そして、元気な男の子が生まれた。
私は意識が朦朧としていた。(遥!遥!)
声が聞こえた。私は寝転んだまま、総司だ!総司!と呼んで手を伸ばした。目の前に総司の姿があった。
総司!生まれたよ!総司!
「遥ちゃん!遥ちゃん!しっかりして!男の子だよ!」
私は夢を見ていたらしい。
「ありがとうございました」
私はお便りを出した。お初と新撰組に。
それから、半年が経ち、12月になった。
息子をあやしながら朝餉の支度をして縁側で座っていると、玄関先から声がした。女性の声だった。
「御免ください」
「はいお待ち下さい」
するとそこにいたのは、お初と平助の姿だった。
私は久しぶりに会えたのが嬉しくて、2人に抱き寄った。
「はっちゃん、平助。久しぶり。平助、額大丈夫?はっちゃん元気だった?大きくなったね名前は?」
「俺は大丈夫」
「めいってゆうの」
「めいちゃん。可愛いね」
「はるちゃん、おめでとう。元気な男の子だね?」
「うん、ありがとう」
「生まれてから沖田くんと会った?」
「まだなの。」
その日は少し3人でお茶を飲みながら話し込んだ。
それから数日経った頃、いつも通り縁側でお茶を飲んでいた。
「遥!」
3人ほどの声が聞こえた。誰?と思って玄関先に急いで向かった。
勇と歳三と総司だった。私は3人の顔を見つめ、
笑顔で、お帰り。と言ったと同時に涙が出た。
「総司のバカ。無理しない約束でしょ。戦闘中倒れるって何?総司。元気な男の子が生まれたよ」
「返事返せなくてごめんね。俺は元気だよ。大丈夫。
一緒にいられなくてごめんね。大変だったよね。名前決めた?」
「総司が帰ってきたら決めようと思って、まだ決めてない」
「そっか。俺ね決めたの。”留樹弥”どう?」
「いいじゃん。強そうな名前だね。留樹弥。パパ帰ってきたよ〜」
留樹弥。あの時の夢は総司だったんだ。と思った。
4人で子供と遊びながら半年間溜まっていた話を全て話した。私は心がスッとしたのか、早くに眠りについた。