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「師匠が死んだのは____」
私は、外で修行をしていた。
木刀を上下に振って、剣術を鍛えていた。
「あれ?修行?」
零の声がしたので、振り返った。
「うん。部屋の中に居ても、暇だったしそれに……」
「ん?」
「強くなって…誰かを守りたいから」
「!…そっか。きっとなれるよ」
優しく笑って、優しい声で言ってくれた。
「よし!じゃあ私が教えよう!」
「え?」
「私こう見えて、刀を扱えるんだよ」
「えっ、そうなの?」
「うん!」
零はニコッと笑って頷いた。
「まずは、ここを____」
そして数時間経って__
「お!結構良くなったじゃん!」
「ありがとう…ございます。師匠」
「え、師匠?」
「はい。ここまで上手くなれたのは、師匠のおかげなので」
「…そっか。力になれたみたいでよかった!」
「すいませーん」
玄関の前から男の人の声がした。
「あ、ちょっと行ってくる。休んでていいよ!」
「あ、はい」
そして、零はスタスタと歩いて行った。
「(こうやって、誰かに教えてもらうのは初めてだったな…)」
そして私は、木刀を置いて、縁側に座って、空を眺めた。
快晴の青空。こんなに、空が綺麗と思うのは初めてな気がした。
数分して、零が戻ってきた。
「ごめん千夜!今日夜から急用が入ったから夜から朝までしばらく戻れないかも!」
「…そうなの?」
両手を合わせて、謝ってくる零。
「ほんっとうごめんね!夜ご飯は何か用意してから出るから、それ食べてて!」
「…分かった。 」
「どこで、仕事するの?」
「あそこの森だよ!」
零は指を指して、場所を教えた。
「分かった。気をつけて」
夜になって、私は食卓の所に向かった。
机を見ると、夕ご飯があった。私は座って、手を合わせて”いただきます”と言って、夕ご飯を食べ始める。1人で夕ご飯を食べるのは、慣れてるはずなのに、何故か寂しく感じた。
「(なんでだろう…寂しいな…)」
そう思っていると、私はふと思い出した。
ある組織の殺人方法…
その方法は、森にターゲットを呼んで、その森で暗殺をする。
「……まさか……」
私は箸を置き、急いで零が行った森に向かった。
「はぁ…はぁ…はぁ…!」
私は森の中を走った。
「師匠!師匠!!」
零を呼びながら、森の中を走った。
そして、声がした。
「ぐはっ!!」
零の声だ。この声の時点で、私は察してしまった。
遅かった
私は声がした方向に走った。
「し…しょう…?」
目の前に映ったのは、血まみれで倒れた零の姿。
「師匠!!」
私は焦って、師匠の所へ駆けつけた。
「師匠…!!」
私は零の上半身を起こして、零を呼んだ。
「師匠…!聞こえますか…!?私ですよ!」
「う…うっ…」
零は小さく呻いた。
「ち…よ…?」
「…!はい!千夜です!」
私はいつの間にか、泣いていた。
「師匠…お腹が…!」
零の腹部にナイフが刺さっていた。そこから血が出ていた。
「早く病院に…!いや…それじゃあ間に合わない…とりあえず、止血しないと…!!」
「千夜……」
パニックになって、冷静さを失っている私に枯れそうな声で、師匠は呼んだ。
「私は…もう…助からない…」
「っ!!」
「だから…最期に…言いたい事が……」
「ダメですよ…!それ以上喋ったら…!」
「…千夜…っ!」
「っ……」
「実は…私…こうなる事、分かっていたんだ……」
「えっ…」
「だから…私は…行かないつもりだったんだけど…家に来た人が……」
「「来ないと、あの狐人間を殺すぞ」って…脅してきて……」
「なんで…なんで、こうなる事を知っていて……」
「だって…千夜、言ってたでしょ…?」
回想
「あ、ねぇねぇ!1つ気になってた事があるんだけどさ」
「…?」
「千夜って、お金か愛、どっち派?」
「……どっちも興味は無いけど、どっちかと言うとお金かな」
「え、なんで?」
「愛なんて…どうせこの世には存在しないから」
「…………」
「仮に存在しているとしても…どうせ、すぐに消えるものだから」
「ふぅん、そういう考えなんだね〜」
「そう…言ったよね…」
「言いました…けど…それと何の関係が……」
「…私が…命に替えても、千夜の事…守りたかったから…」
「…!」
「…これで…証明できたかな…」
「え…?」
「この世に…愛がある事…そして……」
「愛は…そう簡単には…消えない事……」
「…でも…今…消えかけてるじゃないですか…っ!」
「あはは…そうだね…でも……」
「…私が…あの世に逝っても…ずっと…愛は…あるから……」
「…!」
「だから…千夜……」
「…?」
「誰かを…命に替えても…愛してあげて…」
「…!!」
「それで…分かるはず……愛は…簡単には…消えない事…」
そう言って、零は目を瞑って…息を引き取った。
「…………………」
私は零を横にして__
「……分かりました…っ。師匠…!」
泣いて、もう返事が無い師匠に向かって、さっきの返事をした。
「って感じかな」
「そう…だったんだ…」
「あ、やっば!もうこんな時間!」
千夜は、話し終えたら時計を見て焦って食器を台所に運んだ。
「あ、そうだ。ねぇ、麗華」
「?」
「…愛してるよ。この命に替えても、ずっとね」
「!」
「もちろん、これは恋愛としてじゃないからね!」
「それくらい分かってるよ」
「…私もだよ。千夜さん」
「…そっか!」
千夜は、ニコッと笑って居間を出た。
「…………………」
私は、1人取り残された居間の中で、ある事を考えた。