テラーノベル
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「電話してみるわ。」
そう言って、一人の男子がスマホを耳に当てた。
私は落ち着かないまま、その様子を見ていた。
出るわけない。
そう思っていた。
だってヤマは、ここから電車で二時間も離れた場所に住んでいる。
もう夜も遅い。
来られる距離じゃない。
しばらくして電話を切った男子が笑った。
「今から来るって。」
「……え?」
「終電乗ったらしい。」
その場が一気にざわついた。
「マジで?」
「終電で?」
誰かが驚いている。
でも私には、その声がほとんど聞こえなかった。
ヤマが来る。
その事実だけで、胸が苦しくなる。
十年近く会っていない。
最後に見たのは、小学生のヤマ。
あの頃のままの姿しか思い浮かばなかった。
気づけば私たちは、駅の改札でヤマを待っていた。
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ユキ
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コメント
1件
第5話「終電で」、読み終えました。もうね、胸がきゅっとなりました。「電話してみるわ」の軽さから一転、「今から来るって」の衝撃。読んでるこっちまで息を止めてしまいましたよ。十年近く会ってない相手が、終電で来るって…その行動力に、何か強い想いを感じます。主人公の「出るわけない」という諦めと、実際に来たときの戸惑い。その距離感の描き方がすごく繊細で、続きが気になって仕方ないです。イツカさんの言葉選び、本当に上手いなあって思いました🌷