中学校の入学初日。
新しい友達ができるか不安な気持ちと、
新しい生活に胸が躍る様な気持ちが合わさって
変な心地だった。
クラスメイト「ねね、友達になろー!」
早速、自席に座るなり周りの席の子が話しかけてくる。
私『う、うん…!』
クラスメイト「名前なんて言うの?」
私『私…、綾波もか(あやね)。』
クラスメイト「もかって言うんだー!よろしくね。」
相手のコミュニケーション能力の高さか、
それともただの私が極度の人見知りすぎるのか。
あっという間に“友達”という関係が出来上がっていく。
クラスメイト「私、寧々だよ。」
私「ね…寧々ちゃん。」
寧々「そーそー!」
明るい笑顔が眩しく感じられてしまう。
一体私は笑えているのだろうか。
寧々「もかって、どこ小なの?」
私『えっと…、川崎小学校……。』
寧々「川小かぁ!私はね、眞田小!」
私『そうなんだ…』
つい曖昧な反応をしてしまう。
けれど、そんなことを寧々ちゃんはこれっぽっちも気にせず話し出す。
寧々「もかって、好きなこととかあるの?」
私『え……と』
好きなこと…。
音楽は嫌いだ。
逆に、音楽のしすぎで何が好きとかあまりわからない。
寧々「じゃあ、何か習ってることとかあるの?」
きっと、私が答えづらそうにしているのを見て質問を変えてくれたんだろう。
けどその質問も私には逃げ場がないものだった。
私『一応……音楽系』
寧々「へぇー!すごいね。」
寧々ちゃんは目をキラキラとさせる。
寧々「“系”ってことは、色んなの習ってるってことー?」
私『う、うん。』
“教えて”と言葉で言わなくても分かるほど、輝く視線に思わず目を逸らす。
私『ピアノと…歌のレッスンと…たまにお琴弾いたり…まぁ、色々と。』
寧々「すごーい!!エリートだね!」
ただ仕方なく習ってるものをエリートだと褒める寧々ちゃんはどうかしてる。
私『…ありがとう』
でも、心のどこかで嬉しい気持ちがあった。
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