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プラネット号は隠蔽魔法を使いながらセンチネル艦隊とは反対側、惑星ラーナ4の裏側へ回り込んだ。そして私とフェルを乗せたギャラクシー号も発進。惑星へと降下した。
大気圏を突破して地表が見えたけど……。
「わぁあっ……」
「世界が、凍ってますね……」
見渡す限りの銀世界。行き雪が降り積もり、湖らしき場所は見事に凍り付いてる。ここがラーナ4……氷の惑星じゃないか!
『現在正午ですが、外気温はマイナス58℃前後を維持しています。記録によれば、ラーナ4にしては暖かい時間帯ですね』
「暖かくてマイナス58℃!?夜は考えたくないね」
確かに地球でもマイナス50℃を下回る場所は存在する。シベリアとかね。でもあれはもっとも寒くて、だよ。
今ラーナ4は真っ昼間、一番暖かい時間だ。こんなに寒い惑星だけど、データを見る限り生物が存在する。いや、宇宙の神秘だね。
ちなみに太陽系で最も寒い惑星は天王星で、マイナス224℃だったりする。もう訳が分からない寒さだよね。だから、まあ……ラーナ4は暖かいほうだ。
「夜は皆凍り付いてしまいそうですね」
「こんな時じゃなかったら、フェルとゆっくり見て回りたい気分だよ」
こんな氷の惑星ではどんな生物が、どんな生態系を築いているのか。どんな地形をしているのか、気になることは山ほどある。前世じゃ観測による推測しか出来なかったけど、今世では直接行くことが出来る。
っと、いけない。今は集中しないと。
「このまま近くまでいくよ。フェル、周囲警戒は任せたよ」
「はい、ティナ」
出来る限り高度を下げて一気に加速。反対側にある居留地を目指すことにした。
1時間後、飛ばしただけあって居留地近くまで到着。加速しすぎて地面を抉ってしまったけど、命には代えられない。原生生物?ごめんなさい。
地平線に、ドーム型の建物が幾つか見えてきた。あそこが居住地!って!あれは!
「センチネルウォーカーを確認しました!数は1!」
「やっぱりウォーカー!」
体高10メートルくらいの四足歩行の牛みたいな形をした大型ロボットがゆっくりと居留地の周りを動いてる!
幾つかの建物からは、黒煙が上がってる。これ以上はやらせない!
「フェル!ビーム砲最大出力!アリア、サポートお願い!」
「はい!」
『畏まりました。照準サポート開始。ティナ、時間に限りがありますよ』
「分かってる!」
さらに加速させて一気にウォーカーへ近付く!こいつは分厚い装甲を持ってるけど、弱点は装甲が薄い足の付け根の稼働部位!
「ビームチャージ完了!」
「いっけーっ!!!」
アリアのサポートもあって、狙い澄ましたビームの一撃はウォーカーの前足の付け根を見事に撃ち抜いた。
「あっぶなっ!?」
そのままギャラクシー号はウォーカーの足元を潜り抜ける。どうなった!?
「フェル!ウォーカーは!?」
「前足に直撃!あっ!見てください!」
振り向いたら、ウォーカーの前足が二つとも自重を支えられなくなって根本から折れた。するとウォーカーはそのままに倒れ込んで大爆発を起こした。幸い居留地の建物を巻き込むのは避けられた。よし!今しかない!
「いくよ!フェル!アリア、ギャラクシー号はこのまま待機!周囲警戒を!」
「はい、ティナ!」
『お任せを』
一旦着地したギャラクシー号から私達二人はすぐに飛び降りて、近くのドーム型の建物へ飛び込んだ。
室内は暖かくて気圧も保たれていた。
「「ドレスチェンジ!」」
魔法でいつもの服に着替えた。宇宙服は動き難いしね。
「フェル!遅れないでね!」
翼を大きく広げて力一杯羽ばたいた。アード人の建築らしく天井は高くて通路の幅も広い。飛ぶことに何の問題もない。
「ティナ!」
「フェル!」
ただ、どうしても飛ぶスピードには違いが出る。だから私はフェルが差し出してきた手をしっかりと握った。これなら一緒に行ける!
通路を飛んでいると、爆発音が聞こえてきた。やっぱりまだ戦闘が続いてる!間に合った!
「フェル!この先で戦いが起きてる!」
「間に合いましたね、ティナ!」
「うん!このまま突っ込むよ!フェルは後からついて来て!」
ここで一旦手を離して、さらに加速。する。
「換装!」
いつものビームランスと盾を呼び出し、音がする方向へ一直線に突き進み。
『ティナ!この先の曲がり角を左へ!戦闘を確認しました』
「相手は!?」
バイオウェポンだったら厄介だ。どんなタイプが居るか分からない。
でも軌道上に艦隊が留まってるなら、別の可能性もあるのかな?
『解析終了、センチネルのバトルドロイドです!』
「ドロイド!?いや、迷ってはいられない!いくよ、アリア!」
減速せずに曲がり角を左へ飛ぶと、バリケードを作ってビームガンで応戦するアード人数人と、そこへ迫る人形のロボット軍団が見えた。ちょうど真横を突ける位置!
「このまま突っ込むよ!」
『危険です!』
「危険は覚悟の上!やぁあああっ!」
そのまま飛び出して、目の前にいたバトルドロイドの胸にビームランスを突き立てた。
「なんだあれは!?」
「同胞!?」
「撃ち方止め!撃つな!」
アード人の人達が騒いでる。邪魔してごめんなさい!でも奇襲効果を最大限に活かすには、これしかなかった。
バトルドロイド達も私が現れて混乱してるし!
突き刺したバトルドロイドを蹴飛ばして、次に飛び掛かる!止まったら殺られる!
「やぁあああああっっ!!!」
翼を力一杯羽ばたかせて飛び退き、壁を家って加速!ビームランスを大きく振り抜いて、3台を纏めて薙ぎ払う!
『ティナ!』
「っとぉ!」
左側からのビームを盾で弾く!ビームを見て避けるなんてそんな芸当はできない!私は遥か彼方の銀河の騎士さんじゃないから!
ならどうするか!撃たれる前に避けるか防ぐだけ!
「少女を援護しろ!間違っても当てるなよ!」
縦横無尽に飛び回るティナと、彼女を援護するアード人達の奮闘により、施設内に侵入していたバトルドロイドを撃退することに成功する。
アード人達を指揮していた青年がティナの下へ駆け寄る。
「ラーナ4防衛隊のテルスだ。君の名前は?」
「宇宙開発局のティナです。救難信号を受けて駆け付けました!」
「君のような少女が!?」
「はい!今すぐに脱出しましょう!生存者は!?」
「負傷者を合わせれば300は居るぞ!」
「さっ、300ぅっ!?」
何とか間に合った救援、だが想定外の生存者の多さにティナの計画は破綻。本当の戦いは始まったばかりだったのである。