テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
寺西拓人 × 大森元貴
🔞
あの日から、もう何度目の夜になるだろう。
「……恋人じゃ、ないよね?」
シーツの中で、俺はそう尋ねた。
触れ合ったばかりの体はまだ熱を残していて、けれど心だけが取り残されている。
俺の問いに、拓人はいつものように、少し笑って「うん」と短く答える。
それは、俺が一番欲しくない答えだ。
「わかってる。ごめん、何でもない」
わかってるんだ、本当に。
最初からこれは“そういう関係”だって、お互いに割り切ったはずだった。
だけど、いつの間にか、心のどこかが期待してしまっている。
もしかしたら_なんて。
___
「また来てくれて嬉しい」
「拓人が呼んだからでしょ」
酔った夜、彼のマンションに足を運ぶのは、もう慣れたことだ。
ソファに並んで座っていると、自然に肩が触れ合う。
その温度だけで、俺の体は先に反応してしまう。
「今日、疲れてない?」
「……うん、大丈夫」
そっと手を握られると、胸の奥がうずく。
それだけで、本当は心まで満たされてしまいそうになるのが、悔しい。
そのままキスされた。
重ねられる唇。深く、熱く、逃げ場のない優しさ。
俺の中で「好き」が暴れそうになる。
でも、それを言ったら、この関係は終わってしまう気がして、言えない。
___
ベッドの中。
肌を重ね合うたび、彼の指先が丁寧に俺を撫でる。
耳元で囁く声が、やけに甘くて、優しくて、ずるい。
「元貴、今日も可愛い」
「……ん、バカじゃないの……」
「ねぇ、もっと声聞かせて」
こんなの、恋人でもないのに。
それでも俺は応えてしまう。
「拓人、…ん、そこ、だめっ……!」
「ほら、こっちは?」
「んぁ……も、無理、っ……!」
腰を押さえられて、奥まで突かれるたび、感情がぐちゃぐちゃになる。
快感に溺れながらも、心だけはずっと彼を求めている。
「元貴、気持ちいい? 可愛いよ、全部俺に見せて」
こんな風に優しくされるたび、勘違いしてしまう。
まるで、本当に愛されているみたいに。
でも、違うんだよね?
___
事が終わって、彼の腕の中にいると、静寂がやけに重くなる。
「ねぇ、拓人」
「ん?」
「俺たち……恋人じゃ、ないよね?」
また言ってしまった。
聞きたくない答えが、返ってくるとわかってるのに。
「……うん、でも、お前のこと、好きだよ。体の相性、良すぎるし」
そういう“好き”じゃないんだよ。
それでも俺は笑って「だよね」って返すしかない。
こんな言葉に、縋る自分が情けない。
きっと、俺は今日も“好きだ”を言えないまま、
またこの関係を続けてしまう。
彼の隣にいたいだけなのに。
ただ、それだけなのに。
寺西拓人さん、初登場です
コメント
3件
寺西 さん と 大森 さん の ペア 初めて みたんですけど 、 この 沼 に ハマりそうです 、笑 それと 、書き方 本当に 好き ですし 、内容 とか すごすぎます 。