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本気にさせたい恋

9 - 第9話 待ちに待った再会④

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2024年09月13日

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「呼んで。樹って。そしたらこの手放してあげる」


ホラ。あなたより年下でも男のオレには到底適わない。

あなたのそんな抵抗なんてオレには簡単に抑えられる。

だけど、オレのこの視線は目の前のあなたに捕らわれて目が離せなくて。

一秒もあなたのこの視線を逃したくない。


さぁ? どうする?

あなた次第でオレはあなたをどうにだって出来る。


「い・・樹・・・」


すると、そんなオレに観念したのか、見つめていた目を逸らし、少しうつむき加減で恥ずかしそうに静かにオレの名前を呟く。


やばっ・・・。

何その呼び方可愛すぎ・・・。

いや、それもオレにとって逆効果でどうにかなりそうなんだけど。


「よく聞こえなかった。もう一回」


だからオレは聞こえなかったフリして、更にもう一回言わせようとする。


「ちょ・・いい加減にしてよ!」


すると、さすがに彼女も恥ずかしさが限界なのか反撃してくる。


「いいの?もう一回言わないと、この手放さないし、こっからどうするかわかんないけど?」


ホラ。言わないとこのままホントにこの唇重なっちゃうけどいいの?

てか、言っても言わなくても、正直もうオレの理性もどこまで保てるかわかんないけど。


「わかった!! 樹!! これでいい!?」


えっ?それで誤魔化そうとする?


「ダメ。そんな投げやりの呼びかたは認めない」


そんなので許すはずないでしょ。

もっとオレの名前もオレの存在もあなたの記憶に強く刻んでほしい。


「ちゃんと気持ち込めて呼んで?」


気持ちが込められてないそんな呼び方、別に嬉しくないから。

オレはただあなたの気持ちが欲しいだけ。


すると・・


「放して? 樹・・・」


今度は、さっきとは違う大人の色気を出してオレの名前を呼ぶ。


いや・・それも反則・・。


ただ穏やかに呼んでいるだけに、それが落ち着いた大人の色気を醸し出す。

そんな色気出されたら、余計気持ち抑えられなくなる。


「どうしよっかな~」

「え?」

「そんな可愛い言い方したら、今度は放したくなくなる」


ずっとこのままこうやって彼女を捕まえていたい。

ずっとこのままオレを見つめていてほしい。

そのあなたの気持ちが、あなたが欲しい。


「はい。名前呼んだからこれで許してあげる」


だけど、オレはそんな本来の気持ちをすべてこの瞬間に打ち消して、彼女を捕まえていた手も放し、空気を変える。


まだ彼女にこれ以上の距離は近づけない。

ホントはもっと近付きたくて仕方ないけど。

でも、今はまだ。


「どう?ドキドキした?」


彼女にそう伝えるも、思ってもいない流れになって、目の前の彼女はさっきと違う戸惑いを見せている。


「新しい恋愛のカタチ。今度あったらドキドキさせてって言ってたでしょ?」


今はまだあなたのその提案にオレも興味を持ってるフリをしてるだけだから。

あなたが望むならオレがいくらでもドキドキさせてあげるから。


オレがそう言った言葉に、より戸惑いと疑問が大きくなったのか、彼女は考えこみ始める。


「あっ。うん。ちょっと待ってね。今頭の中整理する」

「どうぞ~」


やっぱりそっか。

案外この人わかりやすい人なのかも。

大人なのに少し子供っぽいところもあって。

だけど、オレにはそれが可愛くて。

素直じゃなく意地を張っているかと思えば、無意識でわかりやすい素直な反応をする。

しかも自分で整理している間もコロコロ表情変わって見てて飽きないし、そんな姿も可愛すぎて。

やっぱりオレにとってこの人は好きにならずにいられない存在。


「どう?落ち着いた?」

「ねぇ。私、これからあなたと仕事していくんだよね?」

「そうだね~」

「そうだ。新しいプロジェクト。そう。新しいプロジェクトで合同でチーム組むからってなって、それでリーダー同士で・・・」

「そういうことみたいね。これからよろしく、望月さん」


大丈夫。仕事はちゃんとやり遂げるから。

あなたに絶対迷惑はかけない。

あなたに頼ってもらえるように、あなたに理解してもらえるように、オレは全力で頑張るだけ。


「全部知ってたの?」

「何が?」

「私の名前も。このプロジェクトで組むことも。出会った時からも」

「・・・さぁ?どうでしょう。まだそれは秘密」


まだ今は教えない。

あなたにはもっとオレのことを知ってほしいから。


「ねぇ・・・ところで年齢・・いくつ?」

「27歳」

「若っ!」


そして彼女はオレの年齢を確認してあからさまな反応をする。


年齢が何?

オレが若いからあなたには対象外?

若いから頼りなくて不安?

オレにとって年齢差なんて何の問題にもならない。


「だったら何?」

「いや、あなたと私随分年離れてるから」


どうしてそんなに気になるの?


「だから?そんなん最初からわかってるし。仕事は別に影響ない」

「あっ、うん。仕事は大丈夫なんだけど。ほら、ねぇ。さっきみたいなのは・・」

「あぁ。別にそれも問題なくない?」


オレがあなたより年上なら大丈夫だとか言いたいの?

オレが年下だからその気になれなくて困るとか言いたいワケ?


「別に付き合うワケじゃないし。ただ新しい恋愛のカタチ試していくだけでしょ?」


元々オレに最初から本気になってくれるなんて思ってない。

ましてやあなたと付き合うことなんて考えてもいなかった。

だけど、そうやってあからさまにオレを年齢差だけで拒否して全部を判断されるのは納得いかない。

ならもっとあなたをその気にさせれば好きになってくれる?

ただ憧れていただけだったのに、いつの間にか好きになっていて、ようやく近づけただけで満足していたはずだったのに。

どんどん欲が出る。

あなたを自分のモノにしたいと、きっとこれからもっと思ってしまう。


「そう、なんだけど・・・。ホントにそれ、続けるの?」

「また会ったんだからそれは続けないと」


だけどまだそんなことは言わないから。

あなたをまだ困らせたくはないから。

だけど、せめてオレをこれから知っていってほしい。

仕事仲間としてではなく、一人の男として。

オレにチャンスをちょうだい。


「なんかさっきのでオレもそこそこ楽しめたし。なんか新鮮で気に入った」


まだ自分の気持ちをバラすワケにはいかなくて、そんな当たり障りのない軽い言葉で今は誤魔化す。


「次会えたら運命だって言ってなかったっけ?」

「いや、それは・・・」


オレにとってあなたとのこの出会いは運命だと思ってるから。


「まぁこれからは仕事でも同じなワケだし、ゆっくり楽しんでいこうよ。いろいろと」

「いろいろって・・・」


あなたの知らないこと、きっとまだこれからたくさん出てくるから覚悟しておいて?

これからオレとは運命だってじっくり気付かせてあげるから。


「ってことでこれからはどちらでもよろしく。透子」

「いや、だから名前!」


すかさず反応する彼女。


「はぁ~もういいや。とりあえず仕事では、よろしく。早瀬さん」

「ん~どっちかって言ったら仕事は早瀬くんのがいいな~。なんか年上の人からくん付けで呼ばれる方がドキドキするし」


まだオレの呼び方が余所余所しく感じて。

今はこれだけでもオレの希望通りにしてくれない?


「もうどっちでもいいけど。 なら、はいはい。早瀬くんね」

「何その投げやりな言い方~。またそんなんだとこれからどうなるかわかんないよ?」

「ならもう一つの方もよろしくね。早瀬くん」


その呼び方受け入れてくれただけでも進歩。


「あっ、仕事以外では、樹ね?」

「は? 」

「オレこう見えてもプライベートと仕事ちゃんと分けるタイプだから」


せめて希望だけでも持たせてよ。

いつかあなたが気が向いた時、オレの名前を呼んでくれるかもしれない。

せめてその期待だけはさせておいて。


「じゃあ、またこれからちょくちょく会うことになると思うから。楽しみにしとくよ」

「まぁ、これから仕事で会うこと増えるだろうから・・」

「ん~仕事だけじゃなくて・・・ね」

「えっ?」


時間が経てばその意味もわかるから。


「まぁこれからも覚悟しといて」


少しずつあなたとの距離を縮めていくから。

同じ時間を歩み始めたオレ達は、ここから始まる。


「ちょっ、どういう意味!」

「じゃあ」


オレの言葉がどういう意味なのか気にすればいい。

ここからじっくりオレとの時間を味わってよ。

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