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──小学4年生、春。
Mondoはその日も学校帰り、ランドセルを家に放り投げると速攻で靴を履き替えて走り出した。
向かうのはもちろん――幼馴染で親友、sellyの家。
「おいselly〜!スイッチやろうぜ!」
(※まだDSとかかもしれないけどノリはこれ。笑)
走りながら、視界の端にダンボールや大きな家具を運ぶトラックが映る。
自分の家の隣。どうやら引っ越してきたらしい。
けど、Mondoは興味なし。
「ふーん、知らん。」
それより selly とゲームする方が大事だった。
翌日。
Mondoがリビングでジュース飲みながらテレビ見てると、母親が呼んだ。
「Mondo〜、ご挨拶来てくれたから玄関来なさい。」
面倒くさそうにコップ置き、スリッパ引きずりながら玄関に向かう。
玄関のドアが開くと――
お母さんの後ろに、知らない人が立っていた。
スラッとした大人の女性と、小さな女の子。
その女の子はMondoと同い年くらい。
茶色のふわっとした髪。
透き通る白い肌。
大きくて、光を吸い込むみたいな茶色の瞳。
長いまつげ。
口元には控えめな緊張の笑み。
めちゃくちゃ整ってる顔。
明らかにクラスで男子が騒ぐタイプ。
なのに――
Mondoの脳内で出た感想は、シンプル。
「……なんだこいつ。」
目が合った瞬間、女の子が小さく頭を下げた。
なれない韓国語で、少し噛みながら、
「처음 만나서 옆으로 이사 왔다. 유、유리가 있습니다. 잘 부탁드립니다.」
(日本語訳:はじめまして、ゆ、ゆりあっていいます。よろしくお願い致します)
声まで可愛くて、妙に丁寧。
でもMondoは照れ隠しの天才。いや、ただのひねくれ。
返事はぶっきらぼう。
「……ふーん。」
母親が肘で小突く。
「ちがうでしょ。Mondo、ちゃんと挨拶して。」
仕方なく。
「……Mondo。よろしく。」
でもその言い方は、どう聞いても
よろしくとか思ってないやつの声。
ゆりあはそれでもにこっと笑った。
その笑顔は、不思議なくらい柔らかくて。
なんか胸の奥が、少しくすぐったい。
でもMondoはその気持ちすら気づけない年齢。
何が別にか、自分でもわかってないけど、とりあえず言った。
男のプライド。小4のやつ。
ゆりあは「よろしく」と少し笑い、母親たちが挨拶を続ける間、じっとMondoを見ていた。
まるで観測するみたいに。
興味津々で、でもどこか嬉しそうに。
その視線に落ち着かなくなり、Mondoは鼻をかく。
――初対面からなんか変なやつ。
そう思いながら、Mondoは心のどこかでわかっていた。
この子がこれからの日常を変える存在になること。
まだ知らないだけで。