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ワオ
「キモチワルイを教えて欲しい」
貴方は酷く綺麗な顔で笑い、俺の心を奪い去る。
俺は知らない、ソレの醜悪さを。
完璧は時に恐ろしく、整理整頓もやり過ぎれば落ち着かない。
…貴方は、容姿端麗で、完璧で、
キモチワルイの欠片も無くて、見惚れてしまったから、
「綺麗…」
ほぅ…と、思わず溜息を吐き、言ってしまう。
「…あら、嬉しい。ありがとう。礼を言うわね。」
俺の声が聞こえたのか、一寸の狂い無く綺麗な左右対称の笑みを浮かべ
貴方は去って行く。
嗚呼、貴方にキモチワルイはあるのですか?
きっと無いのでしょう、貴方はきっと、何事にも完璧で、完璧過ぎて
キモチワルイの入る隙間さえ、あげないのでしょう。
自ら言うのも何だが、私は美人だ。
文武両道、容姿端麗、おまけに性格も良いと来た、
人生勝ち組イージーモード。
…それならば、良いのだが。
気持ちが悪い、私の笑みを、言動を、姿を見ると、吐き気がする。
何が完璧だ、人は不揃いだから美しいというのに、
それでも、私はまだ、この自我を持つ限り、美しいを保てる。
完璧な人間の本当の気持ちがこんなに醜いなんて、嗚呼、美しい。
そう、綺麗な花には棘がある、私はその棘を自らに向け、自我を保つ。
本物の完璧になれば、後は枯れ落ちるだけなのだから。