「へぇ〜…疲れたぁ〜」
食堂で肘をついて掌の上に顎を乗せる鳥愛(とあ)。
「お疲れ様です」
天美(あみ)はペコリと頭を下げる。
「私特製の唐揚げあげるので」
天美は箸で唐揚げを掴んでドライカレーのお皿に置こうとする。すると鳥愛が口を開ける。
「もしかして、あぁ〜んですか?」
口を開けたままコクコク頷く。
「甘えん坊だなぁ〜。はい、あぁ〜ん」
鳥愛の口に唐揚げを突っ込む天美。
「あ…あんあいえあい(訳:案外デカい)」
右手で唐揚げを掴み、一口分噛みちぎりドライカレーのお皿の上に置く。
「うん。ニンニクが効いてて元気が出る」
「美味しいでしょぉ〜」
「うん。美味しい。結婚して」
「やぶさかではない」
なんて話をしながらお昼ご飯を食べる。
「今日飲も」
とドライカレーを食べながら呟く鳥愛。
「外で?」
「いや家で」
「あんま外で飲むって聞かないですよねぇ〜」
「あぁ〜。そうね。単純に勿体無いってのもあるし」
「あぁ〜。外食高いですもんね」
「そ。って言っても自炊しないから一緒なんだけどね」
「たしかに」
「あと私あんまお酒強くないから、酔って迷惑かけたくないし」
「なるほどぉ〜。じゃ、私と一緒なら行きますか?」
「ま、行ってもいいけど、天美ちゃんと一緒なら家がいいわ」
「あら。なんでですか?」
「え?くつろげるし、天美ちゃんの料理、下手な外食より美味しいし」
「なぁ〜るほど。鳥愛先輩は私の料理目当てですか」
「ま、否定はしないけど、天美ちゃんと一緒にいると落ち着くし」
「むふぅ〜」
褒められてあからさまに嬉しそうな顔をする天美。
「褒めても缶チューハイしか出ませんよ?」
「出るんだ」
と言った後、ふと思い出したことがあり
「今日家で飲みたい理由もう1つあったわ」
と言う。
「ん?」
「新曲聴きながら晩酌するためだ」
「あぁ〜。そういえばそうでしたね」
「疲れ軽減されたわ。頑張ろ」
という一方、アイビル、士、葉道、蘭、男子組はお昼ご飯を食べ終え、スマホをいじりながら話していた。
「今年の文化祭なにやるんだろーなー」
葉道が自分の机に足をかけてアイビル、士、蘭に投げかける。
「さあぁ〜。文化祭係は夏前までに決める感じでいそいそしてるけど」
「オレは割とどーでもいいけどなぁ〜…。お、契約更新間近か。ま、そうだろうな」
とスマホを見ながら言う士。
「士はサッカーで盛り上げるもんねぇ〜。知らんけど」
「ま、都内に潰したい高校あるしな…」
と静かに闘志を燃やす士。
「潰っ。怖っ。ヤンキーかよ」
「スポーツ強豪校。都内で言うと陽学(ヨウガク(太陽(ひ)之光学園の略称))とかか」
「だなぁ〜。あそこの一強だろ」
「あと黒ノ木(クロノキ(黒ノ木学園の略称))も」
「へぇ〜。黒ノ木も強いんだ?」
「男子校だから他にやることないんだろ」
「「あぁ〜」」
葉道も蘭も納得した。
「去年の文化祭はなにしたの?」
とアイビルが聞く。葉道と蘭は顔を見合わせて
「オレらのクラスなにしてた?」
「あぁ〜…」
と思い出していた。
「オレのクラスはヨーヨー掬いとか射的の屋台だったかな」
と士が言う。
「へぇ〜。ヨーヨー掬いに射的か。楽しそうだね」
「ま、店番は楽だったね。オレが店番のときお客さんあんま来なかったし」
まあ、そんな仏頂面でいたらお客さん来づらいよなぁ〜
と士を見て思う葉道と蘭。
「あ、オレらのクラスあれだ。執事、メイドカフェ」
「そうだっけ?それ別のクラスじゃね?投票で1年の1位獲った」
「それは女装、男装カフェだろ」
「あれ?執事、メイドカフェと違うんか」
「違う違う。オレ出たもん。葉道サボってたけど、オレは顔がいいからって駆り出されたもん」
「なにかなぁ〜?オレは駆り出されるほどの顔じゃないって言いたいのかなぁ〜?んん〜?」
「んなこと言ってないけど。ま、オレはそこそこ人気だったよ」
と詰める葉道、あしらう蘭の話を聞いて
「あ、だから「執事の人がバンドに出るらしいよ〜」とか言って
女性の方が多く野外ライブ会場とか体育館行ってたのか」
と納得した士。
「そっか。2人はバンドでライブ出たんだ?」
とアイビルが、蘭に詰める葉道、それをあしらう蘭、2人に言う。
「あぁ。そうそう。うちの文化祭、舞台ってのが体育館と校庭、2箇所あってね。
基本的に音楽関係は校庭でやるんだけど、オレたちは体育館と校庭両方やってね」
「楽しかったなぁ〜」
「みんなノってくれてね」
「有名になった気がしたわ」
とめちゃくちゃ笑顔で言う葉道。
「じゃあ今年も?」
とアイビルが言うと
「「もちろん」」
と声を揃えて言う葉道と蘭。
「じゃ、士と見に行かないとだね」
とアイビルが言うと
「あ…あぁ。そうだな」
と少し照れくさそうに同意する士。
「そういえばアイビル、今年の文化祭でなんかすんでしょ?」
と蘭が言う。
「あぁ〜。よく覚えてたね」
「うん。オレらが喜ぶかも?みたいなことだって言ってたから」
「言ってた!」
思わず大きな声が出る葉道。
「うるさいなぁ〜…。言ってたでしょ?」
「言ってた!よく覚えたたね。さすが蘭姉」
「兄ちゃんな。いや覚えとけよ。オレたちが喜ぶかもって言ってたんだから」
「でもなんなん?」
葉道がアイビルに聞くと蘭もアイビルを見て、少し興味があるのか、士も視線だけをアイビルに向ける。
「それはぁ〜…秘密だよ」
「なんん〜…。じゃあジャンル!ジャンルだけでも」
「だから前も言ったけど、オレたちが喜ぶって言ったら音楽関係だろって」
「わからんやん!セクシーお姉さんかもしれんやん」
「それは葉道だけだよ。喜ぶの」
「んん〜?蘭姉」
「兄ちゃん」
「も喜ぶだろぉ〜にぃ〜。このムッツリさんめ」
スンとしている蘭。
「ま、士のほうが喜ぶか」
と葉道が言うと
「喜ぶか!」
とムキになって立ち上がる士。
「うわっ、ビックリしたぁ〜」
大きな声を出して立ち上がったのに、恥ずかしくなって座る士。お昼休みも終わり午後の授業へ。
葉道や士、円(まどか)は寝ており、アイビル、蘭、万尋(まひろ)、虹言(にこ)は割と真面目に授業を受けていた。
「葉道、葉道」
アイビルが葉道の肩を優しく叩く。
「んん〜…ん?」
「授業終わったよ」
「おわ?…んん…終わったのかぁ〜」
伸びをする葉道。
「葉道、またフル寝してたんか」
蘭が葉道のほうを向いて言う。
「いやフルではない。開始5分は起きてた」
「うん。それはほぼフルよ」
「士も寝てたし。なんならオレより早く」
「マジかよ」
「開始1、2分で伏せてたから」
「ヤバ」
「いや、午後の授業寝ないアイビルとか蘭のほうがヤベェよ」
「いや、高校生のセリフじゃねぇ〜よ」
「いや、高校生ならではのセリフだろ」
「あぁ…まあ…たしかに」
と珍しく蘭が負けた。士も席で伸びをしており
「葉道、ノート、オレのも書いて」
と葉道より酷いお願いを葉道にしていた。
「なんでだよ!」
「オレ今日部活だし」
「いや、オレだってバンドの練習」
「ないよ」
と蘭が言う。
「え?」
「今日は練習ない」
という蘭の言葉に
「じゃ、よろしく」
と言う士。
「ふざけんな」
と寝てた組がバカなやり取りをしていた。
「よかったぁ〜。午後は1コマしか入ってなくて」
とお疲れ様気味だが、少し嬉しそうな鳥愛(とあ)。
「よ、良かったですね?」
「あ、クラス帰ってホームルームだ」
「お忙しい」
「つっても天美ちゃんもそろそろ家庭科の授業始まるでしょ?あーっと?」
「あぁ、そうですね。どうしようかなぁ〜って考えてるとこです」
と言う天美の話を聞いているのか聞いていないのかわからない鳥愛は
「あ、じゃ、いってきます」
といそいそと職員室を出て行った。
「いってらっしゃーい…」
と一人呟く天美。いそいそと教室に行く鳥愛。
「あ、鳥愛ちゃん来た」
と教室内の生徒が自分の席に座る。
「えぇ〜…」
と鳥愛は帰りのホームルームを進めながらも頭の中で
今日は早めに帰って、ビール買って…いや?ビールは家にあるか?あったか?一応買うか。
ビールとお惣菜をテキトーに買って、家でreplicestのAI:β(エーアイ:ベータ)くんの新曲を聴くんだぁ〜
と考えていた。
「ありがとうございました」
「さよーならー」
「はーい。気をつけて帰ってね〜」
ホームルームを終え、生徒たちがそれぞれ鳥愛に帰りの挨拶をしたり
友達にバイバイをしたりして教室内が一気にざわつき始めた。
他クラスもだいたい同じタイミングで終わったようで、他クラスの生徒が教室に入ってきたりもしていた。
「士ー」
「ん?」
他クラスの士と同じサッカー部の夏元(ナツモト)気李人(ケイト)が入ってきて士の机に座る。
「他校との練習あるって話聞くじゃん?」
「あぁ」
「それいつわかんのかな?」
「知らん」
「どこだと思う?」
「知らん」
と言いながら立ち上がる士。
「あ、士ーまた明日なー」
と葉道が言う。蘭もアイビルも
「士。また明日」
「また明日ね」
と言う。士も
「おん。また明日」
と言って教室の出入り口へ歩いていく。
「部活頑張れよー!」
と叫ぶ葉道。
「あの水色髪の超絶イケメンは誰?」
士の後ろをついて歩いていく気李人が士を聞く。
「転校生のアイビル」
「外国人!?」
「らしいよ」
「ほえぇ〜。ま、オレも同じくらいイケメンだけどなっ!」
特にツッコミもせず歩いていく士。
「サッカーかぁ〜。オレも才能あったかもだよな」
と葉道が言う。
「葉道はボーカルをするためだけに生まれてきた存在だから」
と言う蘭。
「なっ…。ん?いや、ツッコもうとしたけど、もしや褒められてる?」
聞いていたアイビルも、そう言った張本人の蘭も
…どっちなんだろう
と思った。
「んならオレらも帰るかー。バンド練もないことだし」
と葉道がスクールバッグを持って立ち上がる。
「だな。アイビルもこの後なんもないなら帰ろ」
と蘭も立ち上がる。
「うん」
と言いながらアイビルは鳥愛を見る。鳥愛は円に
「ねえねえ、口のピアス可愛くない?」
と唇のピアスを見せられていた。
「可愛いー…どうかなぁ〜」
「えぇ〜。先生もぉ〜?万尋も同じような反応だったー」
「うん。まあ、学校ではつけないでね」
「はあぁ〜い。でももう帰るだけだから、ね?」
と言う円。
「イテッ」
そんな円に軽チョップする万尋。
「外しんしゃい」
「でもよくない?もう帰るだけだし」
「まあ〜…」
と万尋は鳥愛を見る。円も鳥愛を見る。
「まあぁ〜…。他の先生にバレないようにね?」
と人差し指を唇にあて「秘密」ポーズをしながら円に言う鳥愛。
「やったぁ〜!先生大好きぃ〜」
「そんなんで好かれてもだろ」
と言う円に
「あ」
思い出したことがあり、クラスの中心ぽい円に伝える鳥愛。
「まだ先だけど、体育祭の幟(のぼり)とかバナー?っていうの?横向きの旗作るなら
そろそろどんな文字にするかとか使う色とか決めて練習しといたほうがいいよ」
「あぁ!そうだね」
「そうですね。だろ」
「ほおほお。毎年楽しいんだなぁ〜あれが」
「楽しいか?」
「楽しいよぉ〜。去年なんてまよちんの顔に落書きして…。あ、思い出したら腹立ってきた」
「勝手に楽しくなって勝手にムカつくなよ」
円は黒板の前の段差に上がり、教卓の後ろ、鳥愛の横に立ち
「皆の衆!」
とみんなに呼びかけた。今教室にいるみんなの視線が円に集まる。
「なんだ?」
「なにしてんだあいつ」
帰ろうとしていた葉道、蘭、アイビルも立ち止まって円を見る。
「明日から体育祭で使う幟のデザインを決めるので、放課後残れる人は残ってください!」
と叫ぶ円の前で小さくなる万尋。円の横で小さくなる鳥愛。
「こっちが恥ずかしくなるんですよね」
「わかるわかる」
「あ!葉道!」
円が帰ろうとしている葉道を指指す。円に注がれていた視線が葉道に移る。
「なっ、なんだよ」
「蘭姉」
「兄ちゃんな」
「2人はマストで残ること!」
「「は!?なんでだよ!!」」
2人がハモる。
「だってうちとバンドの練習ないときはどーせ暇じゃん」
「失礼すぎねーか?」
「ま、間違っちゃないけどな」
「あとぉ〜。アイビルくんも残ってくれるとぉ〜目の保養になるぅ〜」
クネクネしながら言う円。鳥愛もアイビルを見る。
「あ…」
アイビルは円を見てから隣にいる鳥愛を見る。
「あ、うん。いいよ」
と笑顔で了承するアイビル。
「っしゃー!これで女子もある程度確保できる!」
「あぁ。アイビルくんファンの利用目的か」
と万尋が呟く。
「え、アイビルくんってそんなに人気なの?」
思わず聞く鳥愛。
「あぁ、まあ。私は虹言と」
顎で円を指し
「あれとしか仲良くないんで他の女子はわかりませんけど
なんかちらほらアイビルくんの名前が女子のグループの会話から聞こえてくるのはたしかです。
ファンかどうかは知りませんけど、ま、あの顔ですからね」
と万尋がアイビルを見る。鳥愛もアイビルを見る。
明日から居残りが決定してうげぇ〜という顔をしている葉道と
マジかよと肩を落とす蘭、2人を見て苦笑いするアイビル。
たしかにまつ毛長いし、目は大きくもキリッとしてるし
まつ毛も髪の毛も水色で、瞳も氷みたいな水色で、肌も透き通るような明るい色で
とアイビルのことを考え、アイビルを褒めちぎっている自分を振り払うように頭を左右に振る鳥愛。
「じゃ、あとはよろしくね」
と万尋に後のことを頼んで教室を出た鳥愛。その鳥愛を目で追うアイビル。
「…」
すぐ感想聞きたいけど…
鳥愛は職員室に戻り、仕事はどうせ明日から自分の受け持つクラスの生徒が
居残りで作業をするからそのときにするということで
「お疲れ様でした」
と職員室の先生方に挨拶して
「じゃ、天美ちゃんもお疲れ。また明日ね」
「はあぁ〜い。お疲れ様でした。また明日です!」
と天美にも挨拶をして職員室を出た。いそいそと下駄箱で外履きに履き替え、校舎を後にし
駅に向かい、電車に揺られ、自分の家の最寄り駅で降り、スーパーに寄ってお惣菜とビールを買って家に帰る。
「ただいまぁ〜」
と誰もいない部屋に向かって言う。
電気をつけてスーパーで買ってきた物を冷蔵庫にレジ袋のまま入れて
スーツを脱いでそのままお風呂に入り、お風呂から出て冷蔵庫を開く。
「あ、ビールあったか」
と呟きながら缶ビールを取り出してプルタブを開けて一口飲む。
「っ…はぁ〜…」
レジ袋を取り出して缶ビールを冷蔵庫にしまってお惣菜をレンジに入れて温める。
温めている間リビングへ行ってテレビをつける。特に見たいテレビもないが無音で寂しいのでつけているだけ。
スマホでMyPipeのアプリを開き「replicest」のチャンネルへ行く。
するとAI:β(エーアイ:ベータ)の「Love “Love DeliBird”」という新曲が
プレミア公開で21時、夜9時に公開される設定になっていた。
まだ公開前。しかし「Love “Love DeliBird”」AI:βというタイトルの下
さらに公開時間の下には21,522人が待機中という文字が表示されていた。
「マジか。すご」
その数字は減ったり増えたりしており、減っても2万人を下回ることはなかった。
「ま、そもそも個人チャンネルじゃないしね。Sheknow(シノ)ちゃんとか
RNO(アールエヌオー)ちゃんとかSTAZ(スタッズ)さんとかもいるしね。
それぞれのファンがチャンネル登録したらそりゃ莫大な登録者数になるわな」
と呟いているとレンジが鳴く。
「はいはいはいはい」
スマホと缶ビールをローテーブルに置いてレンジへ向かい、レンジからホカホカのお惣菜を取り出して戻る。
どうせならテレビで見ようと公開時間の直前でテレビをMyPipeに切り替え
ビールを飲みながらお惣菜を食べ待機していた。
まもなくカウントが始まり、0になってもしばらく待ってようやく始まった。
MVはいつも通りアニメ調で、いつも機械感が少しある肌の人型のAIが出てくるのだが
今回も同じAIが出てきて、前奏部分は横断歩道を行き交う人々の足元。
そんな人間の中、仕事はできるが周囲と馴染めないAIが
喧騒を忘れるため自然溢れる田舎へ行き、川辺で座っているところから始まる。
人の肌より青白く、機械の部分が少し露出したAIの手に鳥が留まる。
AI:βくんのいつもの機械チックなアップテンポのリズム感あるメロディーが前奏で
田舎に来て手に鳥が留まった瞬間に映像がバグったようにザザッっとノイズが走り
曲調もアップテンポなものからスローテンポな曲調に変わる。
そんな感じでアップテンポな曲調とスローテンポな曲調が変わる変わる変わり
その割合がどんどん変わっていき、曲の最後はスローテンポな曲調で終わった。
歌詞も冷たい手に鳥が留まり「”Cold hands, warm heart.“」
翻訳アプリで翻訳したら「冷たい手、温かな心」という意味で
全体的にAIが素敵な鳥「Love DeliBird」に出会って
AIのシステムに異常をきたし胸が温かくなり、心ができ人間に近づくというストーリーだった。
鳥愛は1回聴き終えすぐに2回目を聴いた。
「おぉ〜…。相変わらずいいメロディーで、癖になる感じ。明日の通勤時のお供確定です」
と言ったもののMyPipeで配信されてすぐに鳥愛が愛用している音楽アプリ
nyAmaZon(ニャマゾン)Musicで配信されているわけもなく
「…。ま、朝起きて歯磨くときMyPipeで流して、着替えるとき流して、あとは電車の中で流すか」
と歩きながら聴くことは諦めた。AI:βの新曲のコメント欄も
「なんか新しい感じ!」
「癖になるメロディーが変わる感じ」
「テンポ違うのに移行がスムーズ。さすがです」
「好き!」
などファンのコメントで溢れていた。鳥愛もコメントを見て
「わかるわかる」
と頷いて同意したものの、鳥愛はコメントするタイプではないのでコメントはしなかった。
ビールを飲み終え、お惣菜も食べ終わったところで
「さ。明日から帰り遅いし、体力充電のために早く寝ますかね」
と呟いて寝ることにした。
「アイビル〜なんでベランダにずっといんの?」
「いや、感想が聞きたくて。もういっそ飛んで行こうかなって」
「誰に、どこに」
「…いや別に」
と諦めてベランダからリビングに戻ってくるアイビル。
「アイビルの新曲、いい感じだったじゃん」
「聴いたんだ」
「そらぁ〜聴くよ。私も新曲作る意欲が湧いたよ!」
「そらぁ〜よかったな。シノ」
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