テラーノベル
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M.S
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二十歳になった。
あれから何度か恋をした。
好きになろうと努力した人もいた。
幸せになろうと思ったことだってある。
でも、どこか違った。
付き合っても、時間が経つほど心にぽっかり穴が開いていく。
その穴が何なのか、自分でも分からなかった。
そんなまま迎えた成人式。
久しぶりに会う同級生たちは、少し大人になっていた。
式が終わると、小学校の同級生数人で飲みに行くことになった。
懐かしい話で盛り上がる中、一人の男子が私に聞いた。
「伊織、今彼氏おるん?」
「おらんよ。」
そう答えると、みんなが顔を見合わせた。
「じゃあ今やから言うわ。」
その空気に、胸がざわつく。
「ヤマトお前のこと好きやったで。」
思わず笑ってしまった。
「いやいや。」
信じられなかった。
だって、あの頃のヤマは人気者だった。
バレンタインには毎年たくさんチョコをもらっていた。
私なんかを好きやったなんて、そんなはずない。
「ほんまやって。」
「逆にヤマト、お前のこと好きちゃうかったか?」
その言葉に、誰かが笑いながら頷いた。
「両思いやったやん。」
その瞬間。
何年も胸の奥にしまっていた記憶が、一気に溢れ出した。
言えなかった「好き」。
渡せなかったチョコ。
見つかった手紙。
全部。
今さら知ったところで、もう遅いのに。
「ヤマ呼んでみる?」
その一言で、止まっていた時間が動き始めた。
コメント
1件
うわあ……切なすぎる。成人式の夜に、今さら知らされる“両思いだった”って、涙出そうになった🥲 「言えなかった好き」「渡せなかったチョコ」「見つかった手紙」——その全部が心に刺さった。あの頃は素直になれなくて、気づいた時にはもう遅くて……そんな経験、ある人にはたまらないエピソードだと思う。 でも、最後の「ヤマ呼んでみる?」で、まだ終わってない感じがする。次、どうなるんだろう……続き、すごく気になる。イツカさんの言葉、静かに受け取ったよ🤍