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夢は終わりを告げた。意識は覚醒するが、夢を見ていたからか現実感が曖昧だ。太陽はすでに顔を出していた。部屋を見渡すとリドルやアズール、ジェイドはすでに起きているようだった。学校があるわけではないので、フロイドやエースたちはそのままにし、部屋を出た。リビングへ行ってみるとジェイドが朝食の準備をしていた。ジェイドが私に気づき、「おはようございます」と一声くれた。それにたいし返事を投げリビングを見渡す。
T1クロウリー「おや、アーシェングロットくんとローズハートくんは?」
すでに起きているハズの二人の姿が見えなかった。もしかしたら、自室で過ごしているかもしれないが、尋ねなければ分からない。ジェイドは「ああ、」と理解し玄関を指差した。
S100ジェイド「太陽の様子を見ていますよ」
T1クロウリー「ああ、」
と、理解しそれと同時に夢で聞いたことを思い出した。この世界の〝歪〟について。彼らは知ってるのだろうか。でも、もし知っているのであれば、この世界の〝歪〟などとっくになくなっているハズだ。いや、もしその〝歪〟が人の姿をしているとしたら?
S100アズール「おや、おはようございます」
考えているところで、玄関のドアが開き、アズールと傘をたたむリドルが入ってきた。挨拶をこちらも返し、「雨ですか?」と問いを投げた。が、「いえ、晴れです」と即答された。なぜ傘など…と首を傾げるとリドルが「あぁ」と一言おいて説明してくれた。
S101リドル「ボクは元いた世界でも太陽の光を浴びることができなくてね。日傘無しで外を出歩けないんです」
なるほど。昨日は庭にあるパラソルの日陰のなかにリドルはいたため日傘はいらなかった。でも実際は日傘がなければ日向にも出ることができない。説明を終えると、二人はジェイドの手伝いを始めた。朝食の準備が進んできたため、起きていない子たちを起こそうと思いもう一度部屋へ戻る。一人ずつ起こさないと起きないだろうかと思いつつ、声をかけていく。デュース、セベクはすぐに起きたが問題はエースとフロイドである。どうしようかと悩まされていると、リドルが部屋へ顔を出した。そのまま迷いなくフロイドのもとへ行き、布団を剥がし始めた。そして、非常に落ち着きのある声で。
S101リドル「フロイド、起きるんだ。エース、キミも」
とフロイドとエースを起こし始めた。すると、いままでぐっすりと寝ていたのが嘘のようにフロイドはすぐに飛び起きた。エースは二度寝しようと寝返りをうつが、セベクの「起きないか!」という大声により跳ね起きた。
S100フロイド「なんだようるせーな」
フロイドの不機嫌がMAXになってしまったようだ。あからさまにイラついた様子で部屋を出ていってしまった。そのあとにエースが一言。
T1エース「絞められなくてよかったー」
S101リドル「フロイドには客人に手を出すなと言い聞かせているから大丈夫だよ」
エースの一言にリドルが苦笑しながら答えた。
S101リドル「さ、支度しておいで。もうすぐ朝食が整うよ」
リドルの合図と共にデュースが「はい!」と元気よく返事をした。
朝食後、話がしたいと伝え時間を取ってもらった。話というのは、昨日の夢のことだ。
S100アズール「そのような夢を…」
「所詮夢だろう」と意見が来ると思ったが、そんなことはなく逆にリドルに視線が集まった。
S100ジェイド「リドルさんは101世界群から来るときに、『宇宙の狭間』を通りましたか?」
ジェイドがそんな質問をした。リドルは少し考えて口を開いた。
S101リドル「その『宇宙の狭間』というのは宇宙のような空間でずっと浮いているところかい?」
リドルのその問いで、彼は一度行ったことがあるとわかった。なぜなら、『宇宙の狭間』という場所の名前は出したが、そこがどんな場所なのか情報を出していないため自分の情報と相手の情報を確かめる必要があり、問いを投げなければならない。このことができているあたり、リドルは本当に『宇宙の狭間』に行ったことがあると言える。
T1クロウリー「えぇ、そうです」
S101リドル「…なら一度だけ」
リドルはある日、家の中で境界鏡を拾った。境界鏡は拾った直後その能力を発動した。が、うまくいかなかったのか辿り着いたのは『宇宙の狭間』。
T1エース「寮長は誰かにあったの?」
エースがそんな質問をした。リドルは現実で『宇宙の狭間』へ行った。夢では与えられない情報も、現実では関係ない。
S100リドル「記憶が朧気なのだけど、誰かには会ったね。けど、それが誰なのかは分からないんだ。認識する前に「スピカの居場所はここ」と言われて気づいたらここに来ていた。」
S100フロイド「スピカ?」
S101リドル「ボクにもなぜそう呼ばれたのかは分からない」
「もしかすると『宇宙の狭間』に住んでいる人はほ、星の名前で呼び合っている可能性があるかもしれないね」とつけ足し、リドルは黙った。『宇宙の狭間』に住んでいる彼らはアナザーワールドのどこまでを知っているのだろうか。彼らが〝歪〟の解消を頼んだのだから、自ら〝歪〟を流し込むようなことはしないだろう。リドルは〝歪〟ではないということになる。[実は少し疑っていた。]
T1セベク「〝歪〟を解消していかないと前に進めん」
S100アズール「ですが、その〝歪〟が存在する場所がわかっていないのですよね?」
S100ジェイド「それに、みなさんは他のアナザーワールドにもいずれ移動することになりますよね?」
すぐに行動するのはリスクのほうが多いということだろう。取れる情報は出しといといたほうがいいだろう。
S100フロイド「真相は海みたいに深いところにって言うでしょ?」
不意にフロイドが呟いた。いや、発言した。の方が正しいだろうか。なにか、知ったような口を開いたフロイドに、アズールも、ジェイドも、リドルも目を見開いた。フロイドはニッと笑って続けた。
S100フロイド「陸になにもないなら、海の中じゃね?深いし、暗いから、なにかを隠すのにはうってつけでしょ?」
一理ある。
S100アズール「善は急げ…ですかね」
アズールが悩みつつも決断をくだした。
海岸に来たとき、太陽は東の空にあった。アズール、ジェイド、フロイドは海に入るため変身薬を準備していて、リドルは日傘を差しながら水中呼吸の魔法薬を持って来てくれた。
S101リドル「ボクは体質上、海に入れないけど…キミたちは大丈夫だろうから」
と、魔法薬をこちらに手渡した。そのとき、少し日陰から指が出てしまい軽く燃えてしまった。が、慣れているのか気にもとめず指を引っ込める。
S100アズール「準備はよろしいですか?」
T1クロウリー「えぇ、大丈夫ですよ」
太陽のこともあり、服を着たまま入水していく。
S100フロイド「金魚ちゃんお留守番よろしくね~」
リドルに元気よく手を振りながら海に潜るフロイドを筆頭に下へ下へと進んでいく。どんなに下へ進んでも暗くなく明るいくらいだった。
T1エース「なんか、生ぬるいっすね」
T1デュース「確かに。夏でも冷たいイメージがあったけど…」
S100ジェイド「これも太陽の光の影響なんですよ」
太陽の異常な光は海にまで影響を及ぼすのか。〝歪〟というものはどこまで〝歪〟だというのか。何分、何時間進んでいっただろう。未だに底には辿り着けず、ただただ下へ下へと進んでゆく。
S100アズール「フロイド、一度止まってください。少し休憩しましょう」
アズールがこちらを振り返りながら言う。フロイドは理解したようで下へ潜ることを一度やめた。海の中は思うように動けず、三人についていくことがやっとだ。
T1クロウリー「すみません」
T1エース「まだ底につかないの?」
T1デュース「想像以上に深いな」
T1セベク「水が重くて思うように進めん」
疲れからのため息を吐き出し、浮いてみる。海は暖かいような生ぬるいような心地で眠気を誘っているようだ。
S100フロイド「あともうちょっとで底につくから頑張って~」
S100ジェイド「えぇ、底が見えてきましたよ」
フロイドとジェイドが宥めるように言った。本当に底が少し見えて休憩を終えてから一気に下へ潜ることになった。少しして、下へ潜ることを再開した。底へつくまでそれほど時間はかからなかった。底には不思議な魔力が流れていてなにか吸い寄せられているようだった。
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