テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
297
47,951
あっぷるぱい
137
橘 柚
441
第1話「彼女が来た日」――続き
「みんなと同じクラスなんて嬉しいな!」
潔が笑った。
その笑顔を見た瞬間。
凪は思った。
(……やっぱり、ずっと見てたい)
玲王は思った。
(……俺、もう完全に好きじゃん)
千切は思った。
(……あの笑顔、反則だろ)
蜂楽は――
(もっと潔と話したい!)
そして凛は。
(……うるさいくらい、気になる)
冴もまた、少し離れた場所から潔を見ていた。
(……妙な奴だ)
初対面。
それなのに、ここまで気になる。
そんな自分自身に、冴は少し戸惑っていた。
「じゃあ、教室行こう!」
潔が先に歩き出す。
すると――
「俺も行く」
凪がすぐに隣へ。
「俺も」
玲王も反対側へ。
「じゃあ僕も」
千切。
「俺もー!」
蜂楽。
「…………」
凛まで後ろからついてくる。
「お前ら……」
烏が呆れた声を出す。
「露骨すぎへん?」
「別に」
凛が答える。
「ただ教室に行くだけだ」
「ほぉ〜?」
烏がニヤッとする。
「せやったら、なんで全員潔の周りに集まっとんねん」
「……」
誰も答えられない。
潔だけは、
「?」
不思議そうな顔をしていた。
***
一年A組。
教室に入ると、すでに何人かの生徒が席についていた。
潔は教室を見渡す。
「席、どこかな?」
「潔、窓側」
凪が教室の後ろから教えてくれる。
「あ、本当だ!」
潔が自分の席へ向かう。
その途中――
「あれ?」
潔が足を止めた。
机の横に置かれていた小さな紙袋。
「これ、誰の?」
「それ、俺」
声の主は――玲王だった。
「え?」
「朝、コンビニで買ったんだけど……余ったから」
玲王が紙袋を差し出す。
「よかったら食べる?」
「いいの?」
「ああ」
「ありがとう!」
潔は嬉しそうに受け取った。
「玲王くんって優しいね!」
「…………」
玲王の動きが止まった。
「……え?」
「優しい!」
「そ、そうか?」
「うん!」
潔はニコニコ。
玲王は顔を逸らした。
(……無理だろ)
たった一言。
それだけなのに。
心臓がうるさい。
凪が玲王を見る。
「玲王だけずるい」
「は?」
「俺も何かあげたい」
「お前は何も持ってないだろ」
「……じゃあ今度買う」
「なんで張り合ってんだよ」
潔は二人を見て笑う。
「仲良いね!」
「「……まあな」」
二人の声が重なった。
***
その後。
先生が教室へ入ってきた。
「席につけー。今日は入学式の後だから、軽く自己紹介を――」
生徒たちが席につく。
潔も自分の席に座る。
そして――
当然のように。
潔の周囲には、凪、玲王、千切、蜂楽、凛が集まっていた。
「お前ら、自分の席に戻れ」
先生が呆れる。
「……はい」
全員が渋々戻る。
潔は小さく笑った。
(みんな面白いなぁ)
そんなことを考えていると――
「じゃあ、潔」
先生が名簿を見る。
「自己紹介してくれ」
「はい!」
潔が立ち上がる。
教室中の視線が集まる。
「潔世一です!」
明るい声。
「今日からこのクラスになりました。ちょっと遅刻しちゃったけど……」
クラスが少しざわつく。
「これからみんなと仲良くしたいです!」
そして。
「よろしくお願いします!」
ニコッ。
――静寂。
男子生徒たちが一斉に固まった。
その中でも。
凪。
玲王。
千切。
蜂楽。
凛。
そして教室の外から様子を見ていた生徒会メンバー。
全員が同じことを思った。
(……好き)
潔は何も知らずに席へ戻る。
「ふぅ……緊張した」
千切が小声で言う。
「……すごく良かったよ」
「本当?」
「うん」
「ありがとう!」
また笑顔。
千切は再び固まった。
(……駄目だ)
一方、凪。
「潔」
「ん?」
「休み時間、一緒にいて」
「いいよ!」
即答。
「……ほんと?」
「うん!」
凪は満足そうに机へ突っ伏した。
「……嬉しい」
その隣で玲王。
「じゃあ俺も一緒にいる」
蜂楽も手を挙げる。
「俺も!」
千切も。
「……僕もいい?」
「もちろん!」
凛が眉を寄せる。
「……うるさい」
「凛も来る?」
潔が何気なく聞いた。
「…………」
凛の目が少し見開かれる。
「……行く」
即答だった。
「やった!」
潔が笑う。
凛は顔を逸らした。
(……なんでこんなに嬉しいんだ)
そして教室の後ろ。
それを見ていた烏が小さく笑う。
「……ほんま罪な女やなぁ」
氷織が頷く。
「本人、全然気づいてへんけどな」
乙夜が笑う。
「天然って怖いねぇ」
黒名は小さく呟いた。
「潔、好き」
雪宮も苦笑する。
「……僕も、かな」
士道は楽しそうに笑った。
「こりゃ面白くなってきたぜ」
そして。
教室の入口に立つ冴は――
「…………」
ただ静かに潔を見つめていた。
生徒会長として。
そして――
一人の男として。
すでに、潔という少女から目を離せなくなっていた。
コメント
3件
みぅです🤍🥀 第5話、読み終わったよ〜 もうね、潔ちゃんの「無自覚すぎる破壊力」がすごすぎて笑っちゃった😂 普通に「ありがとう!」って笑顔向けるだけで周りが全員ノックアウトされてるの、ほんと反則級だよ…。 特に玲王が差し入れしたあとの「優しいね!」の一言で固まるシーン、めっちゃ好き。 あと凛が「行く」って即答するところ、ギャップ萌えが止まらない。 烏たちの「罪な女」ってツッコミもナイスだし、冴さんが静かに潔を見てるのも…何か始まりそうでドキドキする。 天然の無自備ヒロイン、大好きです。 続きも静かに待ってるね🌙