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朝の教室。
「体育祭の写真、届いたぞー!」
先生が箱いっぱいの写真を持ってきた。
「やった!」
「見せて見せて!」
教室が一気に騒がしくなる。
奏斗も写真を受け取りながら、何枚かめくっていく。
「お、これ!」
「何?」
颯太が横から覗き込む。
「リレーじゃん。」
そこには、バトンを受け取る冴と、その先で待っている奏斗が写っていた。
「うわ、めっちゃいいじゃん。」
「だろ?」
その写真を見ていた冴も、少しだけ笑う。
「……懐かしい。」
-–
「おい、神崎。」
クラスメイトが別の写真を持ってくる。
「これ見ろよ。」
「?」
そこには――
ゴールした直後。
奏斗と冴が並んで笑っている姿が写っていた。
「二人ともめっちゃ嬉しそうじゃん!」
「ほんとだ!」
「仲良すぎ!」
「……!」
冴が固まる。
奏斗も、
「いや、これは……!」
と言いかけて止まる。
「何?」
「……。」
何も言えない。
だって。
写真の中の二人は、本当に楽しそうだった。
-–
昼休み。
「石川。」
「ん?」
「さっきの写真。」
「……。」
「欲しい?」
冴が少し驚く。
931
#パニック
水族館マニア
248
#バッドエンド
752
「……欲しい。」
「じゃあ、俺が持って帰る。」
「え?」
「コピーしてもらおう。」
「……。」
冴は少し迷ってから。
「二人で持つ?」
「うん。」
「……誰にも言わない?」
奏斗は笑った。
「秘密?」
「……うん。」
「じゃあ秘密。」
-–
放課後。
二人は写真屋へ寄った。
「これ。」
奏斗が写真を差し出す。
「二枚お願いします。」
写真ができるまで少し待つ。
やがて。
「できました。」
「ありがとうございます。」
店を出る。
奏斗が一枚、冴に渡す。
「はい。」
「……ありがとう。」
冴は写真を大事そうに鞄へしまう。
「俺も大事にする。」
「うん。」
-–
帰り道。
「ねえ、石川。」
「何?」
「なんでそんなに欲しかったの?」
「……。」
冴は少し黙る。
「……楽しかったから。」
「体育祭が?」
「それも。」
「じゃあ何?」
「……。」
冴は写真を入れた鞄を見る。
「神崎と一緒だったから。」
奏斗が黙る。
「……。」
「だから、残しておきたかった。」
「……そっか。」
奏斗は少し照れながら笑った。
「俺も。」
-–
駅に着く。
「じゃあ、また明日。」
「うん。」
二人が別れる。
冴は少し歩いてから、鞄の中の写真を確認する。
写真の中の自分は笑っている。
隣には奏斗。
「……。」
冴は小さく笑った。
その写真は。
今まで一人で大切にしていた「秘密の場所」と同じくらい。
誰にも知られたくない、大切なものになっていた。
-–
その頃。
奏斗も自分の部屋で写真を机に置いていた。
「……。」
体育祭の日。
夏祭りの日。
秘密の場所。
そして今日。
気づけば、冴との思い出がどんどん増えている。
「……もっと増えたらいいな。」
そう呟いた瞬間。
奏斗は少しだけ驚いた。
(……俺。)
(本当に、石川といるの好きなんだな。)
まだ、その気持ちに名前はつけられない。
でも。
そのことだけは、もう分かっていた。
-–
第30話 おわり
次回・第31話「文化祭準備」
秋の文化祭が近づき、クラスの出し物を決めることに。
そして――
「神崎と石川、同じ係でいいんじゃない?」
クラスメイトの一言で、二人が放課後ほぼ毎日一緒に準備することに。
ところが、準備中に冴が突然、
「神崎には、俺のことだけ見ててほしい。」
と口にしてしまって……!?
コメント
1件
うわあ……この回、めっちゃ尊い……! 体育祭の写真から始まる2人の距離感、すごく丁寧に描かれてて好きだな。「秘密」って言い合うところがもう、青春そのものじゃん……。 奏斗が自分の気持ちに気づくシーン、胸がギュッとなったよ。冴も写真を大事そうにしまってるところ、めっちゃ可愛い……。 次回の文化祭準備、冴が「俺のことだけ見ててほしい」って言っちゃうの!? もう待てないよ!🔥