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ー‐ー‐ー‐ー‐ー‐ー‐ー‐ー‐ー‐ー‐ー‐ー‐ー‐ー‐ー‐ー‐
「ねぇミルク。」
〚なにレモン。〛
「僕達生きられるのかな.. 」
〚さぁ?〛
〚でも俺達にやり残したことはないだろ?〛
「…そうだね。」
「僕達は_」
〚俺達は_〛
「 〚社会不適合者なんだから___。〛 」
「」←レモン
〚〛←ミルク
…日差しがさしている今日このごろ。
僕達は日に浴びることなく家に籠もっていた。
「..ちゃんと用意した?」
〚..そっちこそ。〛
「…そろそろ頃合いだね。」
“おい!!こっちだ!!!”
“出てこい!!”
“お前のせいで!お前達のせいで!!”
“早く死んでしまえ!!”
“お前等のせいで俺の家族は死んだんだ!!”
“返して!!私の姉を返してよ!!!!”
「…あ〜ぁ、」
〚愚かな人間どもが。気持ち悪い。〛
「こら、あいつらと同じになっちゃだめだよ。」
〚……ち っ。〛
「早く逃げよう。」
〚ここ結構居心地よかったのにな。〛
「まぁしょうがないよ。」
「全部僕達が悪いんだし。」
そう。僕達が人間で生まれてこなかったせい。
人間じゃない僕達が悪い。
全部全部、僕達のせいだ___。
「はぁ、はぁ、はぁ、..」
〚…撒いたな。〛
〚てかお前体力なさすぎなんだよ。〛
「しょー、が、ない、で、しょ、!」
〚はいはい。落ち着けって。〛
〚..落ち着いたか?〛
「あぁ、おかげさまで。」
〚..お前にもっと体力があったらなぁ、〛
「..馬鹿にしてるよね???」
〚…べっつに〜〛
「僕はお前と違って‘狼男’じゃないの。」
「わかってるでしょ。」
〚わかってますよ〜、笑〛
「じゃあもうそんなこと言わないで。」
〚あいあい、‘人魚様’の仰せのままに。〛
俺は狼男。 僕は人魚。
お互い化物として生まれてきた。
僕達が出会ったのは研究所。
研究されてたミルクを僕が見つけた。
最初は仲良くなりたかったけど怖かった。
鋭い目。ふさふさな手足。尖った牙。すべてが怖かった。
でもそれと同時に同じ化物に合うのは初めて興奮していた。
初めて研究日があった日、彼と話すことを決意したんだ。
話してみると口調はきつかったが優しかった。
毎日話しているうちに2人で1つの疑問を持つようになった。
「僕達以外の化物はこの世にいるんだろうか」と。
それを確かめる為、研究所から2人で逃げ出した。
遠いとおいところまで。
僕達が逃げ出した先は街だった。歩いている人間からは変な目で見られ気味悪がられる。
でも初めてではなかった。今まで散々研究所で味わってきた。殴られないだけましだ。
「僕達慣れすぎだね、笑」
〚感覚が麻痺してるな、笑笑〛
そんな言葉を交わしながらもっともっととおい2人っきりになれる所を目指してひたすら逃げていた。
僕達が逃げだしたその日からどんどん僕達の扱いは変わっていった。
時々慣れてないこともされるようになった。
なにかあったら全て僕達のせいと言われて、貶される。見せ物にさせられる。
どこに行っても同じ扱い。
今は6つ目の街にいる。でももう居場所はバレた。
早く7つ目の街に行かないと。
「..懐かしいね。」
〚..そうだな〛
「最初あった時はびっくりしたよ」
「大きい耳があって牙があって、犬かと思った」
〚それだったら俺だって〛
〚最初見たとき魚だと思ったよ。〛
「…ふはっ、笑」
「考えてたこと一緒だね。」
〚だな。笑〛
「….ねぇ。今日はどこの街に行く??」
「撒いたけどずっとここにいたらまた見つかっちゃうよ。」
〚…海の近く。〛
「え、?」
〚海の近くがいい。〛
「別にいいけど..なんで?」
〚……気分。〛
「ふ〜ん、」
「じゃあ早く行こう」
〚….。〛
夜だからか海風が少し肌寒い。
狼は夜行性で、人魚は暗いとことが好き。
僕達の相性はバッチリだ。
「あ〜、!!やっぱり海ってさいっこう!」
〚..そうか??〛
「そうだよ!!!見ててみてて!」
上手く水を操って芸を見せるレモン。
〚..たしかにさいこうだな。〛
そんなことを言っているがなぜか顔が暗いミルク。
今は夜で人の顔すら見えにくい。
見えるのはレモンの華麗な芸だけ。
人魚には不思議な力がある。
狼男が狼になれるのと同様に人魚もまた、魔法が使えるのだ。
噂によると、人を殺めたり、命を取り替えたりすることもできるそうな….
〚おい。そこまでにしとけ。〛
「え、なんで??」
〚そろそろ落ちるぞお前。〛
「そんな鈍臭くないよ!!怒」
6個目の街は山の上。海辺の街に行くまで時間がかかる。
だから今いる海辺の崖の近くで今日は野宿しようとミルクが言った。
夜だから危ないと思ったんだろう。
「….ん、?なんか音しない?」
〚..気のせいだろ。〛
「いや。そんなはずは___。」
“いたぞ!!こっちだ!!!”
“今日こそ殺してやる!!”
“世界の平和の為に戦え!!”
“狼のほうがあとだ!”
“人魚のほうは水がないと弱い!!”
「….な、なんで、?」
「….どうしてわかったの、?」
“ずっと後をつけてたんだよ!!”
“盗聴器に気づかなかったのか!?笑”
“さっさと殺そう”
“愚かな化物が”
“狼のほうは気づいてたみたいだけどなぁ!!”
「…..ミルク、??」
「気づいてたの、?」
〚……..あぁ。〛
「!?…」
「どうして、どうして言ってくれなかったの!?」
「僕達この世でたった2人の親友でしょ!??」
〚いや、それは……って危ない!!!!!〛
「え、…?」
「ミルク!!ミルク!!!!!」
「ねぇ、返事をしてよ!!」
「お願い、、!!」
“ははっ、笑油断してるほうが悪いんだよ!!”
“そーだそーだ!!”
“ざまぁみやがれ!!!!”
「…..殺してやる。」
「殺してやるっ!!!!!!!!!!!!」
このときの僕はただただ彼奴等が許せなくて
我を忘れていた。
“あ゛ぁぁぁぁっ!!痛いっ!!!”
“油断するな!!相手は化け物だ!!!!”
“狼男よりかは格段に弱いはずだ!!!”
“もうちょっとで世界に平和が訪れるぞ!!”
“狼男が生きてる!!???”
“仕留めたはずだぞ!!??”
「…、え、?」
「今、なんて、」
「ミルクが、生きてる、?」
〚……お、い。〛
「..ミ、ル、ク、?」
「いきて、、!!?」
〚落ち着けって。笑〛
〚俺はいきてるよ、笑〛
〚お前だろ?俺にあいつらと一緒にはなるなって言ったのは。〛
〚言った張本人が我を忘れてどうする、笑〛
「…..はは っ、笑」
「はははははははは っっ!!!笑」
「そうだよね!!ミルクが死ぬはずないもんね!!!!」
〚俺を舐めんじゃねぇぞ人間ども。〛
〚この俺を恐れやがれ!!!!!〛
このとき俺は安心していた。
ミルクが無理してないはずないのに。
どうして気づけなかったんだろう。
僕を守ってくれていたはずなのに。
このときの僕は愚かだ__。
〚は、っは、っは、っは、…..〛
「ミルク、?.. 急にどうしたの、?」
さっきまでずっと戦っていたミルクが急に膝をついた。
我慢の限界が来たんだろう。
「ミルク!!!血が!!!!!!!」
〚く、るな、..!!〛
「やだよ!!早く手当しないと、!!!!」
“おいおい!笑”
“もう終わりか!!???”
“狼男も弱っちぃなぁ!!!”
“殺さないと気がすまない!!!”
“早く殺そう。”
“人魚のほうはあとでたっぷり痛め付けてやるよ”
“さっきの借りを返さないとなぁ!!!”
「……やだ、やだ!!!」
「まだ死にたくないよ!!」
「ミルク!!!」
「助けて!!!!」
こんなとき、僕はミルクに頼るしかない。
それくらい弱かった。
ずっとミルクを頼って、自分でなにもしなかった罰だ。
ミルクがいないと生きていけない。
〚….、そう、だよな。〛
〚レモ、ンは、まだ、死にた、くない、よな。〛
〚レ、モン。〛
「ミルク、…….??」
〚〚 今までありがとう。 〛〛
とんっ
ふわりと宙を舞う体。
だんだんミルクと離れていく。
ばしゃんっっっっっ
「………」
「..ぷはっ !!」
「ミルク!?ミルクはどこ!!???」
〚ーーーーー、ーーーー!!〛
〚ーーー、ーーーーーー..〛
“〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!笑”
“————-、”
“-I’ll–I’ll–I’ll-!!!!”
「上だ!!!」
「…!?」
ここは海の中。
人魚である僕は海に入ると足がなくなりひれに変わる。
これは人魚である僕の宿命。
こんな姿じゃ陸を歩くことすら出来ない。
「くっそ、!!!!」
「早く!!足に変われよ!!!」
ばっしゃんっっっっっ
「!??」
「ミルク!!!」
海がだんだん赤くなっていく。
「ねぇ!!ミルク!!!!」
「..駄目だ!!!」
「血が、!!血が止まらない!!!」
「駄目だよ!!!まだやりたいこといっぱいあったじゃん!!!」
「確かに2人で海で泳ぎたいとは言ったけど」
「こんな形で叶えたかった訳じゃない!!!」
「まだ僕の家紹介してないよ!!!」
「亀の後ろに乗って案内するっていう約束叶えてない!!!」
「……もういいか、」
「全部全部壊しちゃえ。」
「ミルクがいない世界なんて僕はいらない。」
さっきミルクが僕に言った、
言った張本人が我を忘れてどうする、笑
なんて言葉は僕の頭からもう抜けていた。
大きく波を打つ海。
次第に波は大きくなり、人を襲っていく。
街のすべてを飲み込んでいく__。
「みんなみんな死ねばいいのに。」
「ミルクを殺したこと、絶対に許さない。」
数年後。
ーーーニュース速報ーーーーーーーーーーーーー
今日◯◯時□□分に人魚の死体を発見しました。
海辺で暮らしていたような跡があり、警察は今も捜査を続けています____
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拝啓。亡くなってしまったお前へ。
お前は今どこにいますか。
なぜお前がこの選択をしたのかはまだわからない。
俺はこれが正解だったとは思わない。
俺はなんの為にお前を守ったんだよ。
なぁ、レモン。
生きたかったんじゃないのかよ。
俺はお前を生かす為にわざわざ裏切ったんだよ。
レモンは馬鹿だから気づいてないんだろうな。
俺があのとき海辺を選択した意味も、お前への罪悪感も。全部全部。
気づいてたらこんなことしないよな。
人魚には不思議な力があるっていうことは知ってたよ。
だからって俺とお前の命を入れ替えることはおかしいだろ。
俺はお前に生きてほしかったんだよ。
お前がいない世界なんていらない。
俺はこれから1人でどうやって生きていけばいいんだ。
人間どものふりをしろって言うのか。
そんなことするなら死んだほうがマシだ。
..でもせっかくレモンがくれた命は無駄にできない。
僕が今死ぬということはレモンの存在価値を否定していることに等しいから_。
この命は俺のであり、レモンのものだ。
….レモン。お前の分まで生きるから。
どうか見守っていてくれ。
俺達は今も、昔も、これからも2人で1つだ。
そうだよな?笑
愛してるよ。
ミルクより。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
レモンへの手紙は未だに写真立ての隣に並べられている。
写真に写っているレモンは何処となく嬉しそうで、悲しそうだ。
ここは一軒家。
リビングからは楽しそうな声が聞こえてくる。
男の人の声、女の人の声、男の子の声、女の子の声、中性的な声、そしてミルクの優しい声。
あれからミルクは、人間界に馴染み、友人と楽しい毎日を送っているらしい。
果たして、人間じゃないことを明かしているのだろうか。
上辺の付き合いなのかもしれない。
それでも昔は人間と仲良くするなんてことは創造すらできなかった。
これは人生の大きな第一歩だ。
「ごめんね。ミルク。」
「ミルクに責任を押し付けてしまったことは後悔してる。」
「でも、どうか、抱え込まないでほしい。」
「僕のことなんか忘れて新しい毎日を送ってほしい。」
「昔のことを忘れて生きてほしい。」
「僕のわがままでミルクを生かしてしまった。」
「でも僕はミルクを生かしたことは後悔していない。」
「だってあんなもに楽しそうなんだから。」
「僕には見たことがなかった笑顔だってある。」
「だから僕はこれが正解だと思いたい。」
「僕は罪を犯しすぎた。」
「この手で人をたくさん殺めてしまった。」
「僕はもう生きるべきではなかったんだ。」
「だからこのたった1つの命を無駄にしないためにも僕は死ぬことを選んだ。」
..でも、もし、僕が生きていることが間違いではなかったのなら、
..僕が、罪を償うべきだったのなら、
..僕に、僕に、
まだ幸せになる権利が少しでもあったのなら。
「まだ。生きていたかったな、(泣)」
瞳から落ちた一粒の雫はミルクに届くはずもなく、
儚く枯れ ていった。
ー-ー-ー-ー-ー-ー-ー-ー-ー-ー-ー-ー-ー-ー-ー-ー-
ー END ー。
ご視聴ありがとうございました。
コメント
8件
ログインできなくなって本垢はこっちです!!!こっちにもいっぱいコメントしにきてくださいね!!
……好きです 狼と人魚は、本当にセンスが良いです😭 結月さんの小説 めっちゃ好きです…!
そういう事か…!! レモンは人魚だったから、自分の命とミルクの命を取り替えてミルクを生かしたのか…、 結月、天才???????? すき、すきすぎてやばい。 自分よりも好きな子が大事なんだよね、分かる。 好きな子が死ぬくらいなら自分の命と変えたいよね、めちゃめちゃ分かる。 結月の小説は全部刺さるんだよね がちすき。あいしてる