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#独占欲
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地下牢入り口の扉を押すと、ギィ……と軋んだ音が響いた。
ランプの薄暗い灯りの中、アレクが振り返る。
「……終わったのか?」
「ええ。話はつけてきたわ」
私は鎖に繋がれた男の前まで歩み寄った。
男は青ざめた顔で肩を震わせ、怯えたようにこちらを見上げている。
「安心しなさい。今すぐあなたをどうこうするつもりはないわ」
(ベラドンナにああは言ったけど……)
(無駄な殺生をするつもりはないわ)
私は背を向けた。
「アレク、引き続き監視をお願い――」
その瞬間だった。
ガシャンッ!!
激しく鎖がぶつかる音が、地下牢に響き渡る。
「――っ!!」
男が突然、自分の胸を掻きむしるように押さえた。
「ぐっ……ぁ……!」
「おい、どうした!」
アレクが駆け寄る。
男の身体は痙攣し、焦点の合わない瞳が、“誰もいない場所”を見上げていた。
まるで、そこに何か恐ろしいものがいるみたいに。
「や……め……っ……」
血を吐くような声だった。男の唇が、かすかに震える。
「あの方は……“塔”に……」
「塔?」
アレクが眉を寄せた。
「おい、“塔”とはなんだ!?」
だが男は答えない。
直後、男の身体から一切の力が抜け、ガクンと崩れ落ちる。
「……くそっ。口封じか」
アレクが吐き捨てた。
私はしゃがみ込み男の足首へ視線を落とした。
ズボンの裾から覗く肌。
そこには、『バフォメット』の刻印が、死んだ今もなおどす黒く浮かび上がっていた。
(……おかしいわ)
通常、禁忌魔法の契約は、命が尽きれば解ける。なのに――消えていない。
(つまり……)
「……そういうことね」
アレクが振り返る。
「何が分かったのか?」
私は立ち上がった。
「この男に術をかけた魔法使いは――先に死んでるわ」
「……なに?」
「契約者が死ねば、魔法は効力を失い刻印は消える。……でも、消えていないわ」
私は男の亡骸を見下ろした。
「つまり、お義母様は……手下まで切り捨てたのね」
地下牢の空気が、さらに冷え込んだ気がした。
アレクが苦々しく眉を寄せる。
「……徹底してるな」
「ええ。本当に」
私は静かに呟いた。
(……“塔”)
男が死の間際に残した言葉が、頭の中で引っかかる。
(そこに、何か隠しているわね)
私はアレクの方に視線を向けた。
「アレク、私の実家を監視することは可能?」
「ああ」
彼は頷いた。
「騎士を何人か、使用人として潜り込ませる」