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小鳥遊ー起きろー
仕方がない、あれだけ呑んだんだからね
あれ、ちょっと瞼、動いた?
「ん………」
ズキズキとした頭を抱えて目を開ける。
「あ!ようやく起きた」
「もぉ……あれだけ飲みすぎないでねって言ったのに」
見渡せば、オレの周りで呆れている高校時代の友達がいた。
親友の聡
高校時代と全く変わらない香織ちゃん
いじられキャラの真由と陸
まとめ約の大ちゃんだ。
呑みすぎたせいで頭がボヤっとしていたが、彼らを見て数時間前の記憶がクリアになってきた。
高校を卒業してから数年、オレたちはしばらくの間会っていなかった。
だが、ずっと繋がっていた聡と「久しぶりにみんなと会いたいね」という話になり、なぜだかわからないがオレの家で昔の仲間と飲み会をすることになった。
「大丈夫?魘されてたけど……」
香織ちゃんが心配そうにオレを見る。
「あー大丈夫、大丈夫。てかみんな時間大丈夫そ?」
確か飲み会が始まったのは6時前とかだっただろう。時計を見れば8時半を指している。
「ごめん、隼人。オレ、明日仕事だからそろそろ帰らなきゃだわ」
高校時代、いつも不真面目だった陸から「仕事」というワードが出るのにはとても驚く。
「私もそろそろ帰らなきゃ、明日早いし」
「オレもー」
真由や聡たちもぞろぞろと帰る準備をしている中、一人だけ二次会しよーぜ、と言う準備をしていたオレは少し、気まずくなる。
そんなオレの雰囲気を察したのか、大ちゃんが
「小鳥遊くん、大丈夫そ?」
と声をかけてきた。
「えぇ、大ちゃん、オレのこと気遣うなんてやっさしぃ!流石大人!」
大ちゃんはオレの冗談をいつものようにふざけて返さず、えへへと笑っただけだった。
「お前、精神年齢ガキかよ」
聡は呆れてツッコむが、オレにとっては周りの友達との“差”を言語化されたようにしか捉えられなかった。
「隼人、大丈夫?」
帰り際、香織ちゃんがまたオレに聞く。
「え?なにが?オレはいつも大丈夫なんだけど」
笑いながらそう、答えるが本音は香織ちゃんに全て見透かされているのだろう。
「まだ……好きなの?」
「え……?」
“なにが”とは言わないが、香織ちゃんはもうわかっているのだろう。
「隼人?」
もう一度、そう聞いてきた香織ちゃんにオレは何も言い返せず、微笑んだ。
「ごめんね」
何も言えなくて……こんなに未熟で、ごめんね。
みんなが帰り、ガランとなったアパートの一室。
カレンダーを見て明日は仕事が休みであることを確認し、酒をコップに注ぐ。
昔はずっと同じ場所で生きて、同じように過ごしていた仲間たちが今では別の世界で生きているように思えた。
あぁ、香織ちゃん。そうだよ、オレはまだ好きだ。
“柏木 葵”
彼女のことが好きだ。昔の恋を引きずるなんて馬鹿みたいだよな。
わかってるよ。
オレは正しく「孤独」だ。
かつて仲間だった彼らと心の距離を感じて、昔の恋を忘れられずにいるオレは惨めで、情けない。
そんなオレを忘れるかのようにオレはコップに入った酒をグイッと飲み干した。