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船に乗っている間、デッドと珱泉は、リースや自分たちの自己紹介をした。
「お二人、なんで私を助けたんですか?知らないフリをすれば面倒なことにならなかったのでは?」
「それはね…」
「珱泉、俺が話したい。まずリース、ほとんどの吸血鬼は知らないことだが…吸血鬼は何から生まれたと思う?」
「…さあ?狼とか蝙蝠なんでは?」
「違う。実は、我々吸血鬼はあの大悪魔、故・アスモデウスの子孫?(みたいなもの)なんだ。古代の文献に残されていて、疑いようのない事実だ。」
「それなら低級の淫魔たるサキュバスやインキュバスは?あれはどこから生まれたんです?」
「それも、アスモデウスから誕生した。我々とは違い、悪魔になっただけで。まあ、そこの詳しい話はおいて置くが。14世紀後半、アスモデウスが突如死んだのは知っているね?彼女は、死ぬ時、自身の核に宿っていた5つの固有の能力を全て放ち、自分の子である吸血鬼の誰かに宿るように条件づけた。そして、それはランダムに引き継がれ、今も1つずつ、5人の吸血鬼に宿っている。これは魔法ではないので、制限されて使えないことはない。その能力の名は、「魅了死」、「夜戯斬衝」、「快獄」、「色慾鎖」、「血如」だ。能力は、古典には示されておらず、持っている張本人が使ってみないと分からない。ただし、2つは判明している。俺と珱泉が持っているからだ。俺は夜戯斬衝、珱泉が血如だ。そして…君が持っているのが「魅了死」アスモデウスが最も多用したと言われる能力だ。」
「なんで私が持っていることがわかったんですか?私自身さえ知らなかったのに…」
「能力保有者は他の吸血鬼と目を合わせることで、そいつがそうかそうでないか分かるんだ。まあ、そういうことなんだが。俺たちがそれを持っている吸血鬼を集める理由は、全員を見つけ出して、吸血鬼の真の故郷に帰る方法を見つけるか、悪魔を倒し、我々が人間に害を与えないことを証明するためだ。そしてそれまでは、民間人は殺さなくても、魔人絶滅協会の戦士達を殺すことがある。君も彼らを殺すことを躊躇うな。」
リースは複雑な思いがあったが、頷いた。
突然、船から警告音がした。老人が言った。「のんびり話してる場合じゃないぞ!今フランス沖を進んでるが、見えるか?追っ手がきやがった!2隻だが、魔人絶滅協会の奴らが14人乗ってる。どうする?」
「大丈夫だ。僕がやる。」珱泉が言った。珱泉は船尾に立って、敵船に視線を向けた。
「血如発動。血の大波よ。敵を骨まで砕き、船を海に沈めろ。」
次の瞬間の光景は、グロテスクとしか言いようがなかった。右の船にいた兵士が身体全ての血液を放出しながら爆散し、その血液が膨張して波になったと思ったら左の船も合わせて飲み込まれ、左の船の兵士も爆散した。これが元悪魔の王の1人の力。吸血鬼を象徴する血を自由に操る能力だった。シーデッド達の船は、何もなかったようにゆっくりと進んで行った。