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「2014年 12日」
高校3年生、制服姿の青羽紬(18)、団地の外階段を下りていく。
途中の踊り場でふと立ち止まり、降り始めた雪に気が付く。
嬉しそうに空を見上げてから、さっきよりも少し駆け足に階段を下りていく。
紬、駅内を駆けて行く。
イヤホンで音楽を聴きながら誰かを待っている佐倉想(18)。
紬が目の前にやってくる。
ワクワクした顔でこっちを見ている。
想、イヤホンを外しながら
(想)「おはよ、」
(紬)「(食い気味に)雪だね!」
と、すごく楽しそうで、嬉しそう。
(想)「(笑いを堪えて)雪だね」
並んで歩き出す2人。
紬、今にもスキップをしそうな軽い足取り。
想、それをちょっと心配そうに見守りながら歩く。
(紬)「積もるかな」
(想)「(雪を見上げて)積もんないでしょ」
(紬)「積もるな。これは、絶対。積もるやつだ」
想、「はいはい」という感じで笑って受け流す。
(紬)「雪の中でサッカーしたら、あれだね、どんどんボール大きくなるね」
(想)「·····ん?」
(紬)「雪だるまって、ほら、転がして大きくしてさ、2つ作ってさ、いっこ乗っけて、ね」
(想)「(理解して)ボールに雪ついて、大きくなるってこと?」
(紬)「なるでしょ。雪だるま的に」
(想)「(吹き出して笑って)なんないよ」
(紬)「え、なるよ。絶対なるよ。雪がどんどんこうさ、まとわりついてさ、」
と、両手でサッカーボールを表す。
(想)「なんないよ」
(紬)「いやいやいや、なるよ。今日外で部活してみ? 雪だるま作り放題だよ?」
愛おしそうに紬を見て、微笑む想。
紬、突然人差し指を口の前に置いて、
(紬)「シッ!」
と、静かにするように促す。
想、よくわからないまま、とりあえず黙る。
紬、耳を澄ませてから、
(紬)「静かだね! 雪降ると静かだよね!」
と、やっぱり楽しそうで、嬉しそう。
想、その姿がかわいくて、笑うだけ。
(紬)「ね! 静かだよね! ね!」
と、声のボリュームが上がる。
(想)「(笑って)うるさい」
(紬)「ん?」
(想)「青羽の声、うるさい」
紬、わざと声を大きくして、
(紬)「佐倉くん! 静かだね!」
(想)「うるさい!」
笑う2人。
雪が降っている。