⚠️夢主様side⚠️
「貴方はイカれてる。」
私は目の前にいる彼に向かってそう言う。
「それは理解済みだよ。とっくにね。」
この常に余裕そうな素振りを見せるこの男はレナ。天使のようにも見える人外。双子の兄にエナがいるが、エナと違って性格が悪く、弱点が分からない。
「そんな怖い顔しないでよ。僕の性格が悪いとかそんなこと考えてるんでしょ。顔に出てる。」
察しがいいところも苦手だ。さすがに理不尽だろうけど。レナだから苦手なのだろう。なんでそんな相手と話してるのかというと、私は今動けないのだ。最近敵対的な人外が出たから逃げようとしたけど転んだうえに頭を地面に強打。とんでもないドジをしている。
「…当たり所が悪かったら確実に死んでたよ。良かったね、生きてて。」
「………。」
私は無言で彼を睨む。今動くことが出来ないから立ち上がるくらい手伝ってくれてもいいのではないか。それどころか彼は私が苦しそうにしてるのを見て楽しんでいるように見える。ほんっとに性格悪い。
「……その顔いいね。ははっ、もっと見てたいけどそろそろ我慢の限界だろうから、手当てしてあげるよ。…エナが。」
なんなんだこのサイコパス兼ドSは。そしてエナにやらせるのか。なんて奴なんだろう。正直彼にはうんざりしてるが、今は私の傷が悪化しないようにか、私の体に負担がかからないように抱えてくれている……気がする。なんだか弄ばれてる気がして気に入らない。ゆっくりレナの顔を覗き込んでみると、真剣な表情をしていた。まるで、私を絶対に傷つけないとでもいうように。その後はエナに押し付けたものの、一瞬見えた心配そうな表情は……。気にしていても仕方ない。私はエナと向き合って座っては、手当てをしてもらった。
「はぁ~………めんどくさいなぁこの感情。意地悪したくもなるけど、助けたくもなる。なんなんだよほんと。」
部屋を出た後にレナがこんなことを呟いてたなんて、私は知る余地もない。
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