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 案山子のように立ちはだかる、多数の広葉樹。

 森林地帯ゆえに当然の光景なのだが、二人の足取りは鈍らない。

 緑色の服で風を切りながら。

 灰色のローブを躍らせながら。

 エウィンとアゲハ。傭兵らしく、森の中を疾走中だ。

 呼吸の度に、土と草と樹木の匂いが鼻孔を刺激する。

 濃厚な空気が物体のように彼らの顔や体にぶつかるも、決して不愉快ではない。リラックスさえ出来てしまうのだから、自然と人間の相性は抜群だ。


「いました。右の方です」


 エウィンの声を合図に、林道から外れる。

 目的地を定めてはいないものの、やるべきことは明白だ。足取りに迷いは生じない。

 木々を避けながらも進むこと数分。少年の瞳が真っ先に標的を捉える。

 多数の広葉樹が視界を埋め尽くしてもなお、それは違和感の塊だ。

 キノコと呼ぶにはあまりに大きい、ウッドファンガー。市場で買えるシイタケが十センチメートルにも満たないのだから、その図体は十倍以上か。

 日光浴の最中なのか、魔物はその場から動かない。六本の根が足代わりなのだが、それらは自重を支えることに徹している。

 その様子を一方的に観察出来ているのだから、ここまではすこぶる順調だ。


「キノコ発見、と。アゲハさんさえ良ければ、早速始めましょう」


 予定通りではあるのだが、実はエウィンもまた緊張している。

 今日は普段とは異なり、ウッドファンガーを手当たり次第に狩らない。

 なぜなら、この外出の目的は、アゲハの実力を測ること。

 ルルーブ森林に出向いて以降、ひたすらに巨大キノコを狩り続けた。触れるだけで魔物を殺せるのだから、乱獲はすこぶる順調だった。

 その甲斐あって、彼女はさらなる成長を果たす。

 走る速さ。

 体力。

 どちらも大きく向上した。エウィンと比べるとまだまだ赤子でしかないのだが、この状態で日本に戻った場合、彼女はスポーツ選手として大成するだろう。

 しかし、ここはウルフィエナ。遠方のキノコは人外の力を持つ魔物だ。アゲハが萎縮するのも仕方ない。


「ど、どうしたら、いいかな?」

「プランとしては二つでしょうか。一対一で正面から殴り合うか、今までみたいに僕がキノコを拘束してから殴ったり蹴ったり……」


 エウィンとしては、ウッドファンガーと正々堂々と戦って欲しい。これは実力テストゆえ、実戦に近いやり方が理想だ。

 本音はそうであっても、魔物との殺し合いがいかに危険かは重々承知している。無茶をさせるつもりもなく、過保護かもしれないが代替案を提示した。


「じゃあ、今までみたいに……」

「了解です。では、とりあえず前進~」


 方針が定まった以上、立ち話は中断だ。

 前方には今回の獲物が呆けるように直立しており、人間の訪問を待ちわびている。

 アゲハだけが恐れおののく中、エウィンは意気揚々と歩き出す。


(遠征して、ぼちぼち十日くらい? 確かに、まだちょっと危険かもな。ここは安全にいこう)


 彼女は触れるだけで傷を治せる。

 そうであろうと、その能力を免罪符にすべきではない。即死は当然ながら、欠損に対しても対応は不可能だからだ。

 アゲハを守ると決意した以上、いかに試験と言えども危険は冒さない。合否は腕力ないし脚力で決定すればよいのだから、先ずは獲物を捕まえることから始める。

 エウィンはわずかに先行すると、ウッドファンガーをあっさりと確保してみせる。その際に体当たりを試みられるも、その程度の動作で怯むほど、この少年は未熟ではない。


「さて、こいつには犠牲になってもらいましょう。殴りますか? 蹴りますか? やりやすい方で構いませんよ」


 この世界の人間は、魔物に対し虐待という単語を用いない。自分達こそが虐げられる側だと理解しているからだ。

 そうであろうと、この構図はいささか不格好だろう。

 生きている巨大キノコを持ち上げながら、もう一人の人間へ殺し方を選ばせている。強者が弱者をいたぶっている構図だが、アゲハがどちら側の傭兵なのか知るためにもこの儀式は避けては通れない。


「あ、じゃあ、殴ってみようかな……。どう、思う?」

「いいと思います。今後はでかい魔物とも遭遇する機会はあるかもですし」


 例えば、巨人族。その巨躯はこの二人の倍くらいの大きさだ。実際には三メートルから四メートルといくらかばらつきはあるのだが、筋肉隆々ゆえに横幅もあることから、相まみえた際の迫力は数字以上だ。


「うん、やってみる」

「はい。痛めつけるのもかわいそうですし、出来れば一発でガツンと倒しちゃってください」

「あ、が、がんばって、みる……」

「そうだな、一発で倒せたらご褒美なんてどうですか?」


 他意のない提案だ。やる気を出させたいという下心はあるのだが、それ以上でもそれ以下でもない。

 しかし、アゲハには効果的だった。


「え⁉ な、なんでも……?」

「ん~、例えば、今日の夕食にデザート追加とか、他には……、あ、風呂上りにマッサージでもしましょうか?」

「マッサージで!」

「え、なんでそんなに喰いつくの……。まぁ、言い出しっぺは僕なので、もちろん構いませんけど……」


 交渉成立だ。

 アゲハが何を想像しているのかエウィンには微塵もわからないまま、二人はウッドファンガーを挟んで向き合う。

 鼻息荒い彼女だが、闘志は本物だ。ボクサーのファイティングポーズを真似て脇を締めると、格好だけなら一人前に見えてくる。


「では、どうぞ」


 エウィンの発言は号令そのものだ。

 キノコの柄をガッシリと掴みながら、眼前に差し出す。

 実際には少し傾けており、ウッドファンガーの傘、すなわち頭部をサンドバッグのように殴ってもらう算段だ。

 アゲハはその意思をくみ取るように息を吸い込むと、たわわな胸を揺らしながら弓を引くように右腕を後方へ。

 次の瞬間、魔物の頭頂部へ拳をめり込ませる。

 重々しい打撃音が静かな森を賑わす最中、少年は笑みを浮かべずにはいられなかった。


「お見事です。一発ケーオー、まさかこれほどとは……」


 お世辞抜きの称賛だ。

 実は、エウィンの予想は外れてしまった。今のアゲハがいかに成長したとは言え、ウッドファンガーンガーをただの一撃で倒せるとは思ってもいなかった。

 支えられ、殴られた巨大キノコだが、ぬいぐるみのように微動だにしない。直前まではうねうねと抵抗していたが、既にこと切れている。


「わわ、本当に、やっつけちゃった……」

「いやはや、すごいですよ。十日前後でここまで強くなれるなんて。僕とは才能が違うんでしょうね。それとも、日本人だからそういう素質があるのかな? どちらにせよ、羨ましい限りです」


 褒めずにはいられない。

 鍛えたからこそわかる。彼女の成長曲線は明らかに他者を上回っており、十一年間も横線を描き続けたエウィンとは明らかに別物だ。

 嫉妬心さえ芽生えそうな才能だが、少年は負の感情を抱かない。

 己の野望、すなわちアゲハを庇って死ぬという目論見が一歩近づいたのだから、喜ばしい限りだ。

 彼女の身体能力が向上した以上、活動範囲を広げることが出来る。

 ゆえに、より手ごわい魔物へ会いに行ける。

 つまりはそういうことだ。


「そ、それじゃ、帰ってお風呂……」

「まだ朝……、まぁ、構わないですけど。今日はゆっくりして、明日の朝、王国に帰りましょっか」


 アゲハが心底嬉しそうに涎を垂らす。なまめかしい妄想に浸っており、思考は既に暴走気味だ。

 一方、エウィンは魔物の亡骸を大地に置くと、港の方へ向き直す。

 あっさりと用事が済んでしまった。

 こうなってしまっては宿に戻るしかない。


(数日分の食糧を買って、汗拭きシートも補充して、うん、準備はあっさりと済ませられそう。今日でルルーブ港ともお別れか。これっぽっちも寂しくないな)


 故郷であろうと、苦い記憶の塊だ。長居せずに済んだことから、そういう意味でも安堵せずにはいられない。


(王国に戻ったら、当面はお金稼いだ方がいいんだろうな。仕事減ってるらしいから、どう転ぶかはさっぱりだけど……)


 遥か北西の土地で何かが起きている。

 単なる傭兵には知らされないような事件なのだろう。

 つまりは軍隊の管轄であり、彼らが何かと戦っていることだけは間違いない。


(いっそアゲハさんの鍛錬を継続するってのもありなのかな? だとしたら、次はどこで何を? 新・地理学六版に書いてあるといいけど。とりあえず……、あへあへうるさいアゲハさんを連れ帰ろう)


 試験は終了だ。

 そして、合格だ。

 ならば、次の課題へ進むべきだろう。

 今回の遠征は無事終了したが、ここがゴールではない。

 単なる通過点だ。

 明日はイダンリネア王国へ戻る。

 そう決めた以上、時間を持て余しながら今日という一日を過ごせば良い。


「あへぇ」

(幸せそうでなにより。若干気持ち悪いけど……)


 エウィンにとってのマッサージは、せいぜいが肩もみだ。それ以上の奉仕など考えていないのだが、アゲハは何かを期待している。

 誤解は数時間後には解けるのだが、それまでは妄想に浸ってもらうしかない。

 アゲハの急成長。

 少年にとってはうれしい誤算だが、実は思い違いをしている。

 彼女が別人のように強くなれた理由は、それ相応の魔物をこの森で倒したからだ。

 つまりはエウィンのおかげであり、この傭兵こそが無茶を押し通している。

 明日は帰国。

 今回の長旅は、見事成功したと言えるだろう。



 ◆



 翌日の正午、二人は境界線とも言うべき場所で昼食を楽しむ。

 背後には無数の木々で彩られた森林地帯。

 前方には緑色のなだらかな草原。

 ここはルルーブ森林とマリアーヌ段丘の狭間であり、そういった土地と土地の中間地点には魔物が寄り付かない。

 頭上の空からは眩しいほどの陽射しが降り注ぐ。青いキャンパスには太陽しか見当たらない。

 レジャーシートを広げ、そこに座る男女はエウィンとアゲハ。

 彼らの眼前には品数こそ少ないものの、大事な食事が並べられている。

 海苔すら巻かれていない、白いおむすび。

 やはり白い、三角形のサンドイッチ。

 赤茶色の欠片は干し肉。

 そして、デザートには緑色の草饅頭。先日知り合った傭兵の影響で、すっかりはまってしまった。

 革袋のお茶を一口飲みながら、少年はサンドイッチに手を伸ばす。


「まさか、もうここまで来れるなんて。こうなるともはや、アゲハさんも一人前の傭兵で間違いなしです」


 これもまた本音だ。口元からわずかに零れた水滴が緑色のカーディガンに水玉を作るも、気にも留めずにメインディッシュを頬張る。

 昨日取り決めた段取り通り、二人は今朝、ルルーブ港を出発した。

 短かった修行を終え、今はイダンリネア王国を目指している最中だ。

 距離的には丁度半分を移動し終えた頃合いか。エウィンとしては感嘆の声をあげずにはいられない。

 以前のアゲハなら、丸一日かかってしまう距離だ。

 しかし、今回はものの数時間足らずでここまで来れた。

 それほどに成長したということだ。


「え、そ、そうかな……。わたしなんか、足手まといな、だけだと思うけど……」

「いえいえ。怪我を治せるだけでも、本当に心強いんです。なんならもう戦力として数えられそうな気もしてます。今後はもっと遠出も可能でしょうし」


 謙遜するアゲハに対し、エウィンは本心を伝える。

 魔物討伐において、負傷はつきものだ。相手が牙も爪も持たない愛玩動物なら問題ないのだが、実際には凶暴な化け物と戦わなければならない。

 チームを組む傭兵は少なくないのだが、その理由の一つが回復役を同行させるためだ。

 魔療系。この戦闘系統の人間は、真っ先にキュアを習得する。これの有り無しで冒険の成功率は大きく左右されてしまう。

 アゲハの治癒能力は魔法ではないのだが、折り紙と名付けたそれはエウィンの傷をたちまち治してくれる。触れなければ発動しないものの、そのハードルの低さはデメリットとは言い難い。


「どこか、行きたいところとか、あるの?」


 彼女の疑問は相槌のようなものだ。

 しかし、エウィンは答えを用意していなかったことから、首を傾げながら考えてしまう。


「ん~、特にそういうのは……。まぁ、今回は南に進出したので、次回は北の方に出かけてみたいです」


 正しくは北西か。

 イダンリネア王国の北は壁のような山しか存在せず、そこを越えたらその先は海だ。

 二人はマリアーヌ段丘を南下したが、もしも西を目指した場合、アダラマ森林にたどり着く。以前はアダラマ防衛特区と呼ばれていた土地であり、王国軍の基地が存在する。


「アダラマ森林とか、バース平原?」

「そうですそうです。見どころとかはよくわかりませんが、色んな魔物と会えそうです。見聞を広げつつもお金を稼げたら、それが理想かなぁって」


 所持金は無限ではない。まだまだ余裕はあるものの、鍛錬がひと段落した今こそ金の稼ぎ方を模索すべきか。

 それをわかっているからこそ、はにかむようにアゲハがつぶやく。


「わたしも、依頼を受けて、一度に二つの仕事を、こなせたら……」


 乱暴な論理ながらも稼ぎは倍だ。

 スケルトン討伐のためにヘムト採掘場へ遠征した際も、彼女の枠でウッドファンガーの収集を受注した。

 一往復で二つの依頼に挑戦出来るのなら、効率が上がることは間違いない。


「二人組の強みってやつですね。そっち方面については本で読んだことしかないので、手探りで進むしかないのがちょっと不安ですけど、慎重に開拓していきましょう」

「うん。あ、このサンドイッチ、美味しい。ハム、ううん、マヨネーズの酸味なのかな? アクセントに丁度良い」

「確かに美味しかったです、そのサンドイッチ。何と言うか、その、まろやかな……感じとか、具の……大きさ? とかが抜群にデリシャスな感じでした」


 意味もなく張り合うも、語彙の無さが露呈する。

 もしくは、義務教育が勝利した瞬間か。

 どちらにせよ、二人は太陽に見守られながら昼食を楽しむ。

 遠足のような風景だが、周囲に魔物がいない以上、リラックスしても構わない。

 硬い干し肉を嬉しそうに噛み千切るエウィン。

 ゆっくりとサンドイッチを食すアゲハ。

 彼らは多くの時間を二人っきりで過ごすのだが、話題が尽きることはない。


「僕もいつの日か、鎧を着てみたいなぁと思うわけで。ただ、例えばスチールプレートアーマーとかって、重たそうだし冷たそうでなんだかなぁ、と。って言うか、絶対動きづらいですよね?」

「そう、思う」

「だから、ハイドさんが着てたような革鎧でいいかなぁと思いつつも、それだって安くはないので手が出ない。あぁ、もっとお金を稼ぎた……、アゲハさんの世界だと、金持ちってどうやってお金を稼いだんですか?」


 素朴な疑問だ。

 当然ながら、ウルフィエナの住人には想像出来ない。世界の在り様が異なるのだから、いかにアゲハから様々な情報を仕入れようと、思い描くことさえ困難だ。


「えっと、起業して、市場を席捲したりして、評価されたら株価が上がって、資産が増える、とか」

「ふむふむ、なるほど。先ずはカブの調理方法を学ばないとか。日本って不思議な国なんですね~」

「そ、そういうことじゃ……、む、難しいよね」


 概念からしてわかるはずもない。

 成熟した経済に対し、こちらの世界は魔物を狩るだけで金を稼げてしまう。需要がある素材はごく一部に限られるのだが、日本よりはシンプルな構造だ。


「こうしていられるのもアゲハさんの服が売れたからで、あ、神様にお願いしたらもう一着くらいもらえたりしませんか?」


 日本ではありきたりなジャージとジーンズだが、こちらの世界にとってはカルチャーショックでしかない。

 繊維。

 加工方法。

 ファスナーだけを見てもその精細さには目を疑ってしまう。

 ゆえに、女医のアンジェが上下合わせて百万イールで買い取ってくれたのだが、エウィンとしては奇跡の再来を熱望してしまう。


「か、神様……。う~ん、わたしの声って、届いてるのかな?」

「そもそも見守ってくれてるのかすら不明なんですよね?」

「うん、見られてるって感じは、しないかな」

「なるほど……。あ!」


 方向性が不透明な会話が一旦着地した瞬間、エウィンが閃く。

 しかし、大口を開いたまま動かない。思いついたアイデアが、あまりに下品だと気づいてしまったからだ。


「ど、どうしたの?」

「その~、あ、でもなぁ、これはさすがに……、う~ん、まとまったお金は、手に入るかもだけど……」


 言い淀むしかない。思いついた手法が理に適っていようと、彼女に提案するとなると勇気が必要だった。


「わたしに出来ることなら、なんでも、するよ」


 出来ることと出来ないことは、アゲハにもある。

 それでもエウィンの役に立てるのなら、どのような困難にも立ち向かうつもりだ。


「えっと、服が売れたのなら、下着はどうなのかなぁ、なんちゃって。あ、嘘ですやっぱり今のなしで!」


 エウィン・ナービス、十八歳。浮浪者であろうと、中身は思春期真っ盛りの男の子。

 後日、二人は女性用の下着を買うため、店舗をまわる。アゲハの胸は規格外に大きいため、フィットするブラジャーを探すにも時間がかかってしまう。

 その間、エウィンは女性客から冷ややかな視線を向けられるも、自分が招いた災難ゆえ、受け入れるしかない。

 下着を一着売るのだから、当然ながら買い足す必要がある。

 その買い物にエウィンが同行すること。これがアゲハから提示された条件だった。

 つまりはデートなのだが、少年は心身ともに萎縮せずにはいられない。

 臨時収入を握りしめながら、エウィンはすっかりやつれてしまう。

 身から出た錆。この言葉を脳裏に浮かべながら、その日はアゲハの買い物に付き合い続ける。

 この時の二人は何も知らない。

 平坦な日常はここまでだ。

 魔眼を爛々と披露しながら、その女は探していた。周囲にはむさ苦しい傭兵達で溢れており、仕事の減少に伴い流出したとしてもまだまだ混みあうのが王国のギルド会館だ。

 茶色い髪は俗に言うミディアムボブ。その長さは肩に届かない程度。

 誰よりも大きな胸は、灰色の胸部アーマーで守られている。背中の大剣も飾りではない。

 オレンジ色のロングスカートを揺らしながら、彼女はついに見つけ出す。


「ねえねえ、キミがエウィン君?」


 始まりだ。

 争いが争いを生み出す。そのような構図ゆえ、いつまでも他人事ではいられない。

 ここはギルド会館。大勢の傭兵達が、一日の始まりを祝うように仕事を求めて盛り上がっている。

 その一画で、彼らはついに巡り合った。

 エウィンとアゲハ。

 そして、魔眼を宿した、長身の魔女。


「私はエルディア。みんなからはエルさんって呼ばれてるかなー」


 出会ってしまった以上、立ち止まってはいられない。

 ここはイダンリネア王国。

 この世界の名はウルフィエナ。

 人間と魔女と魔物が争う、地獄のような理想郷。

戦場のウルフィエナ~その人は異世界から来たお姉さん~

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