テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
一行が最初に向かったのは、烏帽子島のはずだった。だが、そこに灯台の姿はなかった。
まるで、初めから存在していなかったかのように――。
「……ここ、本当にあったよね……?」
観音埼の声が震えていた。
「確かに……数日前までは……」
神子元島も困惑していた。
しかし、ただ一人、部埼だけが沈黙していた。
「……何かが封じられてる。」
角島が、足元の砂を掘りながら呟いた。
「“痕跡”は残ってる。けど、存在そのものが……“引き剥がされた”ような気配だ。」
「引き剥がされた……?」
特牛が小さな声で尋ねた。
「そう。時間と空間の“繋がり”を断ち切るような――外の力。」
「それって……まさか……」
部埼がふと顔を上げ、懐中時計を強く握る。
「“逆光”だ。」
一同が息を呑む。
「それが……仲間たちを消した原因……?」
「断定はできないが、痕跡がそれを指している。」
神子元島が頷く。
「“逆光”……それは、かつて歴史からも追放された禁忌の力。時間を逆流させ、存在の因果を捻じ曲げるもの。」
「灯台たちの記憶からも消された“何か”……。」
角島は剣の柄を握る手に力を込める。
「だが、俺たちは知ってしまった。ここから先は――後戻りできない。」
特牛も、震える手で薙刀を構え直した。
「僕……行くよ。怖いけど……でも、見捨てられない!」
観音埼がその背中を見て、ゆっくり笑った。
「うん、僕も行く。もう一人も欠けたくないから!」
「進もう。」
部埼の低い声が、風の中に溶けていく。
「この“逆光”の謎を解かない限り、誰も救えない。」
そして彼らは、西へ向かった。
“失われた仲間”の記憶と、“逆光”の真相を追って――。