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ベッドのシーツに深く沈み込み、指先さえも自分の意志では動かせない。
乱れた呼吸を整えることさえままならず
私はただ、シーツを弱々しく掴んで耐えることしかできなかった。
右側からは、ルカの熱い舌が私の耳たぶを執拗に這い回り
犬獣人特有のざらりとした感触が、脳の芯を直接掻き乱していく。
左側からは、セシルの細く冷ややかな指先が
私の鎖骨をなぞるように愛でていた。
その指が止まるたび、そこに何度も深く
消えない印を刻みつけるような執拗な接吻が落とされる。
「あ、ぅ……♡♡ふあ……っ、んん……!」
頭の芯が痺れて、視界がちかちかと白く明滅する。
さっきまで、あまりの重圧に泣いていたはずなのに。
今はもう、全身を焦がすような熱い快感と
二人の獣が放つ野性味あふれる匂いに包まれて
自分がどこにいるのか、誰なのかさえ分からなくなりそうだった。
「…アリア様。今の声、すごく可愛かったです。僕、この声を聞くためなら、なんだってできる」
「ルカ…っ、やら…♡」
「…ほら、もっと聞かせて?」
ルカが私の首筋に顔を埋め、深く、深く、私の香りを肺いっぱいに吸い込む。
その満足げに喉を鳴らす「グルル……」という低い振動が肌を通じて私の心臓にまで直接伝わってきた。
「……フフ。随分と蕩けたお顔をされていますね。あんなに拒んでいたのが嘘のようだ。…もう、私たちのいない生活など、想像もできないでしょう?」
セシルがいつの間にか眼鏡を外し、熱に浮かされた
どこか危うい瞳で私を見下ろしていた。
その瞳には、かつて公爵邸の秩序を守っていた
「完璧な執事」としての冷静さは微塵もない。
そこにあるのは、ただ一人の女性を屈服させ
その心も体も支配しようとする「雄」としての剥き出しの執着だけだった。
「……っ、二人…とも……!もう、やらぁ…っ…♡♡」
かすれた声で拒絶を口にする。けれど、その震える声に説得力など微塵もなかった。
「いいえ。やめませんよ」
二人の声が、冷酷なまでに美しく重なる。
「だって、アリア様は僕たち二人を『同じくらい大切』だって言ったじゃないですか。なら、同じくらい愛される覚悟も……当然、できてますよね?」
ルカが私の右手を恭しく持ち上げ、手の甲
そして指先を一本ずつ丁寧に
慈しむような愛惜を込めて食む。
その瞳は、獲物を決して逃さない猟犬のそれだった。
「……ええ。どちらかを選ぶ必要などないのです、アリア様。我々二人を、同時に受け入れればいい」
「…我々は、主様を『共有』することに決めましたから」
「……きょ、共有……っ!? そんなの……っ」
驚きに目を見開く私を余所に、二人は私の左右から同時に顔を近づけた。
逃げ場を完全に塞ぐように、熱い吐息が交差する。
「ルカの荒々しい熱も、私の冷徹な執着も…すべて、あなたに捧げます」
「……アリア様を、誰にも渡さない。悪い虫も、隣国の王子も、もう二度と近づけない。僕たち二人だけの、可愛い主人だから……」
「……んっ、んぅ……っ♡♡」
再び降ってきたのは、逃げ場のない二つの唇だった。
一人は情熱的に、一人は侵略的に。
左右から同時に奪われる吐息と
交互に繰り返される深い口づけに、私は逃げ場を求めて背中を大きく反らせた。
「…あ、ん…っ、ふ……っ、ぅ……♡♡」
トロンと力なく潤んだ瞳で、私はぼやける天井を見つめる。
そこには、かつて私が見ていた「平和で退屈な令嬢の日常」の欠片も残っていない。
あるのは、二人の獣人が、私の甘い「モフモフ禁止令」を糧に作り上げた
甘く、熱く、そして死ぬまで逃げることの許されない「愛の檻」だけ。
「……アリア様。……愛しています。……ずっと、ずっと、逃がしませんから」
耳元で囁かれるデュエット
私は、自分を愛し、守り
そして完全に支配しようとする二人の腕の中で
ただ深く、深い快楽の底へと沈んでいった。