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※この作品には(多分)全体的に不快と思わせる部分や、ショッキングな表現がされています。検索してはいけない言葉オールスターと合コンしてる様な感覚になるので合コンが苦手な方は逃げて下さい。
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そして現在、いつかの夏。
私はいつも通り神社にやってきた。
縁側で項垂れる彼女が見える。
私はいつも通り勝手に入っては座った。
そしてなんとなく口に出す。
「…はぁ…お兄様……。」
「…あー?…何か言った…?」
食い付いてきたな。
特に何もなく、いつも通り、現実逃避を続ける巫女、
自分の犯した罪を上書きし続ける巫女。
私の友人 兼 関係者 兼 仲間。
「いやぁ、私のお兄様は一体何処に行ったのかと。」
「あいつ?…知らないわよ
どっかに婿入りでもしたんじゃない?」
「それだと目茶苦茶だろ」
「…か、消えたか、死んだか、
外の世界に連れられたとか?」
「そんな、神隠しとは訳が違うだろ…。」
「だから知らないって言ってんじゃん…。」
こいつ、適当だな。
判ってたけど。
…あぁ、そうだなぁ…可愛いなぁ。
お前は私の事、なぁんにも知らない。
それはそれは愛らしい程に、
その罪から故知りたがらない。
横目で私をじろりと見つめる。
汗がだらだらと流れるのが見える。
見てるだけでも暑そうだ。
と、彼女が続けて話した。
「ねぇ…何か持って来てない…?
涼しいやつ…」
「あ?なにそれ」
「何でもいいのよ…取り敢えず、涼しくなれる何か…。」
「んー、そこのホースから水でも出そうか?」
「あ゙ーー………いいねぇ………
後悔する程この室内濡らして…いいから…」
イカれてんのか?
ネタで言ったつもりなのだが、
どうやらそんな場合ではないらしい。
「やだよぉ。もっと愛させてよぉ。」
私は特に何も考えず、ホースで畳をびしゃびしゃにしながら白昼夢の思い出を控えめに話した。
今の「もっと愛させて」で、遠回しに全て伝えた。
これで伝わる。
「……それ、嫌だ。
何でそんな事いうの…。」
私は一生、「愛」を追求し続ける。
そこで私は、人生の中で初めて友達になった他人である
彼女を愛してみた。
強がりの罪隠し、騒音は嫌い。
その顔は私が見る中で一番、奇麗。
彼女にとって嫌な事を聞いた時の、
その歪んだ顔が好き。
怒りと不安と恐怖がぐちゃぐちゃになった顔。
口頭一番「あー…?」と言う所も含めて大好きだ。
もう、あの記録が抜かれた様に、
私以外、誰も彼女の罪状には触れない。
触れられない。
そう考えると、段々と彼女が可愛く見える。
それで逃げきったつもりなのか。
それで絶ち切ったつもりなのか。
あぁ
いいよ。許すさ。
その愛らしさに免じて、
私はお前の全て許す。
その代わり、
死んでも一生忘れさせないぜ。
私は暑そうにしてる彼女に近づく。
上に乗っかって、胸に顎を乗せた。
「あ…?…何よ
気味の悪い笑顔ね」
「お母様が死んだ後の話、聞きたい?」
「!!」
彼女は一瞬にして、血相を変えた。
少し睨んだようにもみえる。
「あはは、そういう所だよ…」
「………いいわよ…
そう言うなら、聞くわ。」
あああああ…
完膚なきまでのプライドと強がり…
真正面から聞くのか?
耳を塞いで聞くのか?
壊れるか
耐えるか
逃げるか
私にはこいつを愛す権利がある。
私が愛さなくなったら
君は三日で崩れるだろう。
誰にも愛されなくなって。
私以外にお前を愛す者なんてもう居ないんだ。
敬意のある者
感謝し尽くす者
信頼を置く者
誰もお前を「愛す」事なんて頭に無い。
唯一お前を愛してくれたアイツは死んだ。
愛が無いとどうなるか知ってるか?
一度経験しただろ。お前も。
忘れたか?
お前の白昼夢は物心の付く前の話か?
そんな訳無いだろ。
なぁ
愛を求めろよ。
「ほら、暑いから、そこ座りなさい。」
「はーい!」
私は隣の縁側に座った。
彼女は起き上がって直ぐにお茶を用意しに行った。
…彼女の家に麦茶あるのかな?
別に何でもいいけど。
最近判ったんだ
彼女は私にとっての、
愛すべき“オオデマリ”の花
それに気付いたなら
何度だって繰り返してやる
この運命論を。