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数日後――角島灯台にて
「来ると思ってたよ。」
角島灯台は、大剣を手入れしながら微笑んだ。
その隣では、特牛灯台が小さな体で黙って立っている。
「仲間がいないのは、こっちも同じだ。」
「……君たちの周りも?」
神子元島が問うと、角島は頷いた。
「六連島も、犬吠埼も、消えちまった。」
「……!」
観音埼が目を見開く。
「だから――この旅は、君たちだけのもんじゃない。僕たちも行く。」
角島が立ち上がる。その背に、大剣が重く揺れた。
「彼奴らを取り戻す旅なら、特牛も連れてく。……いいな?」
「……うん。」
特牛灯台は小さく頷く。
その手には、薙刀。彼の小さな体には不釣り合いな武器だったが、目だけは揺らいでいなかった。
「――出発しよう。」
部埼が懐中時計を閉じた音が、合図のように響いた。
「俺らの仲間を、取り戻す。」
この五人の旅が、始まろうとしていた。それぞれの“想い”と“過去”を抱えて。