緒だった。
「おはよう!ルシーカちゃん。」
元気な声が私の心を照らしてくれた気がする。まだ私の記憶は戻っていない。それが本当に申し訳なくて私の事をいつか嫌ったらどうしようと悩んでいた。でもこの人達なら嫌わないと信じていた自分もいた。
「ルシーカちゃんの髪の毛切ってあげたの覚えて無い?」
ムアラニちゃんが私の髪を触りながら聞いた。私の記憶には母に髪を引っ張られている自分しか覚えていなかった。でもムアラニちゃんが触るのは嫌じゃなかった。逆に、あるはずの無い過去のほかほかした感情が帰って来ている様だった。
「ッ….!」
何かが引っかかって抜け出せない。
思い出して…思い出して…!
私の過去が私を呼んでいる。息ができずに私は頭を抱えた。
「はーッ…はーッ」
そう言えばなんで私の前髪は短くなっているの?ぷつんと何かが切れた音がした。
「ッムアラニちゃん!」
“私はこの人を知っている”何も無かった私に光をくれた人だ。私はムアラニちゃんに抱きついた。
『ル..ルシーカちゃん!思い出した?」
私は嗚咽のせいで返事が出来なかったが頭を縦に振った。
「やったー!ルシーカちゃんが思い出した!」
喜びの声が部屋に響き出す。
「私は信じてたよ。ルシーカちゃんが思い出すの!」
ムアラニちゃんの安堵の声で私も元気付けられた。
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