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────…”チュベローズ。朝だ。”
そんな声と共に目を覚ました。その途端ぱん、と私の前でクラッカーが鳴った。火薬の匂いと多少の紙吹雪が私の体の周りを舞っていた。目の前にはにこにこと微笑んでいる兄がいた。
“18歳のお誕生日おめでとう。チュベローズ。”
そういい私の頭を撫でた。そういえば今日誕生日なのか、私。正直に言えば兄に言われるまで覚えていなかった。
兄が出ていったあと、私は紙を払い制服に着替えた。着替え終わればいつも通りに朝食を食べていた。すると、エプロン姿の兄にこう聞かれた。
“そうだそうだ。チュベローズ身体に何か異変はある?”
そう聞かれては私は首を傾け何故そんなことを聞くんだろうと不思議に思った。特にないと告げると兄は少し安心したように。
“なら、良かった…少しでも何か異変を感じたら学校を早退しておいで。”
全く意味が分からなかった。普通であればこんなことを言う人では無い。何かあるのか、?そんな疑問を抱いたが兄に従っておいて損は無いと、わかったと返し私は家を出た。
────……
学校に着けば友達に声をかけられた。
“おめでとう!チュベローズさん!”
相も変わらず可愛らしい顔で笑っていた。私はありがとう、と返しては一緒に教室へ向かった。
私は今朝兄に言われたことを思い出しては少し思い出したことがあった。
昔、兄が丁度18歳を迎えた日に兄が早退してきた。熱があるのでは無いか、と思う程に顔が火照っていた。私は看病をしようと近付くといつもであれば優しい兄にこう言われた。
“今は近付くな。”
相当苦しいのか息を切らし乍そう言えば兄は部屋に戻ってしまった。そこから兄は何日か部屋から出てこなかった。ただ私が見ていないだけかもしれないが。何日かしたら、兄は部屋から出てきて私の頭を撫でて
“ごめんね、チュベローズ。この間はあんなこと言って…”
大して気にしていなかった。風邪でも引いていたから私に移さないようにしてくれていた、と思っていたからだ。私は兄にそう伝えると、しょんぼりとしていた顔が少し和らいだ気がした。兄は、頭を撫で続け乍
“チュベローズも18歳になったら……”
“チュベローズ!!”
びく、と身体を揺らせば目の前には古典の先生がいた。
“授業に集中しないとダメだろ。全く、3年とは思えんな。”
そう言い捨て教卓へと戻って行った。全くびっくりして損した。でも、確かに集中しないと…
────────…
なんとか午前を終えた。今の所何も変化はなかった。いつも通り。そう思っていた矢先だった。
突然。身体が脈打つような感覚が襲っては視界が揺らいだ。友達が支えてくれた為何とか転ばずに済んだ。息が苦しい、熱でもあるのか、だが、何故こんな急に。私は必死に思考を巡らせた。だが、それどころではなかった。保健室の先生と思う人が私の荷物を持っていた。事前にわかっていたかのように。
“1人で帰れる?送っていきましょうか?”
そう先生に聞かれたが私は断った。もし風邪だったとして移したら大変だからだ。私は荷物を受け取っては学校を後にした。
────…
昼過ぎ辺りだからかあまり人はいなかった。仕事か学校なのだろう。其方の方が有難い。私はまともに歩けてはいなかった。壁に寄りかかってギリギリの状態で歩いていた。だが、この調子で家まで歩くのは無理だ。途中で倒れてしまう。
私は少し道脇に入っては壁に寄りかかって休憩をとることにした。ここなら誰も通らないだろう。
10分ほど休憩して立ち上がろうした。すると、足に力が入らず立てなかった。まずい、悪化してる。立てずにいると段々と意識が遠くなってきた。服が濡れてしまっているんじゃないかと思うほどに汗をかいていた。気持ち悪い感覚だ。
ああ、意識が遠のく、と考えていると授業で考えていたことを思い出した。
ああ……そうだ、あのとき、兄さんは…
” チュベローズも18歳になったら【発情期】ってものが来るんだよ。【大人への一歩】って考えればかっこいいけど、思った以上に辛いね…これが定期的にくるんだから…”
兄さんの言う通りだ…辛い…ね、…
────────────────…
目が覚めると見慣れない天井があった。何処だ、というか誰のベッドだ。家じゃないのははっきりと分かった。誰のベットか知らないが、発情期中に他人の匂いを嗅ぐとまずいと思い私は立ち上がろうと地面に足を着いたが全く力が入らずに転んでしまった。
悔しいことに全く立てないし、身体が変な感じがする。
しばらくの間もぞもぞと動いていては、誰かが廊下を歩いて此方に近付いてくる足音がした。
がちゃ。
扉が開いた。私は何とか身体を扉の方に向けた。
そこには1人。倒れている私を見て、軽く鼻で笑った。
…こいつ。