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「じゃあ、名前、決めようか」
少し遅めの朝食を囲みながら、四人は新しい住人たちの名前を考えていた。
三頭には先にミルクを与えてある
。飲み終わるまで、ほんの数分もかからなかった。今は腹を出して、三頭仲良く転がっている。
「しろ、グレー、ちゃ」
岩本が言った。
「岩本くん、さすがにセンスなさすぎ……」
ラウールが容赦なく突っ込む。
「いや、絶対間違えないじゃん」
岩本は不服そうだったが、ほかに案があるわけでもないらしい。
目黒に助けを求めるような視線を向けた。
「目黒は? なんかない?」
うーん、と目黒は考え込んだ。
それから、ふと思い出したように顔を上げる。
「あの段ボール、あの子たちしか入ってなかったよね?」
「ああ。あとはタオルくらいだったと思うけど」
目黒は立ち上がり、玄関に置いたままの段ボールをもう一度確かめに行った。箱の底を持ち上げると、折り畳まれたタオルの隙間から、紙が一枚、ひらりと落ちた。
そこには、名前らしきものが三つ並んでいた。
しょうた
さくま
こうじ
よろしくおねがいします。
「これ、この子たちの名前かな」
目黒が紙を持って居間に戻ると、ちょうど白い子が目を覚ましたところだった。
白は目黒の手元を見た途端、ぴょんと跳ねた。もう一度。
さらにもう一度。
紙に向かって、何かを伝えようとするみたいに、いつまでも跳ねている。
その隣で、グレーは興味がなさそうにあくびをした。
茶色い子だけは、目黒の足元にやって来て、靴下に鼻先を押しつけている。
「呼んでみたら?」
ラウールの提案に、目黒は紙を見ながら「だいすけ」と呼んでみた。
白が、これでもかというほど高く跳んだ。
「おお、こいつがさくまか!」
「じゃあ、こっちは?」
ラウールが「しょうたくん」と呼ぶと、グレーが面倒くさそうに顔を上げた。こちらを一瞥して、また眠ってしまう。
「……返事が雑だな」
「性格出てるんじゃない?」
誰が言ったのか分からないが、全員が笑った。
最後に、深澤が茶色い子を指さした。
「ってことは、お前がこーじか」
茶色い子は、待ってましたとばかりに駆け寄ってきた。
そして深澤の指に、がぶりと噛みついた。
「いってぇ!お前、噛んだな!」
口では怒りながら、深澤は茶色い身体を両手でわしゃわしゃと撫で回している。どう見ても気に入っていた。
「名前があったんだね」
ラウールが、少しだけ声を落とした。
「きっと、大事にされてたんだろうな」
三頭を見つめ、四人は黙って頷いた。
どういう事情で手放されたのかは分からない。
けれど、名前をつけて、タオルに包んで、誰かがこの子たちを送り出した。その人はきっと、どうか幸せになってほしいと願ったのだろう。
ならば、その願いごと引き受けよう。
四人はそれぞれに、そんな決意を胸に抱いた
。
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