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あめ猫
3,650
暗い。
でも、さっきの“暗さ”とは違う。
何もない感じじゃない。
ただ——静か。
「……」
クールキッドは、目を閉じたまま考えている。
うまく言葉にできない。
分からないことが、いっぱいある。
パパがなんで怒ったのか。
お兄ちゃんがなんで約束やぶったのか。
あの“ともだち”が、なんなのか。
全部、ぐちゃぐちゃだ。
「……」
でも。
ひとつだけ、はっきりしてる。
(……見てほしい)
胸の奥に、ぽつんとある気持ち。
誰かに。
ちゃんと。
(……ぼくを)
思い出す。
お兄ちゃんが「すごい」って言ってくれたとき。
パパが、ぎこちなく抱きしめてくれたとき。
どっちも、あったかかった。
でも。
ちがう。
「……」
(ちゃんと、見たい)
自分でも。
何ができるのか。
どこまでいけるのか。
あの“遊び”が、なんなのか。
誰かに決められるんじゃなくて。
(ぼくが、見る)
小さく、息を吸う。
少しだけ、怖い。
でも。
(しりたい)
その気持ちは、消えない。
パパは止める。
お兄ちゃんは見てくれる。
でも——
(どっちも、ちがう)
どっちかだけじゃ、足りない。
「……」
手を、ぎゅっと握る。
(えらびたい)
誰の言葉でもなく。
誰のルールでもなく。
(ぼくが)
目を、ゆっくり開ける。
暗い天井。
でも、その向こうに、
まだ知らない“何か”がある気がする。
(ぼくのこと)
知りたい。
ちゃんと。
全部。
(こわくても、いい)
小さく、でも確かに思う。
(だって)
少しだけ、口元が動く。
ほんのわずかに。
「……ぼくの、だもん」
その声は、小さい。
でも、揺れていない。
(ぼくの物語は)
誰かの“ショー”じゃない。
(ぼくが、きめる)
誰かに決められるものでもない。
(ぼくが、主役なんだから)
静かな決意。
まだ幼くて。
小さくて。
それでも——
確かに、始まっている。
自分で選ぶための、一歩が。
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