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#ヤクザ
夏目萌*優しい彼~コミカライズ
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鷹槻れん

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うわあ……里菜さんが梓沙の依頼で動いてたって、ようやく明かされたね。和葉が「私のこと知ってたよね?」って真っすぐ問い詰めた場面、すごく静かに迫力があったよ。里菜も悪意からじゃなくて“妹みたいな子”の話を信じちゃっただけってのが切ないな……。実際に和葉と話して違和感に気づいたって言ってたから、これからどうなるのか気になる🥀
「分かった。いつも通り千宙に同行を頼もう。俺も近くで待機してる」
「ありがとう……きちんと話をして、お別れもしてくるわ。詩音や卓也くんには可哀想だけど……」
「そうだな……大人の都合で二人が会えなくなることは胸が痛むが……こればかりは仕方がない」
「うん……」
俯く和葉の姿を見つめた湊はそっと声を落とした。
「辛い役回りをさせて悪い」
「湊さん……」
「でも、もうこれっきりだ」
そう言って湊は安心させるように和葉の肩を抱く。
「もう二度と和葉にこんな思いはさせないから」
その言動に和葉は何も言わず、ただ静かに頷くのだった。
里菜との約束の日、いつも通り千宙と詩音を連れて公園へやって来た和葉。
「それじゃあ、詩音たちをお願いね」
「分かった」
千宙に詩音と卓也を託すと和葉と里菜は少し離れた場所にあるベンチに並んで腰を下ろした。
すると里菜が不思議そうに和葉の顔を覗き込む。
「和葉さん話があるって言ってたわよね? 何かしら?」
その言葉を聞いた和葉は膝の上でそっと手を握りしめると意を決して口を開いた。
「里菜さんが声を掛けてくれて、お友達になれて……私、本当に嬉しかったの」
「……どうしたの? 急に」
「……でもね、それと同時にずっと心のどこかで疑ってる自分もいたの」
「疑ってた……?」
里菜の表情が僅かに曇る中、和葉はまっすぐ見つめたまま静かに問い掛けた。
「ねぇ里菜さん、隠さないで正直に話してほしいの」
「……何を?」
「私に声を掛ける前から……私のこと、知ってたよね?」
核心を突く問いに里菜の表情が一瞬だけ強張ったけれど、すぐにいつもの笑顔を浮かべると何事もなかったように首を傾げながら、
「どうしたの? 和葉さんの言ってること、よく分からないわ」
質問をはぐらかそうとするのを和葉は見逃さなかった。
「お願い……答えて」
真剣な眼差しでもう一度そう告げると、その言葉を聞いた里菜は黙り込んだ。
そんな里菜を見つめながら和葉は責めるような口調にならないよう、ゆっくりと言葉を選んだ。
「貴方を責めたくて、ここに来たわけじゃないの」
「…………」
「ただ……どうして私に声を掛けたのか、どういう経緯でそうしたのか……それだけは話してほしいの」
訴えかけるような和葉の言葉に里菜は俯いたまま黙っていたけれど、
「…………貴方の言う通りよ。私は……初めから知ってて声を掛けたわ」
観念したのか俯いたまま、ぽつりぽつりと話し始めた。
「私にはね、妹のように大切な存在の子がいるの」
「妹のように大切な存在……?」
「君嶋 梓沙……和葉さんの旦那様を狙っていた人よ。以前お見合いしていなかった?」
「あの、お見合いの相手…………。その方と里菜さんは、どういう関係なの?」
「梓沙のお父様と私の父が知り合いで学生時代から交流があったのよ。梓沙は私より四つ下だから、一人っ子の私にとって妹のような存在なの。だから大人になっても定期的に会っていたし、梓沙には色々悩みを相談してた。そんな中で、梓沙が私にお願いしてきたのよ」
里菜は梓沙に和葉や湊を探ることになった経緯を順に話始めた。
「ねぇ、里菜ちゃん、少し前に、ある方とお見合いするって話したでしょう?」
「ああ、うん、あったね」
「あの縁談、駄目になりそうなの」
「え?」
「……相手の人にね、好きな人がいたの」
「お見合いしたのに?」
「彼はお父様に言われて嫌々だったみたいで……」
「何それ、酷い話だわ」
「……でも、私、彼のこと、諦めたくないの……」
「梓沙……」
「諦めた方が……いいのかな?」
「想い人がいるって、二人は上手くいきそうなの?」
「……彼のお父様から聞いた話だと、彼は相手の女に誑かされているって……」
「何それ? それじゃあ相手の女が悪いんじゃない。彼のお父様は梓沙のこと気に入ってるんでしょう?」
「……うん、そう言ってくれてる」
「お父様の方から言ってもらえないのかしら?」
「彼が聞く耳を持たないみたいで……」
「梓沙、そんな男、やめといた方がいいよ。他にも良い人がいるって……」
「嫌! 私、彼に一目惚れしたの! 諦めきれない! ねぇ里菜ちゃん、お願い! 相手の女と接触して、彼と別れるように仕向けて!」
「え?」
「相手の女にはね、子供がいるの……ちょうど卓也くんと同い年くらいの子が。だから偶然を装って近づいて、色々探りを入れてくれない? 駄目?」
「梓沙……」
妹のように可愛がっていた梓沙からの頼みとあって里菜は悩んだ末に、
「分かったわ、とりあえず、その女と接触してみるよ」
梓沙の力になれたらという思いから梓沙の話を鵜呑みにした里菜は和葉に近づくことを了承した。
「今思えば、馬鹿な話よね。妹のように可愛がっているのなら……きちんと説得するのが私の役目だった」
里菜はそう言って小さく息を吐いた。
「里菜さん……」
「和葉さんに声を掛けて、連絡先を交換して……それから色々と話をするようになってね、少しずつおかしいって気づいたのよ」
梓沙から聞かされていた和葉は人の気持ちを考えないような女性だったけれど、実際に話をしてみるとそんな印象とはまるで違っていることに気づく。
そして和葉と湊が既に結婚しているという事実を知ったとき、里菜はすぐに梓沙へ報告した。