「かっ、馨さん!!」
練馬区偵察隊の地下に四季の声が響いていた。突然に聞こえた推しが自分を呼ぶ声に驚いて振り向く馨と、またウルセェ奴が帰ってきた…と面倒くさそうに声の主を見る真澄。
「四季君!?」
(びっくりしたぁ……いや近付いてきているのは足音と尊い気配で気付いてはいたけれども、僕の名前を急に呼ぶなんて思わないじゃん!何々?急に可愛いな…息荒げてる所も可愛い。そんな可愛い顔で見つめられたら隊服に札束捩じ込みたくなっちゃうよ?良いの?ねじ込むよ?え、めっちゃ真澄隊長見てくるんだけど、見ているっていうか睨んでくるに近いけど…。やめますよ!?ねじ込むのは。でも考えるだけでも良いじゃ無いですか!!なんですか、隊長嫉妬ですか?嫉妬してるんですね!!そりゃあ四季君にあんな感じに呼ばれたら嫉妬しちゃいますよね!だって好きですもんね!!)
顔色変えずに忙しい脳内の馨は今日も今日と可愛いでしかない推しに呼ばれた事に喜びながら、ますしきを摂取している。
「なんかあった?」
「あっ、あのさ馨さん」
(あぁ〜!!顔赤い!可愛い!!!上目遣い!!!かわいいっ!身長デカくてよかったぁぁぁぁぁぁ!!!こんなのご褒美でしかないっ!!隣の真澄隊長が普通にこっわいけどでも可愛い!しかもまた名前呼んでくれた!!かわいい尊い)
緊張によって手汗が滲むせいで四季は手を握ったり開いたり、にぎにぎして。挙句には自身の隊服の裾を握り締めながら顔を赤くして意を結したように息を吸った。
「しゅっ、週末って空いてますかっ!!」
「あ、いや、週末っていうか土日のどっちかだけ!!」
「空いてなくても良いんだけど、よ、予定あるかなって気になって、だけで」
「ほんと別に」
ワタワタして言い訳じみたことを言い出す四季、言い始めるまでは長ぇくせに言い始めた瞬間早口になるなコイツ。と言いたげに真澄は見つめる。
「うん、今週は空いてるよ?」
「!マジで!!」
「本当に」
馨が顎に手を当てて予定を思い出しながら
(あぁァァァァ!!!!!かぁわぁいいいいい!!!予定空いてて良かった、いやまぁ四季君の為ならば空いてなくても開けるけどもね、今日水曜日だし任務も無いから書類作業だけだったし、四季君が応援してくれるならば余裕で終わらせられるんだけどね〜)
「?何かあったの??」
馨は少し首を傾けて推しを見た。推し(四季)は真っ直ぐ馨を見る。
「その〜、えっとね…あの」
「?」
モゴモゴと口篭る四季
「良かったら、一緒に出かけて欲しいな…って…思って」
顔を赤く染めて馨を誘った。
(…無理、尊い。成人してるの?本当に?可愛い…犯罪級でしょこれって、真澄隊長も後ろにいるから見ましたよね!?逮捕しちゃってください!四季君を!!囲っちゃってください!早く!!じゃ無いと取られますよ!!本当に!紫苑とかいうあの変態とかに…。欲は言わないからその部屋の壁になりたい…いや壁じゃなくても良いんだけどもね!!
…え?今四季君僕を誘った!?なんで?真澄隊長がいるのに??…あ、嫉妬か。嫉妬させようとしているんだね四季君。そういう押してダメなら押してみろ精神の四季君も最高だと思うよ!!四季君が頑張るなら僕も協力させてもらうよ!!ますしきの為に!間違えた!四季君のためにね!!)←四季全肯定脳死オタ
「…勿論、僕で良いなら」
「!!か、馨さんが良い!」
「ありがとっ!!」
馨は太陽を見たかのように薄く目を細めた。
(直射日光…尊い…目潰れるかと思った…可愛い、プライスレスすぎる笑顔ありがとうございます…需要と供給を理解しすぎてるよ四季君…最高だけどもね。本当捩じ込みたい札束を。でもその笑顔は真澄隊長に向けるべきだと思うよ!!嫉妬させたいんだろうけども、真澄隊長キレちゃうよ?それが願いか…?)
最推しの満面の笑みを間近で浴びた事によって馨は硬直した。要するに過剰摂取したという事だ。
「あれ?馨さん、固まった??」
「え?ま、真澄隊長!!馨さんが!!」
「チッ、うるせぇぞ」
馨の目の前で手を何度か振っても馨は瞬き一つしなかった。不安に駆られてすぐ後ろにいた真澄に助けを求める。
「俺なんかしたっけ?」
「…馨を誘ったぐらいだな」
「だよね…」
不安そうに真澄の隊服の裾を握っている四季。今日も今日とて馨はますしきの栄養を間近で摂取が出来た。
懲りずにまたやってしまった…
でも後悔はしてない…
次回 かおしきデート!
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