一応続きのようなものです
短いし多分もう続かない
初めて莉犬の涙を見た。
見た頃にはもう遅かったのだけれど。
君がやっと見せてくれたその下手くそな笑顔が
あの日以降、靄がかかって見れなかったアイツの顔が
俺を救ってくれた
長く夢を見ていたような気がする
アイツが
るぅとが俺を殴る夢。
なんで助けてくれなかったんですか。
ごめん
なんで笑っていられるんですか
ごめん
なんで
…
なんで、
……
なんで、莉犬にぃが苦しまなきゃいけないんですか、
…ごめん。
るぅとは、何も発してこなかった。
だからこれは、俺の幻覚で、
ただひたすらに殴ってきたるぅとも、俺の幻覚で。
でも俺はその痛みを知っていた。
知らないふりをし続けてきた、知りたくなかった痛みだったんだよ。るぅと。
だってその痛みを教えてくれたお前が
もうそこにはいないから
涙が溢れて止まらなかった
くるしくて、にがくて、
酷く痛かったんだ。
これは、莉犬以外の遺された兄弟たちが、
俺たちが飲み込まなければいけない事だった
「……なぁ、莉犬。」
俺たちはまた、
お前と笑えるかなぁ。
10月21日。午後4時。
少し開いた窓から
ふわりと秋が入り込む。
まだまだ暖かい秋の香りが部屋全体に広がる。
るぅとが、こちらを見てカタカタと笑っている
その笑顔は
決して悪意があるようにはとても見えなくて。
ただ、
俺たちの不器用な妄想を
そっと見守っているようだった。
なぁ、莉犬。
今年こそ祝ってやろうぜ。
カタチとして、遺させてほしいんだよ。
俺たち、毎年沢山準備してんだぜ。
お前と、るぅとと。
6人で食卓囲みてえんだよ。
お前のこと待ってんだぜ。
アイツも、待ってくれてんだ。
なあ、莉犬。
ありがとうって、まだ伝えてないっけ。
「…………」
太陽のようなその生命がまたゆらりと、
小さく笑うように、暖かく揺れた。
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お久しぶりです〜〜!
のんびり生きてます⚡️
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