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第2章〜盲目〜
今日は視覚障害体験だ。
「皆さん、こんにちは、今日皆さんに教える宇津井です。」
「皆さんは視覚障害ってご存知ですか?」
大体のことは知っているがみんな詳しくは知らない。笹峰のような人っていう感覚だ
「視覚障害には様々な種類があります。
全盲、弱視、視野障害、光覚障害など。」
俺たちはたんたんと説明を聞いている。
しばらくすると、
「この棒は白杖というものです。」
その瞬間俺は、全てがフィードバックした。
「白杖は、視覚障害や、弱視の方の道案内をする役割です。障害物や、物の場所を特定する時などにも利用します。この白杖がないと、視覚障害の方々は怖くなりろくに歩くこともできません」
その時、俺は尚更自分がした過ちを感じた。
そして俺は、笹峰に会って謝りたい。そう強く感じた時でもあった。
実際に、目を隠した状態で多くの障害物を避ける体験をした。
その時は白杖を使って、実際に体験してみようって言う内容だった。白杖を持った時の安心感はとても凄かった。逆に、白杖がない時は恐怖で歩くこともできず座り込んでしまった。足元はガクガク震え、真っ暗な視界。頼りになるのは周りの音と白杖。
中一の頃に笹峰にとって、命の次に大切な白杖を奪って、逃げた。笹峰はこの時、恐怖で何も出来なかったのだろうか。俺が体験したよりもっと怖いのだろうか。
もう一度あの人の元へ。と思った。
あのまま2年生、3年生と友達は出来なかった。作ろうとしなかった。友達になることが怖かった。友達になったら、何されるか。また虐められるのか。とても怖かったから。ひたすら勉強とゲームで誤魔化した。
気づいたら卒業式。特にいい思い出もなかった。むしろ罪悪感に駆られた3年間だった。幸せだったのはたった入学して夏までの期間。
それ以降は真っ暗先な未来。なにもかも嫌になりそうだった。何をしてもこの罪悪感は消えない。俺は、この3年間で何を学んだんだろうか。未だに笹峰の居場所はわからない。
石岡が最後に一言放った。
「お前は3年間何を学んで、何をしてたんだ」この言葉がずっと頭に残る。自分でもわかっている。俺は何を学んだ。何をした。貢献したのか?この先の未来に希望はあるのか?今すぐにでも笹峰にこの俺の目を差し出したい。不要だ。不必要な情報が目に入っても。それなら、必要としている人に渡った方がマシだ。
卒業式なのに、悲しくもなかった。むしろ嬉しい気持ちの方が勝った。もうこんな気まづい生活をしなくてもいい。そう思っていた。でも実際は。
高校に入学をした。さぁ。晴れた新学期をと思ったが、中学時代にろくなことをしてなかったので、友達の作り方を知らない。なんなら忘れた。また3年間気まづい生活を。クラスの端で、黙々と、
周りの聲が聞こえる。
“あの人毎回独りだね。”
“友達いないのかな”
心の聲が聞こえる。周りを見るのが怖くなった。下を俯いたまま。どうせ俺には友達ができないんだ。
…数ヶ月後
俺は今日もひとりでご飯を食べようとした。ただ、気が変わって外で食べたくなった。中庭に出て独りで食べようとした。そこには、弁当をパシられている人が居た。俺は助けようとしたが、ふと脳裏に浮かんだ。ここで助けたらまた正義ぶってんじゃねぇ。とか、助けなくてもいいのに勝手に来んな。とか。でも、体は止まらなかった。気づいたら手が出ていた。と言っても、手を出そうとしていたヤンキーの腕を止めただけだけど、、俺はその場に留まるのが嫌になり、直ぐに戻った。
でも、集られてた子がこっちに来た。
「ありがとう!名前は?友達にならない?!」
とても積極的だった。俺は、友達を作ることが怖かったがこの人なら、と思い、友達になった。
「俺は原西 謙也。よろしく。」
「謙也か!僕は屋本 道雄!」
「屋本よろしく。」
友達の基本だな。と思った。それから俺と屋本は鬼のように遊んだ。
今日もいつも通り遊んでいたらふと遠くに笹峰に似た姿が居た。俺は思わずかけ走った。