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一章白いワンピースの女の子
二章
黒いオーバーオールの男の子
三章
出逢い別れ
最終章
想い人
一章 白いワンピースの女の子
【みんな幸せそう】
そう呟いたのは
白いワンピースを見に纏った
少女だった。
【いいな…。】
【私も一緒に幸せになりたいな】
少女はそう言うとボロボロと涙を溢し
【なんで、ねぇ私は1人なの】
【私だって…私だって…】
(ひとりじゃないよ)
【え…?誰?今声が…】
(君はひとりなんかじゃないよ)
【貴方は誰なの?どこにいるの?】
(僕はいつだって君の味方だよ)
【どこにいるの?】
(ずっと側にいて見守っているよ)
その少年の声と共に
いたずらに少女のワンピースがふわり
何かを合図したかの様に揺れた
【貴方の姿は見えないけど伝わる】
(姿は見せないよ?だって君は泣き虫だから。)
【私だって泣きたくて泣いてる訳じゃない】
少女が叫んだ途端少女の肩周りに温かい感覚
少女が振り返るとそこには泣いている少年
【貴方は…うぅ…うぅ…ん】
(だから言っただろう?君は泣き虫だって)
【だって…それは反則だよ…】
(君の泣いた時の口癖は変わらないね)
同時に少女と少年は口を揃えて
【(凄くだいすきだよ)】
【私ね、同じ気持ちでよかった】
(僕も同じ気持ちでよかったよ)
二人は力強く抱きしめ合った
二章 黒いオーバーオールの男の子
【大丈夫かな。】
心配そうに俯く黒いオーバーオールの少年
【僕が居なきゃだめなのに。】
【幸せそうに笑う君が好きだった】
【君と、もう一度一緒に居たかったな】
少年はそう呟くと強く祈り続けた
【君が幸せになります様に】
強く日差しが少年を照らす様に刺す
【うっ眩しい】
(みんな幸せそう)
【あれ、なんで君がここに】
(いいな…。)
【え?君に声は通ってないのか】
(私も一緒に幸せになりたいな)
【泣くなよ…僕だって同じ事想って居るよ】
(なんで、ねぇ私は1人なの)
【ごめん…ごめん。】
(私だって…私だって…)
お願いだから声届いてくれよ…と願いながら
少年は声を漏らした
【ひとりじゃないよ】
(え…?誰?今声が…)
は……っ!声が通ったのか!
【君はひとりなんかじゃないよ】
(貴方は誰なの?どこにいるの?)
目の前に居るんだけどな…
【僕はいつだって君の味方だよ】
(どこにいるの?)
やっぱり…見えていないのか……
【ずっと側にいて見守っているよ】
(貴方の姿は見えないけど伝わる)
もっと伝えたい…もっと届けたい…
でも見える方法が分からない……
【姿は見せないよ?だって君は泣き虫だから。】
(私だって泣きたくて泣いてる訳じゃない)
そうだよな……ごめん…うぅっ…泣いても意味ねぇのに
その瞬間少女の瞳の先に少年がぼんやり現れる
(貴方は…うぅ…うぅ…ん)
見えたのか……‼︎嬉しい…嬉しいよ…
【だから言っただろう?君は泣き虫だって】
(だって…それは反則だよ…)
相変わらずいつもと変わらない口調だな…
【君の泣いた時の口癖は変わらないね】
同時に少女と少年は口を揃えて
【(凄くだいすきだよ)】
(私ね、同じ気持ちでよかった)
【僕も同じ気持ちでよかったよ】
三章 出逢い別れ
君と僕が出逢ったのは
小学生の頃
僕が小学六年生で君は小学四年生
君は転校生として学校に入ってきた
二学年下の君
腰辺りまである黒髪ロングで白肌
まるでリカちゃん人形が動いてる様な
愛嬌溢れていた
通学路が一緒で
一緒に学校に通っていた
毎日他愛もない話をして
少しちょっかいをかけると
大袈裟にほっぺを膨らませて
涙を浮かべて怒る君
六年生の卒業の年
ねぇねぇ一緒に通わなくなるけど
遊んでくれるよね
そう君から言われた
正直びっくりした
僕だけの片想いだと想ってたから
毎日でも逢えるよと僕が言うと
嬉しそうに君は微笑んだ
それが何よりも嬉しかった
僕が中学に上がってからも
君とは毎日学校終わりから
夕暮れ時まで遊んでいた
この頃から互いの両親からは
ミニカップル誕生かしら
ってくすくす笑われる様になり
気まずい時もあった
だって告白すら出来てないのに
毎日お互い学校の事を話して
初めてのバレンタインが訪れて
君は照れ臭そうにチョコをくれた
友チョコだからって頬を赤らめながら言われた
それでも嬉しかったんだよ
手紙が入ってて
いつもは照れ臭くて言えないけど
転校してから私と毎日居てくれて
すごくありがとう本当ありがとう
これから先も毎日私と毎日会って
その六〇文字が
僕の心を揺れ動かしたんだ
ホワイトデーの日に
チョコと手紙を渡した
バレンタインチョコと
バレンタインの手紙ありがとうね
凄く嬉しかったんだよ
君に伝えたい事があるんだけどさ
僕と付き合って欲しい
僕なりに同じ六〇文字で返したんだ
君からの返事は
同じ六〇文字で返してくれる君が好き
お願いしますって言ってくれた
僕の心臓は嬉しさで飛び跳ねていた
君に聞こえてしまうじゃないか
それからの毎日は凄く幸せな日々で
互いの両親も喜んでくれていた
本当にミニカップルが誕生するなんて
私たちも嬉しいわ
それからは
お互いの家に招待しあって
ご飯を食べあっていた
一年記念日の日は
付き合った日を振り返っていた
二年記念日の日は
出逢った頃を振り返っていた
そしていよいよ
同じ中学に通える日が
中学の友達には
僕らの事はある程度知らせていた
なので二人で居ても
気まずさは無く
出逢った頃に戻ったみたいだよね
って笑いながら話し合っていた
でも出逢った頃と同じで
一年しか通えないねとも
悲しそうに君は言っていた
僕高校行かずに働くよ
将来を考えたいから
早めに仕事して卒業したら一緒に住もう
そう言うと君は
嫌!
と言ったんだ
え?断られた?
卒業したら
私は十六歳で貴方は十八歳だから結婚するの!!
君の大胆な発言に僕は顔を赤らめた
僕、頑張ります
そっから互いに結婚を意識しながら
ドキドキ中学生活を送っていた
今の時点で両親に伝えたら
両親はびっくりするから
僕が卒業する時に伝えよう
君の口癖は、いつだって
結婚したら〜
結婚する時は〜
それが可愛くてしょうがなかった
それを毎日僕はニヤつきながら
うんうんっ♡って聞いていた
時は
あっという間に
僕が卒業の日になった
君は毎日居るけど
泣きながら祝ってくれた
僕は君の涙を見て
君との為に頑張ろうと強く想った
親に帰宅後
彼女が卒業したら結婚する
と伝えたら
泣いて喜んでくれた
正直年齢も若過ぎるし
反対されるのも覚悟していたから
肩の力がすぅーっと抜けた
僕は夕方彼女をすぐ迎えに行ける様に
現場仕事で働いた
初めての給料の日
彼女に婚約指輪を買った
初任給だから安いけど
それでも値段なんて気にせず
彼女は泣いて喜んでくれた
それからも僕は毎日働いて
夕方彼女を迎えに行って送り届けて繰り返していた
仕事が慣れて落ち着いてくると
バイクが欲しくなった
バイクで彼女を乗せて
色んな場所に連れて行きたい
って考えるよーになった
驚かせたいからゆっくり考えよう
彼女とはずっと変わらず順調な毎日
でも彼女が変わったと言えば
結婚して子供を作るなら〜
って言葉に変わったことかな
僕は、
浮かれてないで勉強もするんだよ!
と時々言うと
欲しくないの?と意地悪そうに笑う彼女
そのやり取りまでがお互い好きだったんだ
彼女が中二の正月過ぎた辺りから
僕は仕事が忙しいから
って伝えて
迎えに行けなくなった
彼女は寂しそうにしてたけど
その分休みの日は
いつも以上にめちゃくちゃ甘える様になった
構ってくれないから今日は私の日だもん
ってまるで尻尾が生えてるんじゃないか
ってくらい可愛い子犬の様な彼女
日々の仕事の疲れが吹き飛ぶ
そんな毎日を繰り返していた
いよいよ彼女の卒業の日
僕はサプライズで
バイクで迎えに行った
彼女は
僕を見てキョトンとしていた
え?え?どういう事?
免許ないのにだめだよ?
と彼女は驚いた
一年前に取ったんだよ
一年経たないと後ろ乗せれないから
この日のサプライズの為に
頑張ってたんだよほら乗りなよ
彼女の親には
先に了承を得といた
サプライズにしたいのでお願いします
賛成してくれた
卒業後
彼女も仕事を選び
家の近所のお花屋さんで
働き始めた
面接の時に
結婚式を考えて居るので
花に詳しくなりたいので
応募しました
だってさ彼女らしい可愛い理由だった
次第に彼女と結婚式巡りをする様になってた
お揃いの家具とか家電を見に
だんだん現実帯びてきた
そして海に連れてって
彼女にプロポーズをした
毎日同じ家で僕とこれから先
共に過ごしてください
泣きながら彼女は喜んでくれた
隣通しで
お互い親に電話ですぐプロポーズを報告
幸せだねってバイクに跨り
お互い言い合う
凄く幸せだ
家に着く十分前の交差点で
信号無視の飲酒トラックが
僕達を目掛けて追突してきた
お互い追突する瞬間
手を握り
お互い意識が遠のく
お互いが薄れていく意識の中
大丈夫…大丈夫だよ……きっと……。
そう僕達は絶頂の幸せの前に亡くなったんだ
病院の音
泣いている互いの両親の声
ここから先は覚えていない
最終章 想い人
なぜ人は幸せと不幸が紙一重なのだろう
こんな幸せだった瞬間に不幸が訪れなくても
君と一緒に居たかった
と想っていたら
君が目の前に居たんだ
一緒に亡くなったんだ
君だけでも生きていて欲しかったな
でも、また出逢えて
僕は幸せだよ
どんな形でも僕は
また君と過ごせるのが嬉しかった
【これからも場所は変わっちゃったけど
ずっと一緒に居てくれるかい?】
【えぇ、もちろんよ】
終