──────いえもん視点──────
『勇者』、という言葉にドキリとする。なるほど、それならば偽る必要は無い。
「…まあ、心が読めるなら今俺が勇者だってことくらい分かりますよね」
「別に敬語じゃなくていいですよ?今は対等な立場だと思っているので。」
非常に淡々と喋る彼は、普段の明るい彼とは程遠い。ここまで性格が変わるものなのか、と少し驚くが、それすらも見透かされる。
「さすがに真剣な場面で明るくできませんよ。今は真面目です。」
真剣な場面でもうるさい人はうるさそうだが、と思ったがそれは黙っておく。しかし、狐ちゃんは言葉にはしないものの、顔を顰めていた。
「まあ、いいです。本題に移ります。記憶操作についてです。」
その言葉に俺はきたか、なんて緊張と興奮を入れ混じった感情になる。記憶操作、それは俺たちが考えた仮説であり、可能とは限らない。それは、いえもんと話した時に明らかにならなかったのだ。俺は、その言葉の続きを促す。
「グダグダ言うのは好きではないので簡潔に。できることにはできます。」
その曖昧だが、言葉に内心ガッツポーズを決める。それならば話しは早い。早速話の旨を…
そう思っていたら、ふと、狐ちゃんを見れば、非常に冷酷な目を向けられていた。その視線に俺は敵意を感じた。
「そりゃあ、そうでしょ?なんで人外である私が人間である、なおかつ知りもしない勇者の願いを聞く必要あります?後、記憶操作に近いってだけです。」
淡々と怒りも、憎しみも、悲しみもない、感情の籠っていない声には機械音声のように音だけがのせられている。
…要するに俺のことが信用出来ないということだろう。人の心に土足で上がる割には礼儀がない。なんて苦し紛れの毒をつぶやく。
あぁ、本当に変わらない。
「ッ!?はぁッ!?なんでそんなこと知ってッ!?ッッ!?そうッなんですか…ッッ!?」
俺の深層心理を見たのか、狐ちゃんは驚きの連続だった。しかし、次の瞬間狐は目をかっぴらき、口元を抑える。これだから人の心を見るのはあまりオススメできないのだ。人の心を見るのは精神的にきついものがある。特に、勇者としての記憶を見るならば尚更だろう。
まあ、ご愁傷さまですとだけ言っておこう。
「で?情報も勝手に見たんだし、そっちも答えてくれない?」
「…わかりました。でも、私記憶操作じゃないですよ?できるのは。」
じゃあ、できるのは何か、俺は目で問う。それに、先程の態度とは一変し、無表情ではなく、目はキリッとし、口元をほんの少しゆるめる。The、真面目のような立ち振る舞いに少し驚かされる。
「できるのは、未来、運命を操ることです。なので、『全員が思い出す未来』に操るんです。面白くないですか?」
くすりと笑うその姿はいたずらっ子のような笑みを浮かべる。俺は遠い昔の頭の引き出しを引っ張る。
九尾とは、化けることや心を自在に操り、心を読めることがメジャーである。しかし、本質は狐火や神通力、また、未来や運命すらも操る。また、背徳者という絶対的な忠誠心を持つ配下をつくることも出来る。また、歴史、神道、医学、歌、楽器、文学、芸術などの全ての知識を保有している。
…そして、神に近しい妖怪である。
「なるほど…さすが九尾と言っどころか…」
「まあ、非常に…面白いというか、驚く情報を読ませてもらいましたから。こちらこそありがとうございます。」
改めて頭を下げる狐を見ているとふと、疑問に思ったことがある。俺は、心を読まれてから言われる前に言葉に出す。
「なんで馬鹿なふりしてるんですか?」
「ちょッ暴言!?失礼だな〜」
良く考えれば不思議なことで、ほぼ全ての知識を知っていると言っても過言では無いのに、空気が読めなかったり、とぼけたりしたりしている理由が気になった。ただ、それだけだ。辺りに一風が吹き、前髪が影となって、表情が読めない。しかし、口元がにやけているように感じた。
「馬鹿なフリしてた方が楽なんですよwあ、いえもんさんの方には伝えないでくださいねwって、伝わってるかw」
笑いながらそんなことを言う狐は、少し狂気じみてると思ったのは俺だけではないだろう。まあ、それもひとつの生き方だろう。俺に否定できる権利ないし、するつもりもない。まあ、いえもんさんがどう思うかは別だが。
「それと、今回はやむを得ず手伝いますけど、基本的に私に頼るのはやめてください。私はフリーに行きたいんで。」
笑みは崩さず明るいが、どこか狂気を秘めている。妖美なその立ち振る舞いは、正しく九尾と言ったようなものだ。
「それでは、未来を操りましょう。良い未来を願って。それでは。」
そう言い放つと、その場から狐は立ち去る。目の前でやってくれないのは不安ではあるが多分あの言葉に嘘はないだろう。
これで、俺の仕事は終わりだ。あとは任せた。
──────いえもん
ここで切ります!!間に合いました〜!!今回はれいまりさんについて掘り下げました!!と、同時に勇者について少しだけ素性が明らかになった気がします!!ちなみに、九尾の能力はネットから調べたものですので、サイトによって違うものが出るかもしれません。そこはご了承ください。れいまりさんが最強の九尾になるようにしてますんで。まあ、九尾の種類については以前言ったと思うので割愛しましょうかね。こんな感じでmmmrメンバーについて掘り下げていきましょうかね…。
それでは!おつはる〜
コメント
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九尾が改めてすごい種族ってことを認識させられる、、、 今回も最高だわ君に届けスタンディングオベーション(?)
あ〜なるほど?