本当は、お前のことをやりたくなんてなかった。
引き留められたら、そう、ずっと考えていた。
でもなぁ。
そんな顔されちまったら、何も言えねぇだろ。
ローと話すときの、いつもと少し違う楽しげな表情。
それを見て普段の仏頂面はどこへやら、ふわりと頬を緩めるアイツ。
その光景を目の前で見て、俺にしろ、なんて。
言えるわけがねぇわなぁ。
でもまぁ、そのまま引き下がるのは男として恥だしな。
今度おにぎりに梅干でも仕込んでやる。
きっと不満を言うだろうが、んなもん知るか。
俺の大事な船長をかっさらってった報いだ、バーカ。
どうせそのあと、アイツにでも慰めてもらうんだろ。
あーあー、羨ましいことで。
…ロー。
ルフィのこと、頼むな。
もし泣かせでもしたら、お前のことぶっ殺すからな。
…あー…、ははっ…。
…俺、こんなに女々しかったんだなぁ…。
…ルフィ…。
お前のこと、大好きだぜ。
船長としても、一人の人間としても。
これからも、ずっと、ずっと。
心から、愛してる。
幸せになれよ。
晴天の下、高くそびえる丘の上。
そこでは、とある海賊団の船長同士の結婚式が行われていた。
あるものは仲間とともに肩を組みながら祝い、
またあるものは自分の船長の門出を泣きながら祝う。
そこには、あふれんばかりの愛と祝福に満ちていた。
それを見て、白いタキシードに身を包んだ2人が嬉しそうに、また呆れたように笑う。
よかったな、お前ら。
そのときはもう、ただただ純粋な祝福を抱けていた。
そして、ついに俺、サンジからの祝辞の番。
これを言うのに、どれだけ葛藤したことか。
でもまぁ、今だったらすんなり言えそうだ。
ルフィ、トラ男。
「ご結婚、おめでとうございます」
海賊時代。
男同士の結婚が可能だったら、の妄想話。
ロール前提の、サンルでした。
それではまた。