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__「こんばんは。私の名前は_」
「※※です」
その男性は名前を言ってくれた。だが、それを言う時突然コオロギが鳴いた。そのせいで真由美は男性の名前を聞き取れずいた。また聞くのが失礼だと思った真由美はどうすればいいのか分からずただだ黙りこくっていた。
それを察してくれたのだろう。男性は
「あ、虫の声と重なって聞こえなかったかな。名前は太郎だよ。」
そう言ってくれた。真由美は心の底から、この人は絶対にいい人だ。と思った。
「ありがとうございます。私は真由美って言います。」
「真由美ちゃんか、よろしくね」
「……よろしくお願いします」
真由美は学校で初めて会う先輩と話しているように感じた。高二の私と太郎さんとじゃ歳はそこそこ離れているはずなのに、何故かそう感じたのだ。自分でもなぜそんなふうに感じたかは分からない。
「……真由美ちゃんは今何してるの?散歩かな?」
簡単に当てられて少し驚いた。…いや、この時間にベンチに座っているのなんて大体は散歩だろうに、当てられたことにびっくりしている自分がいたのだ。
「正解です。なんでわかったんですか?」
本当に単純な疑問だ。
「……さぁ、なんでだろう。勘かな?」
分かっていないのか。自分にもよくあることだから共感を得られた。
「そうですか。太郎さん…は何をしにここへ?」
太郎さんは少し考えたあと言った。
「わからないなぁ」
来た意味がわからない。これには真由美もびっくりだ。勝手に体が動いてここへ来ていたとでも言うのだろうか。
「なんでだろう。行かなきゃいけない気がしたというか?」
「ここで昔何かがあったとかですかね」
真由美は少し返答に困りながらもどうにかして応えた。この太郎さんのことはよく知らないが、行かなきゃいけない気がしたのならきっとそのようなことなのだろう。これ以上こんなことを聞いても分からないのなら仕方がない。話題を変えようと何か好きな物はあるかと質問しようとしたその時、
「あ。」
太郎さんは何かを思い出したかのようにその言葉だけを呟いた。
「なにか思い出したんですか?」
「そうだそうだ!思い出したよ!」
太郎さんは明るく笑った。そんなに嬉しい思い出が蘇ったのか?
「そうだな、、5年前だったかな。私には娘がいるのだけど、娘は魔法少女でね。今は君と同い年くらいなんだけど、初めて娘が倒した怪獣はここに居たんだよ!いやぁ、思い出せてよかったよ。」
「そうだったんですね…思い出せて良かったです。」
「本当にありがとう!なんだかモヤが取れたから帰るよ。」
太郎さんは軽くお辞儀をしてその場を去っていった。
今日はもう帰ることにした。そこまで散歩もしていないが今日は疲れたのだ。
「……早く帰って寝よう。」