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ゆき
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太陽に照らされて光る水面と透き通った水
悠々とした波の動きに気づけば見惚れている
何時間だって見られるくらいに美しくて
…どうしてか切なくなる
どうしてかはわからない
でもそれが余計この世界を彩らせてるんだと思う
愛する人に「見惚れすぎ、俺にも見惚れてくれても良くない?」
なんて隣から妬けを入れられてしまった
こうなるとしばらくは、いやちょっとだけだけど拗ねる
でもそこ含め彼を愛しているから
そんなの気にしない
「ごめんごめん」と謝って彼から差し出された手に自分の手を重ねる
大きな手でひどく小さく見える自分の手を
優しく握って離さないと体温で力でなんとなくで伝わる
それが愛ってものなのかな?
今日は特別に貸切にしてくれているみたいで存分に楽しめるそうだ
ワクワクした足取りで館内を見て回る
まずは一階から
一階ではブルー色のライトに照らされて綺麗な熱帯魚たち
のんびり泳ぎながら自分のペースでいつも通りリラックスしているシロイルカさん達
館内は静かで2人だけの呼吸の音と足音しか聞こえないくらいに。
この高鳴る心臓の音はきっと気のせい
そうやって綺麗な海の生き物達を見ていくうちに
クラゲのコーナーへと入っていった
ペンギンやアザラシなど定番の人気動物も好きだが
なぜかクラゲに戻ってきてしまう
磁石みたいに惹きつけられてしまう
透明で綺麗なガラスに手を置いてその中をよくよく覗き込む
白くて綺麗なクラゲ
足がふわふわと動いて頭の方には真っ白な四葉のクローバーの形の模様
ライトに照らされてより神秘的になっていて
余計見惚れてしまった
どうしてこんなに綺麗なんだろうか
そんなクラゲ本人でもわからないであろう
ことを思い浮かべてしまう
こんなに、綺麗に泳いでて
この子達はどんな人生を歩んできたのかな?
自分の意思はあるのかな、?
言葉はあるのかな?呼吸の仕方って?
見れば見つめるほど疑問が浮かび上がってくる
スマホで打ち込めばすぐに出てくる答え
だけどそれじゃあ味気ない
水族館に味気さなんて求めるものでもないかもしれないけど
その不思議を疑問をまたここに来た時に
思って、多分その時は
「この前もこんなこと考えてたなぁ」
なんて過去の自分と比べて笑ってみたい
変かも知らないけど
過去の自分と今の自分を重ねるのは不思議で
面白いことだと個人的に思っている
昔の仕草をたまにやってたりして不意に懐かしいって思ったりする
そうやって不意に起こる過去と今の重ね合わせよりも
綺麗で不思議なものはないと思ってる
…クラゲを見ると新たな自分が見つかるなぁ
何年も何十年と生きてきても
知らない自分を見つけた時は
何年経っても嬉しいもの。
かけがえのないもの。
大切にしたいもの。
それを今は大切に持っていたい
隣にいる愛する人と共に、ね
「…綺麗だね」
隣から彼の声がした
横を見るとクラゲをすごく大切なものを見るような目で見ている彼
その横顔を何年も見ているはずなのに
新鮮に感じて
また高鳴るこの鼓動は気のせいかな?
瞳の中がライトに照らされていてまるで別の人みたいに見える
「うん。綺麗だね」
そう答えると視線がぶつかる
そして小さく笑い合う
そう特別なことでもない、と思うけど
いつも人の多い水族館が自分たち2人だけとなると
特別感は倍増するわけで
なんだか秘密基地にいる気分だ。
2人だけの世界
そんな言葉が似合うこの場所
最後にもう一度振り返って遠くからクラゲのコーナーを見つめる
そこには
2人の暖かさと思い出が残っていたような
…そんな気がした。
次に足を運んだのは2階
ペンギンコーナーがある場所だ
もちろんペンギンも好きなためとても楽しみにしていた
中に入ると水槽トンネルが見えた
どこをみても魚やペンギンが見える綺麗なトンネル
それをみてつい足を早めてしまう
「ちょっと早いよ笑置いてかないで!」
声に振り返ると笑いながら軽く走ってくる恋人の姿
…まただ
また心臓がうるさくなる
嫌になる、くらいに、ね。
なんだか恥ずかしくなってそっぽを向いてしまった
それでも彼は恋人繋ぎをさらっとしてきては
「お待たせ、じゃ、行こ!」
「…うん笑」
彼といるだけでなぜか笑える
楽しくて笑ってるんだろうきっと
こんなに綺麗な気持ちで笑えるなんて知らなかったなぁ
今更ながらに思う
手を繋いだままトンネルの中に足を踏み込むと
キラキラと眩しいくらいに差し込む光と淡い色の水
波の動きが光に当たり影となって2人の足元に形として現れる
至極当たり前のことなのに
なんでどうも綺麗に見えるのか
わかんない、いやわかんないままでいいんだ
ただ純粋に綺麗だと思えればそれで
泳ぐ魚達
ライトの前を通り過ぎた時自分の体に魚達の大きく重なった影が
通り過ぎてゆき
呆気に取られる
ペンギン達も2匹で競争し合っているのかとても動きが早い
…昔の彼みたいだなぁ
彼は昔から陽気な人だった、誰とでもすぐ打ち解けて競争も好きだった
恋人がペンギンと似てるのってなんだか嬉しいような、気がする
わかんないけどね
ふと隣にいる彼をみてみると
上を見上げで同じく呆気に取られている
でもその目には疲れとかそういうのは見えなくて
純粋で、美しい目をしていた
視線に気づいたのかこちらを見てまた小さく笑う
「ペンギンって飛べるのかな?」
「…飛べないんじゃない?」
「頑張れば飛べるだろ!ぱたぱたーって!」
「かもね笑」
「…また来たいね」
「まだまだこれからだよ?何寂しいこと言ってるの」
「いやそうじゃなくて、約束したくて」
「約束?」
「うん、また」
“仁人とここにくるって約束”
「約束好きだね、勇斗は笑」
「いいじゃん!ね!約束」
「うん、約束」
「絶対守るからな!」
「期待してる、ちゃんと次も連れてってよ」
「うん!もちろん。」
この時間は永遠じゃないから
美しく、儚く感じるのかな?
勇斗と交わした約束が胸に沁みて変に悲しくなるけど、
綺麗だね。また来たいね。
君と、
約束、ね。
容量がやばいんで読み切り先に投稿します。
「お揃い好きすぎだろ」はしばしお待ちを
この前水族館に行ってそれを思い出して気の向くままに描いたものです
たまには綺麗で儚いお話もいいかと。
それではまた。
コメント
5件
二人とも可愛くていいですね🫶
めちゃくちゃいい!!!
あじさい。さん、読んだよ〜! 水族館デート、すごく綺麗で儚い雰囲気が伝わってきた。クラゲに見惚れるシーンとか、ペンギン見ながら「飛べるかな?」って笑い合ってるところが特に好き。2人だけの特別な空間って感じがして、胸がぎゅっとなった。 「約束」って言葉が何度も出てくるのが、すごく切なくて、でも温かい。これは読み終わったあと、しばらく余韻に浸りたくなるやつだわ。次も楽しみにしてる🔥