この作品はいかがでしたか?
2
この作品はいかがでしたか?
2
「 幸 せ 求 め て た び だ っ た .」
____「 あんたは いい人だな 。 」
太宰の 表情が歪んだ 。
呼吸が 出来なくなったように 、
口を開き 、 また 閉じる 。
もし今 すべてを 話せば 、何もかも
元通りになるだろう 。
二人は 揃ってバーに 行き 、
乾杯をするだろう 。
あの夜のように 。
「 織田さ __ 」
〔 ゴー ー ー ー ー 〕
「 ッ ! 」
太宰は 目を覚ました 。
「 っ 、 … ? 」
「 …… 又 この夢 、か 、…」
『 太宰 、入ンぞ 。』
「 ちゅ 、 や 、 … 」
『 又あの夢 見たのかよ 。』
中也 、 と呼ばれた青年は 、 中原中也 。
そう 、呆れたような口調で そう 云う 。
「 … 御免 。」
太宰が 「 御免 」何て云うのは 、
相当 追い詰められている時だ 。
『 ッ ち 、 …… だりィなら
無理すんじゃねェよ 。』
『 最近寝てねえだろ ? 寝ろ 放浪者。』
「 でも 、 計画が … 次が三段階目で …
未だ 二段階有るのだよ 。
寝てる暇なんて 無い 、 …… 」
「 …… 織田作の為に 。」
太宰は そう付け足して 、 万年筆に
手を伸ばし 、 計画書を書き始めた 。
すらすら 、 と 音を立て乍 。
その様子を 、 中原は じっと 見ていた 。
「 …… 」
『 …… 』
沈黙が続いた 。
言葉も なく 、 数十分 が 過ぎた 。
太宰は時々 考えるように 、
頭を搔いたり 、 顎に 手を 当てる 。
その様子も又 、 中原は横から
静かに 傍観 していた 。
太宰が ふと 、 左上を 見る 。
中原と目が 会い 、 気まずくなったようで
すぐ目を逸らした 。
又 、 筆は 進む 。
_____ 堅豆腐 、
あの 改良が 完了したんだ 。
青年の 、 時々見せる 少年のような顔 。
きっと 、 あの頃から 、 ずっと 。
《 又 、 織田作と飲めて 良かッ ____ 》
「 俺を織田作と呼ぶな 。 」
太宰の中の 何かの 糸 。
ぷつん 、 と音を立てて 、切れた 。
「 結局 、
堅豆腐食べさせられなかったな 。」
「 一回は食べて 貰いたかったなあ 、 … 」
ふと 、 涙が込み上げて 、
静かに 悲涙を流す 。
何時までも 、 一緒だと思ってた 。
そんな事 、 有り得ないのに 。
それでも 、
思い出して 、
抱きしめて 、
愛して 、
慰めて 。
そうなるって 、
信じて 、 願ってたのに 。
やっぱり 、 こうなっちゃった 。
「 分かってた のに 、 やっぱり辛いなあ 、
_____ 友達 って 、 云って くれた
じゃない ッ …… 」
第 、 四段階目 。
最後は 、 善い所取りさせて貰うよ 。
死ぬのは 私だけでいいから 。
皆には 、 生きていて欲しいから 。
_____ 太宰は 、 マフィアのビルから
と び た っ た 。
幸せを 求めて 。
「 幸 せ 求 め て た び だ っ た 。 」
完 .
御覧頂き 有難う御座いました 。
コメント
4件
すごい好き