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「萩原、学校来てたね」
「うん」
学校終わり、由依といつものカフェに来ていた。
「凌がなんかしたんじゃないんですか〜?」
「まあまあまあ」
私が口角を上げながらそう言うと、由依は「さすが〜」と言って笑った。
「急なんだけどさ、凌って中学のとき京介のこと好きだったよね?」
「え、あーうん、そうだね。それがどうした?」
「付き合っては、、なかったんだよね?」
「んー、そうだね」
「なんで付き合わなかったの?お互い両思いだってことも知ってたんだよね」
たしかに、今考えればなんでなんだろう。
「なんか、このままでもいいかなみたいな。酒井だって好きとかなんも言ってこなかったし」
両思いだとお互い知っていたと言っても、友達から「酒井が凌のこと好きだって言ってたよ」と聞いたり、私がいる前で酒井がいじられても否定しなかったり、そういうことであって、直接好きだと言われたり言ったりしていた訳ではなかった。
「中3なってクラス離れて、最初の頃はまだ好きだったけど受験とかでそんなん考えてる暇なくてだんだん冷めて、高校は一緒になったけど由依と急激に仲良くなって冬に付き合い出したじゃん、由依と仲良くなり始めた頃にはもう完全に気持ちはなかったかな」
「もったいなくない?付き合わないの。ちゃんと気持ち伝えないのも」
「うーん、きっと付き合ってもなんも変わんなかったよ」
好きだよと伝えたところで、俺もだよ、じゃあ付き合おう。
口約束をするだけで、きっと何も変わらなかったと思う。
「それに、私が酒井と付き合ってたら、由依は酒井と付き合えてなかったかもよ」
由依は別れてよかったと話していたが、酒井と付き合っていた頃の由依は幸せそうだった。
「たしかにそうだね」
「なんで急にこの話?」
「いや、ちょっと思い出しただけ」
由依はそう言って追加で注文をしようとメニュー表を開いた。