「あーあ、濡れちゃった、」
いつもより声が低い颯馬
「そ、うま、」
声がとても震えている。
怖い、別に僕が受けたわけじゃないけど、
あの時の、みんなの目、
それは、何よりも恐ろしかった。
「怖かったな、湊、もう大丈夫だ、」
そういい頭に手をぽんっと撫でる颯馬。
僕の目から、大粒の涙がこぼれ落ちる。
バサッ
すると、颯馬のジャケットを僕の顔に被せてくれた。
颯馬は、僕がすごくプライドが高い事を知っているから、こうしてくれたのかもしれない。
ドキッ
っ、?!なんだ、?僕、今ドキッとしたか、?
こんなやつに、?
ましてや、男だぞ、?
「湊、行こっか。」
ぎゅっと、強く手を握りしめてくれる颯馬。
それは、力ずよく、そして、とっても、暖かい、優しかった。
「お前ら、覚悟しておけよ、?」
ビクッ
地を響かせるような低い声。
こいつのいつもの声とは、到底思えないような声。
見えないけど、色んなところから、ひっ、と聞こえてくる。
僕達は無言で教室を出ていく。
「湊、大丈夫か?ほら、ハンカチ。」
優しくハンカチを差し出してくれる颯馬
「あぁ、ありがとう、颯馬、」
ギュッ
「あのさ、湊、」
なんだ、?すげぇ、声震えてる。
「好きだ、」
は、?
す、き、?
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