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やっぱり雑渡さんだったか、、、めちゃくちゃ面白いです!
あっという間に4日が過ぎた。
今日、俺は城を落とす。
「八。」
部屋で出発の準備をしていると、雷蔵がやってきた。
「雷蔵、どうしたんだ?」
なんでもないようにニッコリ笑って問うと、雷蔵は思いつめたような顔で俺を見た。
「……聞きたいことがあるんだ。今時間ある?」
「あぁ。」
ついに来たか。
「良かった、じゃぁ、行こうか。」
そう言って歩き出した雷蔵の背を見つめる。
あの授業から四日間、俺は城を落とす準備に力を入れた。5年生とあまり関わらないようにし、学園にいる時間を減らした。
あんな事があった後というのもあって、三郎達は俺に近づこうとしてきたが俺は得意の変装や気配をけしたりして逃げた。
「ここだよ。」
立ち止まった雷蔵が指さしたのは道場だった。気配は9つ。5年生、6年生だろう。そしておそらく、気配は感じないものの先生方もいるのだろう。俺は雷蔵に続いて道場の中へと入っていった。
やはり、道場の中には5年生、6年生がいた。天井に意識を向けると、恐らく先生であろう気配をいくつか感じた。
「で?聞きたいことって?」
あぐらをかいて得意の笑顔で聞くと、何故か三郎達5年生は悔しそうな、悲しそうな顔をした。
「…八の生きてきた未来について。」
「………。」
真顔になりそうになる顔を必死でこらえて笑顔をより一層深める。
「何で?」
道場の空気が俺の一言で重くなる。
「……出会ってからの八の言葉、行動。違和感を感じたんだ。」
兵助が静かに呟いた。
「……何処に?」
そう問うと、三郎が口を開いた。
「違和感を感じたのは3つ。1つ目は私たちの戦い方を知らないといったこと。」
「俺はお前らがどんな戦い方なのか知らないから」
「2つ目は街に行った日の門での忠告、4日前の言葉。」
「お前ら気配の消し方雑すぎ。」
「早死しますよ。」
「3つ目はお前のその胡散臭い笑顔。お前は私達の知る竹谷八左ヱ門じゃない。未来で、何があった?」
三郎の咎めるような瞳が俺をうつす。
「…………。」
鷹の声が響く。
天井に意識を向けると、知った気配が近づいてくるがわかる。
「なにか言ったらどうなの?」
勘右衛門がそう言ったとほぼ同時に、その気配が天井から降りてきた。
「それは私が説明してあげるよ。」
俺の肩に手をおいた声の主を見た三郎達は、意味がわからないというように俺の顔を見た。
「なっ何で、」
伊作先輩が戸惑った声を上げた。
「久しぶり。だね、伊作くん。はじめまして、竹谷クンと同じ未来からきた、雑渡昆奈門です。」
雑渡はニマっと笑って三郎達を見た。