※こちらは作者の妄想です。
本編には関係ありません。
『小峠の兄貴!おはようございます!』
朝の事務所の清掃をしていると、
兄貴分の小峠華太…小峠の兄貴が事務所に入ってきた。
『おぅ、やってんな』
最近、ルーティンになりつつある光景。
一番最初に掃除の為に出社する俺と、
元々朝早くから来て事務作業を行う小峠の兄貴。
『前までは寝坊してシメられていたのに成長したな』
『う”…ッ、その節は大変スイマセンデシタ…』
『しっかりやれよ』
席に着く兄貴を眺めると…
『あ、兄貴っ 肩に糸屑が…』
『ん、あぁ 悪いな』
『いえいえ!』
こうして事務所の清掃を終えて、
小峠の兄貴の事務作業を手伝って天羽組での一日が始まっていく。
朝の事務作業が一通り終わったら、
書類を抱えてカシラのところへ持っていく。
出来た書類を確認してもらう為だ。
『カシラっ ご確認をお願いします!』
『お、速水 計算ミスはないか?』
『はい!3回チェックしたので大丈夫ですッ!』
『ははッ、そうか』
カシラは朗らかに笑って頭を撫でてくれる。
『あ、悪い悪い…っ どうもおまえには手が出ちまうなぁ』
『どー見ても子供扱いですよカシラぁ』
ヌルっと現れたのは永瀬の兄貴。
『速水ちゃーん?計算ミス、してなーい?
してたら睫毛炙るけど』
『ひぇ……な、永瀬の兄貴の言う通りッ、渡す前に3回チェックしてますッッッ』
『ん、よく出来ました〜』
カシラに撫でられたばかりの頭に、
乱暴に永瀬の兄貴の手がわしゃわしゃと触れられる。
『わ、わッ…』
『犬みたいだねぇおまえ』
『い、痛いです永瀬の兄貴っ』
『コラ永瀬っ』
『可愛がってるんすよカシラぁ』
『もう…ッ 兄貴、勘弁してください〜ッ』
永瀬の兄貴の手を両手で掴み、
頭から退かす。
ボサボサ頭を笑われてしまい、
和やかな時間が流れた。
バンッ バンッ
『よし、そこまでだッ』
『香月の兄貴っ ご指導、ありがとうございました‼︎』
『速水、おまえほんとへったくそだな』
『ふぐ‼︎‼︎歯に衣着せぬ物言いッッッ』
『まぁ…最初は当たりもしなかったからちょッッッッとだけ前進はしてるか…』
『ひいいいんッ』
美しい御尊顔でズバズバと俺の悪い点を指摘してくれる香月の兄貴。
『日進月歩 ……速水の場合は時折前進しては後退をしているが』
『和中の兄貴、』
『さりげなく和中の兄貴からもッッッ』
射撃場に珍しく和中の兄貴の姿が。
『速水、剣を志すならばいつでも道場に来い
扱いてやる』
『遠慮します(ありがとうございます!)』
『ば、速水⁉︎本音が出てんぞ!』
この後まだ拳銃をしまってないのに、
和中の兄貴に千切れるかと思うくらい頬をつねられたのは言うまでもない。
『……速水、頬っぺたエグい色してんぞ』
『肉があるのが奇跡だよね…』
俺の悲惨な頬に同期の飯豊君が真っ青な顔になる。
『まぁ、俺もこの間刀の鞘でシバかれたわ』
『なにしたのさ』
僕が淹れたお茶を飲み、
気心知れた同期同士束の間の休憩を満喫したり…。
『速水ぃ 俺って怖いかぁ?』
『めちゃくちゃ悪魔だと思いますけど優しいところもあると思いますッ』
『おーっ 余計なことを言うから額に蛇足って彫るわ〜』
『ぎゃあああああすいません勘弁してくださいいいいッッッ⁉︎』
少し額に刃が刺さった気がして絆創膏を貼り付けると、
狂人小林の兄貴は絆創膏の上にマーカーで何かを書いていた。
たぶん【蛇足】だろう。
シマの見回りには決まって小林の兄貴と回るのだ。
『おまえ、このエグい頬どーした』
『和中の兄貴に怒られました』
『おーよく肉ついてんな』
痣になったそこを、
いつもよりだいぶ優しい手つきでぐにっと押される。
痛いなぁ。
『剣より拳銃を極めたいと思って…』
『そりゃ和中の兄貴キレんだろ』
『う”…』
『あと拳銃極めたいのかぁ?おまえ』
『俺、力がないんで…でも香月の兄貴や小峠の兄貴みたいな早撃ちに憧れます!』
『………ふーん』
兄貴はつまらなそうに返事して、
『速水ぃ、ナイフを極めろこのやろー』
チョークスリーパーを決めてきた。
『ぐぎゃあああああ⁉︎お助けええ”ッッッ』
命懸けの午後は仲良く小林の兄貴と事務所へ戻るのである。
『いてて……額は暫く残るかなぁ?
頬っぺたは…三日くらい?』
ようやく舎弟用の寮を出られて、
空龍街から外れたアパートへ引っ越した。
ここは空龍街だけでなく…
黒焉街を含めた各街へのアクセスがいい。
あと……繁華街が遠くに見えてるこの眺めも気に入っている。
嘘や暴力の煌びやかな世界を。
まるで風景画のように額縁の中を見ているようで。
【僕】は好きだ。
ブワッ……
夜風が入ってくる。
窓を開けた記憶は……ない。
『もぉ……偶には玄関から入ってきなよ』
『【兄ちゃん】』
揺らめくカーテンの隙間から現れた高身長の男。
桜色の長い髪は結われ、
閉じた目には印象的な傷。
音もなく現れたその人に駆け寄る。
『兄ちゃんっ久しぶり』
『泰輝、元気にしてたか?』
『白々しいなぁ…どーせカメラハッキングして見てたんでしょ?』
心配症だね、と言うと兄ちゃんは僕を優しく抱きしめる。
『泰輝、いつも言ってるけどちゃんと鍵は閉めなさい』
『男の一人暮らしなんて誰もはいらないよ』
『泰輝みたいに可愛い子なら害虫は潰してもいくらでも湧くよ』
兄ちゃん……彼は裏社会ではピンクというコードネームで知られてる暗殺者。
あのCODE-ELのアサシンだ。
『銀田様も元気?鶴城にいちゃんは?』
『銀田様もおまえに会いたがってたな…
鶴城は知らん』
『えぇー……』
そして、僕もまた兄ちゃんと同じ、
CODE-ELの人間。
…まぁ、兄ちゃん達みたいに凄くないけど。
主に僕の役目は囮調査に潜入と情報収集。
兄ちゃん達のサポートだ。
僕の名前は、速水泰輝。
今は天羽組の役立たずな下っ端舎弟。
任務は天羽組を始めとする極道の情報…そして元CODE-ELのアサシンの情報をCODE-ELに提供すること。
僕はCODE-ELの中でも囮または潜入に特化したメンバーとして育てられた。
僕を育ててくれた教官は組織の命令で極秘として教育してくれて…他の教官すらも僕の存在は知らない。
あの死龍だって、
知らないんじゃないかなぁ?
小林の兄貴も僕を知らなかったし。
……兄ちゃんが僕を知ったのは本当に偶々だけど…
マム…じゃなかった教官は兄ちゃんが僕に関わることを許したのだ。
おかげで本当の弟みたいに今も可愛がってくれる。
……愛が重いけど。
『……それより泰輝』
兄ちゃんは軽々と僕を抱っこする。
『可愛いお顔に痣が…あとナイフ傷かな?』
蛇足絆創膏を優しく剥がされ、
それは汚い物かのようにゴミ箱に捨てられた。
『全く、極道なんて野蛮だねぇ
そいつら殺してあげよっか?』
『僕の任務が無くなるからやめて⁇』
『いいよ消えたって…泰輝には早く帰ってきて欲しいよ兄ちゃん』
ぺろっと傷を舐められ、
親指で優しく痣を撫でられる。
小林の兄貴にはぐりぐりされて痛かったなぁ。
『小林……あぁ、本当に私を昔から苛つかせるなぁアイツは…私の泰輝に馴れ馴れしく…あまつさえ傷物にしやがって…
いつか絶対に殺してやる』
『兄ちゃん顔怖いよ』
『あぁ…ごめんよ泰輝
でも、兄ちゃんは心配だよ
あんな野蛮な連中の中に泰輝がいて…
……何人かは馴れ馴れしいにも程があるな……やっぱり殺すか…』
『兄ちゃんあんまりしつこいと銀田様にチくるよ』
『………』
ブラコン過ぎるのも考えものだ。
『僕は大丈夫だから…ちゃんとメンバーとして組織に貢献するよ』
そう微笑むと、
ようやく兄ちゃんは落ち着いてくれた。
血は繋がってないけど、
組織の大事な家族のひとり。
優しい兄ちゃんは、僕も大好きだ。
……天羽組も、みんな悪い人じゃない。
別に暗殺することが僕の任務じゃない。
バレないように。
(信頼を勝ち得て、)
悟られないように。
(愚かなほど弱く、)
怪しまれないように。
(脅威と思われないように、)
それが、僕…速水泰輝だ。
今日も、明日も。
僕(俺)は嘘を重ねる。
end
あとがき
妄想を爆発させた、
速水くんCODE-ELのメンバーだった話でした…ピンクさんのブラコンぷりが楽しかった…
めちゃくちゃブラコン…最高
速水くんを知ってるのは組織でも上層部の一部……銀田様のお気に入りとか可愛いね…
鶴城くんとも面識あってお兄ちゃん気に入らない←
ちょーっと、うちのモブも出張らせていただきましたが……気にしないでください。
組織にも天羽組にも愛されて欲しい…
速水くんは潜入だったらピカイチの才能。
その天性の愛され体質で脅威や危険視されにくいので信頼を勝ち取るよ。
ちなみにお話の中にも…この瞬間ならタマとれるなってのを散りばめましたが…わかりたしあかね?
文章難しい……
以上、さのはでした!
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